【早大生と読売新聞がコラボ】早稲田大学広告研究会がつくる広告が早稲田駅・高田馬場駅に期間限定掲出!

――早稲田生がクライアントワークで挑んだ、“新聞の価値”を問う駅広告プロジェクト

2026-04-01 19:00
早稲田大学広告研究会

 早稲田大学の三大サークルの一つである「早稲田大学広告研究会」の有志メンバーが、読売新聞社をクライアントに広告制作を実施した。

 2種類のグラフィック広告が、2026年3月23日から早稲田駅・高田馬場駅に掲出された。就活生の不安や若者のメディア不信を背景に、「新聞の価値」を学生の視点から問い直し、若者が新聞を手に取るきっかけを生み出すことを目指した駅広告プロジェクトである。期間限定で、広告は3月31日まで掲出された。

学生がつくった広告が、駅という公共空間に立ち上がる|早稲田大学広告研究会×読売新聞

 本企画は、早稲田大学広告研究会の有志メンバーが中心となり、読売新聞社と共同で進めた広告制作プロジェクトである。ターゲットは、大学生を中心とした若年層。SNSやデジタルメディアが情報取得の主流となった時代において、「新聞」というメディアが持つ価値は変わりつつある。プロジェクトでは、同世代の視点から再定義を試みるとともに、若者が実際に新聞を手に取るきっかけをつくることをゴールとして、広告表現の設計を行った。

 完成したグラフィック広告は2種類。それぞれ異なる切り口から、新聞の信頼性、記録性、そして情報を社会に届ける責任について問いかける内容となっている。掲出場所には、早稲田生の通学動線上にある早稲田駅・高田馬場駅が選ばれた。

広告制作に先立つ「1か月間の新聞体験」

 広告制作に着手する前段階として、メンバー全員が一定期間、実際に新聞を手に取って読むプロセスを設けた。これまで新聞を日常的に読んだことのなかったメンバーも含め、約1か月間、新聞に毎日、目を通し、社会の出来事や紙面構成、情報の伝え方と向き合った。

 その期間を通じて得た気づきや違和感、新聞に対する印象の変化をメンバー間で共有した上で、初めて広告制作に着手している。表現を先に考えるのではなく、体験・効果測定を経たうえで言葉とビジュアルを設計した点も、本プロジェクトの大きな特徴である。

 本プロジェクトのリーダーを務め、企画立案から制作進行までを統括した宮島堅(早稲田大学政治経済学部3年)は今回の広告制作について、「新聞を読んだことがなかったメンバーも含めて、全員が同じ期間、同じメディアと向き合いました。その経験があったからこそ、新聞の強みだけでなく、距離を感じてしまう部分も含めてフラットに捉えることができたと思います。その実感がコピーや表現の判断基準になっています」と話す。

新聞体験後の仮説設定と検証プロセス

 新聞体験を通じて得られた気づきをもとに、本プロジェクトでは、若者・大学生における新聞への意識や距離感について仮説を立て、その検証にも取り組んだ。

 仮説の設定では、就活を目前に控えた学生のインサイトに着目した。就活生の多くは、「社会人として通用するのか」「大人と同じ目線で会話ができるのか」といった漠然とした不安を抱えている。一方で、日々触れている情報の多くはSNSやニュースアプリによる断片的なものであり、社会全体の動きや背景まで理解する機会は決して多くない。

 参加メンバーは、こうした学生のインサイトについて、就活を意識し始めた段階で「社会人と同じ目線で会話ができるのか」という不安を多くの学生が抱いていると分析し、その不安の正体は、社会について“知らない”ことにあるのではないかと推察した。

 この仮説を検証する場として選んだのが、早稲田大学広告研究会が主催する早稲田祭のトークイベントである。本イベントは来場者の約9割を若者・大学生が占めており、ターゲット層に対する効果測定を行う場として適切だと判断した。

 イベント会場ではアンケートを実施し、新聞に対するイメージや情報取得行動に関する回答を収集。その結果を分析したうえで、当初立てていた仮説が一定程度妥当であることを確認し、それを踏まえてクリエイティブの方向性を最終決定した。

就活生をターゲットにしたコピー設計

 「今日起きたことも知らないやつが、未来を創れるわけがない。」というコピーを掲げたグラフィック広告は、仮説の検証結果を反映したものだ。

 広告にコラージュした新聞記事は、学生や若者にとって馴染みの薄い記事をあえて多く取り上げ、「自分は社会についてどれだけ知っているか」という問いを突きつける設計とした。記事の選定では、誰もが知っている話題や、すでにSNSで拡散され尽くしたニュースは意図的に選ばない判断を重ねた。

 新聞を読むことは、単にニュースを知る行為ではない。政治・経済・国際情勢など、社会を構成する要素を体系的に把握し、自分の言葉で語れるようになるための土台をつくる行為でもある。本グラフィックでは、こうした視点から選定した新聞記事をコラージュしたビジュアルとコピーを組み合わせることで、「今日の社会」と「自分の未来」が地続きであることを視覚的に表現した。

もう一つの視点|「紙にするって、覚悟がいる。」

 「紙にするって、覚悟がいる。」というコピーのグラフィック広告は、近年若者の間で広がる「大手メディアは信頼できない」「テレビや新聞は偏向報道をしているのではないか」といったイメージそのものに向き合うことから出発している。

 SNSや動画メディアを巡っては、速報性や刺激的な表現が優先される一方で、報道の根拠や検証過程が見えにくいという課題も指摘されている。本広告は、そうした状況の中で、あらためて「新聞はどのように情報を世に出しているメディアなのか」を問い直す試みである。

 この広告が目指したのは、大手メディアへの不信感に対して反論することではない。新聞がどのようなプロセスを経て情報を届けているのか、その構造自体を提示することで、信頼の根拠を可視化する点にある。

 新聞は、政治・経済・国際・社会・文化など多様な分野を、それぞれの専門記者が取材し、事実確認や裏取りを重ねた記事の集合体である。推論や印象ではなく、裏付けに基づいた情報を積み重ね、印刷すれば後戻りできない「紙」にするという工程こそが、新聞というメディアの信頼性と強みを支えている。

 この点について、宮島は「推論ではなく、根拠を積み上げて記事がつくられているという構造そのものが、新聞ならではの価値だと感じました。そのプロセスを広告として見せることが、信頼につながると考えました」と振り返る。

 本グラフィックでは、実際の新聞印刷の現場を写した写真をビジュアルに使用している。取材・校閲・編集といった工程を経て情報が紙に刷られるまでの流れを可視化することで、新聞制作の裏側にある責任の重さを直感的に伝える狙いがある。

 一度紙に刷られた情報は簡単に書き換えられない。その不可逆性があるからこそ、発行前の確認や検証が徹底される。この点にこそ「紙にする」という行為の覚悟が表れていると考え、言葉とビジュアルの両面から表現した。

なぜ、駅広告なのか

 本プロジェクトにおいて駅広告という媒体が選ばれた理由は、広告が日常の延長線上に存在するからである。通学や移動といった日常的な行為の中で、意図せず目に入る駅広告は、ニュースや社会と距離を感じがちな若者に対して、あらためて社会との接点を提示する役割を果たす。

 駅広告という選択について、宮島は「駅は、誰かが情報を取りに行く場所ではなく、日常の中で自然と目に入る場所です。社会やニュースと距離を感じている学生にとって、駅広告は一番現実的な接点だと考えました」と語る。

制作を通じて見えたもの

 駅広告という公共性の高い媒体で表現を行う以上、過激さや一時的な話題性だけでは成立しない。何を、誰に、どのような責任のもとで伝えるのか。その問いに向き合い続けたこと自体が、本プロジェクトの大きな成果であったと考えている。

 一方で、学生だからこそ持ち得る違和感や率直な疑問が、広告表現に新たな視点をもたらした場面も少なくない。実社会と接続した制作経験は、参加メンバーにとって大きな学びとなった。

プロジェクト概要

・企画名:早稲田大学広告研究会 × 読売新聞 駅広告プロジェクト
・クライアント:読売新聞社様
・制作:早稲田大学広告研究会
    (宮島堅、村田恵生、太田凪咲、伊藤彩夏、林田和奏)
・掲出場所:①JR高田馬場駅 ②東京メトロ高田馬場駅 ③東京メトロ早稲田駅早稲  田駅/高田馬場駅(駅構内)
・掲出期間:①JR高田馬場駅=3月23日~3月31日 ②東京メトロ高田馬場駅=3月25日~3月31日 ③東京メトロ早稲田駅=3月23日~3月29日
・掲出サイズ:B0(2種類)

今後に向けて

 早稲田大学広告研究会では、今後も実社会と接続した広告制作やプロジェクトを通じて、学生ならではの価値発信に挑戦していく予定だ。

 本企画が、新聞というメディアを改めて考えるきっかけとなり、また学生主体のクリエイティブの可能性を示す一例となることを期待したい。


※本プロジェクトの仮説検証の場となった早稲田祭トークイベントの様子は、以下の記事でも紹介されている。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000129460.html
https://realsound.jp/tech/2025/12/post-2241376.html
https://realsound.jp/tech/2025/12/post-2241398.html