分散DCにおけるAIの分散処理やワークロードシフトによりAI処理と電力の最適化の社会実装をめざす「ワット・ビット連携」の実証を開始

2026-09-18 10:00
NTTドコモビジネス株式会社 中国電力株式会社 NTTアノードエナジー株式会社 株式会社エネコム 北海道総合通信網株式会社

 NTTドコモビジネス株式会社(以下 NTTドコモビジネス)、中国電力株式会社(以下 中国電力)、NTTアノードエナジー株式会社(以下 NTTアノードエナジー)、株式会社エネコム(以下 エネコム)、北海道総合通信網株式会社(以下 HOTnet)は、ワット・ビット連携※1に関する実証実験(以下 本実証)を2026年8月より開始しました。(以下 本5社をコンソーシアム構成企業とする)
 本実証は、総務省の令和8年度「ワット・ビット連携関連実証」に関する実証事業※2の採択を受けて実施するものです。docomo business APN Plus(R) powered by IOWN※3 (以下 docomo business APN Plus(R))や分散制御システム技術を活用したデータセンター(以下 DC)間の連携、および電力需給にもとづいた柔軟なワークロードシフト※4の検証を通じ、ワット・ビット連携の社会実装を推進します。

1.背景と目的
 近年、AIの高度化やIoT・クラウド活用の拡大に伴い、社会全体でデータ処理量と電力需要が急増しています。これに伴い、データ活用基盤を動かすDCへの電力の安定的・効率的な供給が喫緊の課題となっています。この課題に対し、国においては一昨年度よりワット・ビット連携官民懇談会を立ち上げ、データ活用と電力供給の最適化を一体で図るワット・ビット連携の議論が進められています。
 一方、地方では、人口減少社会において地域産業の生産性向上を図りつつ、社会インフラの維持・管理にも対応しなければならないという課題を抱えています。コンソーシアム構成企業は、こうした課題に対応する手段として、業務の効率化や高度化に資するAI活用への期待が高まり、今後その需要はさらに拡大すると想定しています。
 AI活用には、膨大なGPU※5リソースが必要となるため、単一のDCのみならず、複数のDCを組み合わせて効率的に利用する仕組みが不可欠です。複数DCの運用にあたっては、再生可能エネルギー(以下 再エネ)の発電量が多い地方のDCを最適に組み合わせることで、再エネの利用率増加を促進し、カーボンニュートラルへ貢献することが可能になります。
 コンソーシアム構成企業は、ワット・ビット連携を通して、日本全土での展開を想定した広域での高度なAI活用によるDXと、地方の再エネを活用したDC利用によるGXの両立をめざし、地域の抱える社会課題の解決に向けた実証に取り組みます。

2.実証の概要
 本実証では、2026年8月~2027年2月の間、docomo business APN Plus(R)、分散制御システム技術、およびワークロードシフト技術を組み合わせ、ワット・ビット連携の実現可能性を検証していきます。

(1)docomo business APN Plus(R)・分散DCを活用した、医療・スマート保安※6における分散AI推論※7・学習※8の実証
・本実証では、分散制御システム技術を活用し、ユースケース特性等を踏まえた最適な分散配置および実行処理の実証を、以下2つの環境で実施します。
 ・検証環境1(広域)
  ・三鷹DC、札幌DC、広島DCを10Gbpsのネットワークで接続した環境
 ・検証環境2(東京近郊)
  ・三鷹DC、秋葉原DC、横浜DCを100Gbpsのネットワークで接続した環境

分散DC実証構成イメージ

分散DC実証構成イメージ

図1.分散DC実証構成イメージ

・また医療特化LLM※9やスマート保安VLM※10といったリアルタイム性が求められるユースケースにおけるユーザビリティを検証します。

ユースケースイメージ(医療業務への生成AI(LLM)の活用) 図3.ユースケースイメージ(設備などの保安業務への生成AI(VLM)の活用)

ユースケースイメージ(医療業務への生成AI(LLM)の活用) 図3.ユースケースイメージ(設備などの保安業務への生成AI(VLM)の活用)

図2.ユースケースイメージ(医療業務への生成AI(LLM)の活用)

ユースケースイメージ(設備などの保安業務への生成AI(VLM)の活用)

ユースケースイメージ(設備などの保安業務への生成AI(VLM)の活用)

図3.ユースケースイメージ(設備などの保安業務への生成AI(VLM)の活用)

(2)電力情報に基づくAI推論・学習のワークロードシフトの社会実証
・複数DCのGPUサーバ間において、電力情報に基づくAI推論/AI学習のワークロードシフトを行うための技術確立、およびワークロードシフトによる経済価値/環境価値向上とAI推論/AI学習サービスレベルのトレードオフの関係性を評価します。
・電力情報を基に複数DC間における計算資源を連携制御し最適運用するワークロードシフトシステムを実現します。

ワークロードシフト実証構成イメージ

ワークロードシフト実証構成イメージ

図4.ワークロードシフト実証構成イメージ

3.実証における各社の役割

令和8年度コンソーシアム体制

NTTドコモビジネス
・ワット・ビット実証事業統括
・各ユースケース実証、ユースケースに用いるAI技術の提供
・関東地方のDCの提供
・ワークロードシフト・分散処理の検証、および社会実装に向けた検討
・分散制御システム、およびワークロードシフトシステムの開発/実証
・通信ネットワーク(docomo business APN Plus(R))の提供
・GPUサーバの提供
中国電力
・再エネ発電予測等の電力データに基づくワークロードシフトの最適運用の検討支援
・ワークロードシフトに用いる再エネ発電予測とデータ提供(中国地方)
・ワークロードシフトシステムとエネルギーマネジメントシステム(再エネ発電予測等)の連携の検証支援
・スマート保安における実証フィールドの提供
NTTアノードエナジー
・再エネ発電予測等の電力データに基づくワークロードシフトの最適運用の検討支援
・ワークロードシフトに用いる再エネ発電予測とデータ提供(関東、北海道地方)
エネコム
・中国地方のDCおよび通信ネットワークの提供
・DCとしてのワークロードシフト・分散処理の受容性の検証、および社会実装に向けた検討支援
HOTnet
・北海道地方のDC提供
・DCとしてのワークロードシフト・分散処理の受容性の検証、および社会実装に向けた検討支援

4.社会実装に向けたロードマップと本実証の位置づけ
 本実証を通じて、分散処理およびワークロードシフトの成立条件を検証・把握し、令和10年度頃までに電力・通信・計算資源を統合制御するワット・ビット制御システム※11の実現を目指します。併せて活用するユースケース分野の拡充、連携するDCの拡大も進め、ワット・ビット制御システムを用いた事業の開始を目指します。本実証ではその基盤確立に向けた初期段階として、実環境における技術性・事業性・制度面の成立条件を整理します。

※1:ワット・ビット連携とは、データ処理(ビット)と電力供給(ワット)を一体的に最適化することで、AIやデータ活用に必要な計算資源の運用効率向上と、エネルギーの有効活用の両立をめざす取り組みです。
※2:総務省が実施するワット・ビット連携の推進に資する、オール光ネットワークおよびこれに相当する先進的ネットワーク等を活用した分散DC運用や高度なワークロードシフトに関する実証事業のことです。詳細は、以下をご参照ください。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000279.html
※3:docomo business APN Plus(R) powered by IOWNとは、NTTドコモビジネスが提供するフォトニクスベースの技術による「高速大容量」「低遅延ゆらぎゼロ」「低消費電力」と「オンデマンドな帯域制御」を兼ね備えた高品質ネットワークです。詳細は、以下をご参照ください。 
https://www.ntt.com/business/services/network/private-network/arcleasedline/apnplus.html
※4:ワークロードシフトとは、計算資源やDCにおける処理負荷を動的に移動させることです。
※5:GPU(Graphics Processing Unit)とは、3Dグラフィックスなどの画像描写を行う際に必要となる計算処理を行う半導体チップ(プロセッサ)のことです。
※6:スマート保安とは、IoTやAIなどの導入により保安力や効率性を高める保安技術です。
※7:AI推論とは、学習済みのAIモデルに対して新しいデータを入力し、予測や分類、テキスト生成といった結果を得る処理です。
※8:AI学習とは、大量のデータからパターン、ルールを学び知識やルールを獲得するプロセスです。
※9:LLM(Large Language Model)とは、大量のテキストデータを学習し、文章の生成や要約、質問応答などを行う大規模言語モデルです。
※10:VLM(Vision Language Model)とは、画像や映像とテキストを組み合わせて理解し、内容の説明や判断、質問応答などを行う視覚言語モデルです。
※11:ワット・ビット制御システムとは、分散DC制御システムとワークロードシフトシステムを統合させたものです。