「すべり軸受用ベンチ試験機」運用開始のお知らせ ~次世代洋上風力の社会実装に貢献~
大同メタル工業株式会社(以下 当社)は、当社連結子会社の大同メタル佐賀株式会社(佐賀県武雄市)に新設した「風車技術研究所 実験棟」にて、世界初となる軸受メーカー単独でのすべり軸受用ベンチ試験機(軸径1,000mm)の設置を2025年4月末に完了し、運用を開始いたしました。

本試験機では風車メーカー様側における洋上風力発電実機の主軸用すべり軸受と同等の使用環境(周速、面圧)を実現させ、その環境下において、すべり軸受を採用した場合における評価実験の実施を可能にし、従来の風車主軸受にすべり軸受の導入を想定した軸受周辺システムについて、自主的な提案を行うことで風車メーカー様側における評価工数やコスト負担を軽減、導入プロセスの簡素化の実現につなげてまいります。
また、運用で得られる検証データを活用し、当社独自のバイメタル(注1)技術を用いたPEEK複合材(注2)の軸受材料や豊富な製品群を組み合わせたソリューション提案力を高め、風力発電のさらなる信頼性向上を目指し、洋上風力発電の社会実装ならびに2050年のカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
(注1) 鋼板を土台に、さまざまな特性の軸受層を接合した複合材
(注2) 熱可塑性(ねつかそせい)(物質に熱を加えることで柔らかくなり、冷ますと固くなる性質)樹脂中で最高の耐熱性を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)に特殊充填剤を添加することにより、耐薬品性、耐熱性および優れた摺動特性を兼ね備えた材料
[関連情報]
当社について:
当社は、1939年(昭和14年)の創業以来、自動車、船舶、建設機械、一般産業向けなど、多種多様な産業分野で使用される「軸受(ベアリング)」を製造・販売している「総合すべり軸受メーカー」で、日本、北米、欧州、アジア、中国の5つの地域において、生産・販売・研究開発体制を構築しています。
自動車のエンジンに使用される半割すべり軸受では世界シェア約38.7%、大型船舶のエンジンに使用されるすべり軸受では同約75.0%と、いずれも世界トップのシェアを有しています。(シェアは2024年暦年ベース/当社推定)
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択:
当社は、2022年1月に洋上風力発電機の大型化に対応する次世代風車要素技術の開発に関し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「グリーンイノベーション基金事業(洋上風力発電の低コスト化プロジェクト)」(注3)の助成事業に「風車主軸受の滑り軸受化開発」で採択され(開発金額:約12億円内、助成金約8億円)、竣工した本実験棟には、世界初となる軸受メーカー単独でのすべり軸受用ベンチ試験機(軸径1,000mm)を設置し、佐賀大学、産業技術総合研究所と協力し風車用すべり軸受の開発に取り組んでいます。
(注3) 風車の大型化に対応する次世代風車要素技術の開発を踏まえ、深い海域でも設置が可能な浮体式を中心とした洋上風力発電のコスト低減によって導入拡大を目指すプロジェクト
大同メタル工業株式会社
■2024年12月5日ニュースリリース:
大同メタル、『風車技術研究所 実験棟』を竣工
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7245/ir_material4/242109/00.pdf
■2023年5月10日ニュースリリース:
「大同メタル工業、欧州洋上風力発電機用主軸受の供給契約締結」
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7245/tdnet/2271224/00.pdf
■2022年2月4日ニュースリリース:
「NEDO「グリーンイノベーション基金事業(洋上風力発電の低コスト化プロジェクト)」に採択」
https://www.daidometal.com/jp/20220204-2/
■大同メタルウェブサイト 風力発電機用軸受:
https://www.daidometal.com/jp/wind-power/
NEDO
■2023年11月時点 事業戦略ビジョン:
実施プロジェクト名:洋上風力発電の低コスト化プロジェクト
研究開発項目フェーズ1-(1)次世代風車技術開発事業/風車主軸受の滑り軸受化開発
https://green-innovation.nedo.go.jp/pdf/offshore-wind-power-generation/item-001-1/vision-daidometal-003.pdf