日本の内視鏡治療機器市場2024~2031年、市場規模・企業動向・分析レポートを発表

2026-09-08 09:30
株式会社マーケットリサーチセンター

株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「日本の内視鏡治療機器市場2024~2031年、英文タイトル:Japan Endotherapy Devices Market Research 2024-2031」調査資料を発表しました。本資料には、日本市場規模、企業動向、セグメント別予測、市場シェアなどの情報などが盛り込まれています。

■主な掲載内容

日本の内視鏡治療機器市場は、2023年に27億米ドル規模となり、2031年には44億4,000万米ドルに達すると予測されている。2024~2031年の年平均成長率(CAGR)は6.4%で、内視鏡診断・治療の高度化、高齢化に伴う疾患需要の増加、低侵襲治療へのシフトなどを背景に、今後も堅調な成長が見込まれている。

内視鏡機器は、体内の臓器や構造を可視化し、診断や治療を低侵襲で行うための医療機器である。消化器科、呼吸器科、婦人科、整形外科など幅広い診療領域で利用され、代表的な手技には大腸内視鏡、気管支鏡、腹腔鏡などが含まれる。従来の開腹・開胸手術と比べて身体への侵襲を抑えられるため、患者の回復が早く、術後負担も軽減できる点が大きな特徴である。高精細画像や3D可視化などの画像技術の進歩によって、診断・治療精度がさらに向上している。

市場成長を牽引する最大の要因の一つは、内視鏡機器の技術進歩である。高精細画像、3D可視化、AI支援診断などが普及しつつあり、医師が病変をより正確かつ効率的に発見できるようになっている。特にAIを用いたリアルタイム画像解析は、がんやポリープを示唆する特徴的なパターンを自動的に検出することで、診断支援の高度化に寄与している。

また、カプセル内視鏡のような患者負担の少ない診断技術や、柔軟性の高いロボット内視鏡も重要な技術革新として挙げられている。カプセル内視鏡は、従来型の内視鏡挿入に比べて患者にとって受け入れやすい消化管検査手段となり得る。一方、柔軟ロボット内視鏡は、従来の機器では到達しにくい部位へのアクセスや操作性を改善し、組織への損傷を抑えながら複雑な処置を行える可能性がある。

具体的な企業動向として、Olympus Corporationは2024年10月、「Intelligent Endoscopy Ecosystem」を発表した。これはハードウェア、ソフトウェア、サービス、臨床データを統合し、診療上の意思決定や医療機関の運用効率を向上させることを目指す包括的な内視鏡技術システムである。個別の内視鏡装置を高性能化するだけでなく、診療室全体をデジタルに連携させる方向へ市場が進んでいることを示している。

この「Intelligent Endoscopy Ecosystem」では、内視鏡装置や周辺機器が相互にシームレスに通信し、AIアルゴリズムや臨床現場から得られるデータを活用することが想定されている。こうした統合によって患者アウトカムだけでなく、病院や医師の業務効率も改善することが期待されている。今後の内視鏡市場では、単体装置の画像性能だけでなく、データ連携、ソフトウェア、AI、サービスを含むシステム全体の価値が重要になると考えられる。

一方、市場拡大の大きな阻害要因として、内視鏡機器および関連処置の高コストが挙げられている。高度な内視鏡装置は導入価格が高いだけでなく、メンテナンスや修理費も必要となるため、医療施設にとって大きな財務負担となる場合がある。特に予算の限られた医療機関では、高性能機器の導入が難しく、市場浸透を妨げる要因となる。

さらに、高度な内視鏡機器を操作するには専門的な技術や経験が必要であり、熟練した医療従事者の不足も普及を制約する要因とされている。とくに地方や医療資源が不足する地域では、高性能機器があっても十分に使いこなせる人材が不足する可能性があり、それが診断・治療の遅れにつながる。したがって、機器導入だけでなく、医師・技師の教育や訓練も市場拡大に不可欠である。

具体的な価格例として、基本的な内視鏡システムの初期費用は450万円、バイポーラ鉗子本体システムは350万円、高速ドリル本体システムは303万5,000円とされており、これらには映像関連設備の費用が含まれていない。映像装置や互換性のある周辺システムを追加すると、実際の導入費用はさらに高くなる。このため、患者中心の臨床成果や費用対効果が期待できる治療でも、病院経営上の制約から適切な導入が難しい場合があるとされている。

日本の内視鏡治療機器市場は、製品タイプ、用途、エンドユーザー別に分類されている。この中では内視鏡本体が主要な市場シェアを占め、予測期間中も重要な地位を維持すると見込まれている。

内視鏡セグメントが優位にある背景には、日本の高齢化と消化器疾患・慢性疾患の増加がある。内視鏡は、体内臓器を直接可視化しながら診断・治療を行えるため、ポリープ切除、止血、ステント留置など多様な処置に利用されている。診断だけでなく、その場で治療まで実施できることが、内視鏡治療の大きな強みである。

また、日本には高度な医療インフラがあり、予防医療への関心も高いため、先進的な内視鏡技術が導入されやすい環境にある。早期発見を重視する医療体制では、胃、大腸、呼吸器などの病変をできるだけ早く発見するための内視鏡検査が重要であり、それが高性能機器への需要につながっている。

新製品投入も市場成長を支えている。2024年10月、OlympusはEVIS X1 Endoscopy System向けに新たな気管支鏡2機種を発売した。これらの気管支鏡は、細い外径と大きなワーキングチャンネルを持ち、より末梢の気道へのアクセスを可能にすることを目的としている。高精細画像にも対応し、処置中の吸引性能や柔軟性を高めている。

ワーキングチャンネルが大きいことによって、診断・治療用のさまざまなデバイスを内視鏡内部に通すことができ、気管・気管支領域でより幅広い処置を行える。これは、内視鏡が単なる観察用カメラから、複数の治療器具を通して処置する総合的な治療プラットフォームへ進化していることを示している。

用途別では、婦人科内視鏡分野が最も成長の速いセグメントとされている。婦人科内視鏡は、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、不妊関連疾患などの診断・治療に利用される。代表的な手技として子宮鏡や腹腔鏡があり、従来型手術に比べて術後の痛みが少なく、回復が早く、傷跡も小さいというメリットがある。

女性の生殖・婦人科健康への関心が高まり、早期診断への需要が増えていることも、このセグメントの成長を後押ししている。患者側からみても、身体への負担や傷跡をできるだけ抑えたいというニーズが強いため、低侵襲な婦人科内視鏡手術への需要は拡大しやすい。

なお、資料中では婦人科内視鏡セグメントの説明の途中に「日本の病院は血液透析サービスの主要提供者である」という記述が含まれているが、これは内視鏡治療機器市場の文脈とは整合しない。資料自体にはそのように記載されているため、そのまま扱う必要があるが、婦人科内視鏡市場の説明としては関連性が低い記述とみられる。

2024年9月には、Olympusが泌尿器科・婦人科向け内視鏡処置用の4Kカメラヘッド「CH-S700-08-LB」を発売した。このカメラヘッドはVISERA ELITE IIIビデオシステムセンターに対応しており、内視鏡手術での高精細な可視化を目的としている。開発はOlympusとSony Corporationの合弁会社であるSony Olympus Medical Solutions Corporationが主導した。

こうした4K画像技術の導入は、微細な組織や病変をより鮮明に確認できるようにし、診断精度や手術操作の正確性を高める可能性がある。婦人科や泌尿器科の内視鏡手術では、狭い術野で繊細な処置を行う必要があるため、画像品質の向上は直接的な臨床価値につながりやすい。

競争環境では、Olympus Corporation、HOYA Corporation傘下のPentax Medical、Fujifilm Holdings Corporation、Sumitomo Bakelite、Shinko Optical、TOP Corporation、KARL STORZ Japan、Nipro Corporation、Terumo Corporation、Hitachiなどが主要企業として挙げられている。日本企業が多く含まれており、内視鏡および関連機器における国内産業基盤の強さがうかがえる。

特にOlympusは、内視鏡本体だけでなく、画像プラットフォーム、AI、ソフトウェア、周辺治療機器などを含むエコシステム型の戦略を進めている。HOYA/Pentax MedicalやFujifilmなども内視鏡・画像技術で競争しており、今後の市場では単体機器の画質だけでなく、診断支援、データ連携、操作性、治療機能などを統合した総合ソリューションが差別化要因になると考えられる。

最近の主要な動向として、2023年10月にはOlympusが消化器領域向けに次世代「EVIS X1」内視鏡システムと、それに対応するGIF-1100およびCF-HQ1100DL/I内視鏡を投入した。GIF-1100は上部消化管、CF-HQ1100DL/Iは下部消化管を対象とした機器である。

また、2023年11月にはOlympusがEVIS X1を中国でも発売し、欧州、日本、米国に続いて主要市場への展開を進めた。資料では、同システムが2020年4月に欧州、日本、米国で最初に発売されたとされており、中国での投入によって主要地域での展開が一段と広がった。

市場には大手企業だけでなく、新興・成長企業も存在する。資料では、JMS、Matsunami Glass、Asahi Intecc、Nissha Medical Technologies、Kuraray、Sysmexなどがエマージングプレイヤーとして挙げられている。こうした企業は、内視鏡本体だけでなく、構成部品、医療材料、デジタル技術など周辺領域から市場に関与する可能性がある。

レポートの市場区分に関しては注意点もある。本文では、日本の内視鏡治療機器市場は「製品タイプ、用途、エンドユーザー」で分類されるとされ、実際に内視鏡や婦人科内視鏡について分析されている。しかし後半のReport Insights表では、製品タイプとして「血液透析装置、腹膜透析装置、その他」、疾患として「慢性、急性」、エンドユーザーとして「透析センター、在宅」など、明らかに透析市場に対応する区分が記載されている。これは資料内部の記載不整合であり、内視鏡治療機器市場のセグメンテーションとしてそのまま解釈するのは難しい。

したがって、この資料から市場構造を読む際には、本文で一貫して説明されている「内視鏡本体」「婦人科内視鏡」「消化器・呼吸器などの用途」を中心に捉えるのが妥当であり、Report Insights表の透析関連分類については、原資料上の整合性に問題がある点を留意する必要がある。

総じて、日本の内視鏡治療機器市場は、2023年の27億米ドルから2031年には44億4,000万米ドルへ拡大する中成長市場であり、低侵襲診療の普及と画像・AI技術の高度化が主要な成長要因となっている。特に高精細・3D画像、AI診断支援、カプセル内視鏡、ロボット内視鏡などの技術は、内視鏡診療の精度、操作性、患者負担の軽減を同時に改善する方向にある。

今後は、内視鏡が単なる観察装置から、診断、治療、AI、データ管理、院内業務支援までを統合するプラットフォームへ発展していく可能性が高い。Olympusの「Intelligent Endoscopy Ecosystem」はその象徴的な事例であり、装置単体の販売だけでなく、ソフトウェア、サービス、臨床データを含めた継続的な価値提供が競争の中心になっていくと考えられる。

一方で、装置価格、保守費、映像設備、専門人材の確保といったコスト面は引き続き市場拡大の制約となる。このため、日本市場で競争力を持つためには、「高画質」「高精度」「低侵襲」だけでなく、「導入・運用コスト」「操作性」「スタッフ教育」「既存設備との互換性」「診療ワークフロー改善」まで含めた総合的な価値を提供することが重要になる。今後の市場では、AIや4K画像など高度な技術を、医師や病院が実際に使いやすく、臨床成果と経営効率の双方につなげられる形で提供できる企業が優位に立つ可能性が高い。

※目次構成

  1. 調査方法および調査範囲
    調査方法
    調査目的およびレポートの対象範囲
  2. 定義および概要
  3. エグゼクティブサマリー
    製品タイプ別市場概要
    用途別市場概要
    エンドユーザー別市場概要
  4. 市場動向
    市場への影響要因
    成長要因
    内視鏡機器における技術進歩
    XX
    阻害要因
    高コストおよびアクセスの制約
    市場機会
    影響分析
  5. 業界分析
    ポーターの5フォース分析
    サプライチェーン分析
    価格分析
    規制分析
  6. 製品タイプ別
    はじめに
    製品タイプ別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    製品タイプ別市場魅力度指数
    内視鏡*
    はじめに
    市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    内視鏡手術用デバイス
    内視鏡画像・可視化装置
  7. 用途別
    はじめに
    用途別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    用途別市場魅力度指数
    婦人科内視鏡*
    はじめに
    市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    消化器内視鏡
    気管支鏡
    泌尿器内視鏡
    関節鏡
    腹腔鏡
  8. エンドユーザー別
    はじめに
    エンドユーザー別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    エンドユーザー別市場魅力度指数
    病院*
    はじめに
    市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    外来手術センター(ASC)
    専門クリニック
  9. 競争環境
    競争状況
    市場ポジショニング/市場シェア分析
    M&A(合併・買収)分析
  10. 企業プロファイル
    10.1 Olympus Corporation(オリンパス株式会社)*
    企業概要
    製品ポートフォリオおよび製品概要
    財務概要
    主な動向
    10.2 その他の主要企業
    HOYA Corporation(PENTAX Medical)
    Fujifilm Holdings Corporation(富士フイルムホールディングス株式会社)
    Sumitomo Bakelite Co., Ltd.(住友ベークライト株式会社)
    Shinko Optical Co., Ltd.
    TOP Corporation(株式会社トップ)
    KARL STORZ Japan K.K.
    Nipro Corporation(ニプロ株式会社)
    Terumo Corporation(テルモ株式会社)
    Hitachi, Ltd.(株式会社日立製作所)

※企業一覧は網羅的なものではありません。

  1. 付録
    当社およびサービスについて
    お問い合わせ

■当英文調査レポートに関するお問い合わせ・お申込みはこちら
https://www.marketresearch.co.jp/contacts/

■株式会社マーケットリサーチセンターについて
https://www.marketresearch.co.jp
主な事業内容:市場調査レポ-トの作成・販売、市場調査サ-ビス提供
本社住所:〒105-0004東京都港区新橋1-18-21
TEL:03-6161-6097、FAX:03-6869-4797
マ-ケティング担当、marketing@marketresearch.co.jp