速報!「第29回岡本太郎現代芸術賞」受賞者が決定! 入賞者・入選者の作品を集めた展覧会を 川崎市岡本太郎美術館で1月31日~3月29日に実施
公益財団法人岡本太郎記念現代芸術振興財団 岡本太郎記念館(所在地:東京都港区南青山6-1-19、館長:平野 暁臣)は、岡本太郎の遺志を継ぎ、次代のアーティストを顕彰する岡本太郎現代芸術賞(通称TARO賞)にて、太郎賞1名、敏子賞1名、特別賞6名が決定し、2026年1月30日(金)に受賞者発表と授賞式をとりおこないました。
今年で29回をむかえる本賞には644点の応募があり、21組が入選いたしました。
また、入賞者・入選者の作品を集めた「第29回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」展を1月31日(土)から3月29日(日)まで、川崎市岡本太郎美術館にて開催いたします。
次代のアーティストの意欲的な作品をぜひご覧ください。
岡本太郎賞(賞金200万円):高田 哲男(たかた てつお)『FUKUSHIMA5000』

審査評
東日本大震災から15年となる2026年。わたしたちの国土はなお、毎日のように地震で揺れ、津波に警戒し、そのたびに原子力発電所の安否に聞き耳を立てている。作者は、過ぎていった日々の積み重ねを、放射能で被災した地域の地方紙や報道などをもとに、誰にでも入手できる簡素な素材とインクボールペンで描いた延べ5,440枚(大震災から5,440日)の素描をもとに、巨大なモノクロームの集積に仕上げた。原発事故という甚大な出来事と、日々の記録とのギャップが、この塊の中で一体のものとなり、わたしたちの「現在」の前にうずたかく積み重なっている。(椹木 野衣)
岡本敏子賞(賞金100万円):馬場 敬一(ばば けいいち)『死と再生のイニシエーション』

審査評
最も強烈なインパクトを与えた作品である。「鬱で得た死生観」をもとにネガティブなエネルギーから出発し、「描き、破壊し、再構築し、固める」という工程を経て、「誕生、死、再生、永遠」を象徴する作品へと昇華させた。そんな制作過程を記録した映像によって、鑑賞者も追体験することができる。段ボールにモノクロームで描かれた自画像、髑髏、女神は樹脂で固められることによって妖しい光を纏う。ネガティブなエネルギーを見事にポジティブに変換した、モニュメンタルな大作である。(山下 裕二)
特別賞(賞金10万円):宇佐美 雅浩(うさみ まさひろ)
『Manda-la in Hiroshima 80 years after the atomic bombing』

審査評
一見、合成写真のように見えるが、すべて画面を作り込んだ上での写真撮りである。完成に至るまでに、参加ボランティアとの打ち合わせ、取材地撮影の許認可等々、数年の時間をかける。出品作の2点は被爆地に何らかの関連を持つ、市民数百名が参加している。参加者各自の記憶と思いと、舞台芸術を思わせる緻密な構成と演出が相乗し、現場写真ならではの強い訴求力を持つ作品となった。(土方 明司)
特別賞(賞金10万円):櫻井 隆平(さくらい りゅうへい)『Rotating objects No.3: too close to be real』

審査評
脆いスポンジの素材でつくった戦車を、鑑賞者がハンドルを回すことで少しずつ削られてゆくというリアリティーは、面白さの中に、遠い土地で起こっている戦争という現実に対する感覚のズレを呼び起こし、私達の日常を認識するために、現実をどの様に受け取るかについての彫刻としてのあらたな可能性を示している。作者の遊びの精神が新しい視点や発想を生み出す力となっていて秀逸だ。(福田 美蘭)
特別賞(賞金10万円):鈴木 藤成(すずき とうせい)『僕と鬼の云々』

審査評
ブルーシートを素材にして制作を続けている作家の最新作。鬼という題材をブルーシートの青と樹脂による赤によって呪文のような祝詞のような文字で埋め尽くされている。現実の出力写真に幾つものレイヤーを重ね、過去とスピリチュアルの世界を重くなり過ぎないように表現することに成功している。展示スペースの入り口にあるブルーシートの鳥居も儚さと時間の経過、精神世界の不可視化を上手く表現できている。(和多利 浩一)
特別賞(賞金10万円):Soma Tsuchida『自己完結型創造症候群』

審査評
まずは圧倒的な物量感とその裏に伏流する創造への熱量に眼が釘付けになった。チープなダンボール片が古代遺物のごとき取り澄ました佇まいでこちらをまっすぐ見てくる。テーマは「内面世界の視覚化」であり、自分の奥底に眠っているものを「発掘」する。それが作者の意図だ。この「遺跡」から観る者が彼の内面に触れることはむずかしいにしても、この誠実で偏執的な空間から、記憶の深度と多層性だけはわかる。19歳とは驚きだ。(平野 暁臣)
特別賞(賞金10万円):みずかみ しゅうと『4羽のメジロのための棺桶』

審査評
一見して単に戦闘機をかたどった彫刻作品かと思ったが、細部に眼を凝らせば、実は「棺桶」であることに気づく。コクピットの部分には4つの小さな棺が収められており、その中には蛇に飲まれた4羽のメジロの雛の死骸が入っている。戦闘機がまとう鳥の羽根は、なんと約3万枚。弱きものの死を悼み、その再生を願う作者の心情が結晶した作品である。戦闘機の上に載る天使の造形も見事である。(山下 裕二)
特別賞(賞金10万円):吉村 大星(よしむら たいせい)『丁寧な対話』

審査評
一見して美しい細密画に見える作品は、2013年に亡くなった父、吉村 芳生による色鉛筆画と同じ寸法、構図、手法で描かれた模写であり、この常軌を逸したとも取れる偏執的な制作には、父親という不可分な関係と真正面から対峙しようとする覚悟が滲み出ている。身体性を通して完成に至るプロセスがこの作品を理解するためには重要であり、そこから生み出された強く静謐な美しさは超絶技巧の枠を超えた別のものである。(福田 美蘭)
入選作家・作品名(50音順・敬称略)
・安西 剛『Giant Micro Plastic』
・太田 遼『建築のような物体X』
・KUMO(YUKI MORITA & RYUDAI MISAWA )『Your Discipline』
・黒木 重雄『いざこざ』
・Shinon Matsumoto『悲壮美』
・鈴木 美緒『春の山の調べ』
・田辺 朋宣『ポーズする毎日。とりあえずの犬』
・徳本 道修『New Western Paradise』
※「徳」は旧字体
・西久松 友花『Habitat』
・Hexagon artist(R)『眼球自我像』
※「Hexagon artist(R)」の「(R)」は、正しくは丸囲み文字
・ミか星(オガワミチ+石倉かよこ+舘星華)『~境界とは何か~ 多摩川グラフィティ』
・毛利 華子『502号室と』
・山田 徹『民族の蜃気楼~富士と大和型による~』
《第29回岡本太郎現代芸術賞 概要》
主催
公益財団法人岡本太郎記念現代芸術振興財団
川崎市岡本太郎美術館
審査員(50音順・敬称略)
・椹木 野衣/美術批評家、多摩美術大学教授
・土方 明司/川崎市岡本太郎美術館館長
・平野 暁臣/空間メディアプロデューサー、岡本太郎記念館館長
・山下 裕二/美術史家、明治学院大学教授
・和多利 浩一/ワタリウム美術館キュレーター
ゲスト審査員
・福田 美蘭/現代美術家
第29回岡本太郎現代芸術賞 公式サイト
《第29回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展 概要》
会期 :2026年1月31日(土)~3月29日(日)
会場 :川崎市岡本太郎美術館・企画展示室
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
休館日 :月曜日(2月23日を除く)、2月12日(木)、2月24日(火)
観覧料 :一般 700(560)円、
高・大学生、65歳以上 500(400)円
中学生以下は無料 ※( )内は20名以上の団体料金
交通 :小田急線「向ヶ丘遊園駅」南口より徒歩17分
第29回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展
https://www.taromuseum.jp/