笠岡市における「交通空白」解消に向けた 共同送迎実証を開始
~地域の未活用送迎車両を活用し、 持続可能な地域交通モデルの構築をめざす~
笠岡市、一般社団法人ソーシャルアクション機構(以下 SAO)、岡山トヨタ自動車株式会社(以下 岡山トヨタ自動車)、株式会社Cキューブ・コンサルティング(以下 Cキューブ)、NTTドコモビジネス株式会社(旧 NTTコミュニケーションズ株式会社、以下NTTドコモビジネス)、EXA INNOVATION STUDIO株式会社(以下EIS)、ソーシャルムーバー株式会社(以下 ソーシャルムーバー)は、国土交通省が推進する、地域交通DXプロジェクト「COMmmmONS(コモンズ)」※1、「交通空白」解消パイロット・プロジェクト※2の一環として、小中学生の通学・部活の送迎を目的に、全国でも先進的な取り組みとして地域の福祉・医療・教育施設が保有する送迎車両を連携して活用する共同送迎の実証(以下 本実証)を2026年10月末より開始します。
本実証は、人口減少社会における移動課題の解決に向け、既存の地域資源を有効活用した持続可能な地域交通モデルの構築と、全国の交通空白地域や中山間地域への展開も見据えた新たな社会インフラのあり方について、各者が連携して検証するものです。
- 背景
笠岡市では、人口減少と高齢化が進み、路線バスの減便や担い手不足により、高齢者の通院や福祉施設利用、小中学生の通学・部活動などにおける移動手段の確保が課題となっています。神島地区では、転入学特別制度に伴う保護者の送迎負担が発生し、加えて、少子化により生徒数が減少する中学校において、部活動を複数の学校が合同で実施していることから、部活動の送迎のために保護者の就労機会が減少する例もみられています。
一方で、福祉施設や医療機関などが保有する送迎車両には、送迎の片道で空車となる場合があります。本実証では、それらを地域全体で共有する「共同送迎」の仕組みを構築し、交通空白解消に向けた新たな地域交通モデルの実現をめざします。
- 取り組みの概要
本実証では、福祉施設や医療機関などの送迎車両およびドライバーを地域全体の輸送資源として活用し、これまで各施設が個別に運行していた送迎サービスを連携・共有する「共同送迎」の実証を2026年10月末から2027年1月まで実施します。
具体的な「共同送迎」の対象は、以下のとおりです。
・神島外浦地区における学区外から通学する児童生徒の登下校時の送迎
・集団登下校の集合場所までの送迎
・部活動の合同練習に伴う送迎
本実証により、福祉施設や医療機関の送迎車両が片道で空車となる時間を、子どもの通学や部活動の送迎に活用する仕組みを構築し、対象および運行便は、保護者や学校への意向調査を踏まえて確定します。また、「共同送迎」の枠組みを子どもの送迎以外にも適用できる設計とし、本実証を通じて、他施設の通所者や通所日以外の高齢者、障害のある方などへの展開可能性を検証します。
これにより、送迎の片道に生じる空車やドライバーの空き時間を有効活用し、複数施設の利用者や児童・生徒が同一車両に乗車する混乗運行や、送迎ルートの共同化を行うことで、限られた地域資源による効率的な輸送体制の実現をめざします。
また、地域交通DXプロジェクト「COMmmmONS(コモンズ)」を活用し、送迎車両の利用予約、配車、運行管理をデジタル化するとともに、利用実績や運行データ、アンケートなどを収集します。これらのデータをもとに、「共同送迎」が利用者、送迎事業者、自治体にもたらす効果を定量的・定性的に評価し、持続可能な地域交通モデルとしての有効性を検証します。

共同送迎イメージ
- 各者の役割
本実証における各者の役割は、以下のとおりです。
笠岡市
事業主体、行政との調整、地域公共交通との連携、公共ライドシェアの制度設計
ソーシャルアクション機構
共同企業体の代表者、効果測定の設計・分析、全体モデルの設計、全体マネジメント
岡山トヨタ自動車
地域コーディネート、関係者調整、協議会・事務局の運営、現地データ収集
ソーシャルムーバー
送迎管理システムの提供
Cキューブ
地域のニーズ調査の実施、共同送迎による利用者および地域への波及効果
NTTドコモビジネス
位置情報などを活用した効果測定の高度化、人流データなどを活用した移動傾向の分析
EXA INNOVATION STUDIO
地域交通DX推進プロジェクト「COMmmmONS」を通じた全体管理・進行管理
- 期待される効果
本実証では、共同送迎による社会的・経済的効果を多面的に検証します。
(1)利用者への効果
・子ども・高齢者等の移動機会を確保し、日常生活や社会参加を支援
・送迎負担軽減と外出機会拡大により、就労機会確保とQOL向上に貢献
(2)送迎事業者への効果
・車両・ドライバーの稼働率向上や事業者連携による運営効率化
・サービス拡充による新たな収益機会の創出
(3)自治体・地域への効果
・行政負担軽減と持続可能な地域交通ネットワークの構築
・外出・就労機会拡大による地域活性化と医療・介護費抑制
- 今後の展開
各者は、本実証の終了後、送迎車両を地域全体で有効活用するための運営ルールや予約・配車システム、費用負担のあり方、料金収受方法などを整理し成果として取りまとめます。さらに、本実証で得られた知見や効果測定手法を活用し、2027年度以降の本格運用に向けた公共ライドシェアの制度設計および事業化を検討するとともに、人口減少や高齢化が進む全国の交通空白地域の解消や中山間地域に展開可能な地域交通モデルとして普及をめざします。
また、本実証は、構想力・技術力・地域に対する知見を掛け合わせ、自治体、企業、教育機関、地域金融機関などの多様な主体が連携し、地域課題の解決と新たな価値創出の両立をめざす共創活動から生まれた取り組みです。今後は、本実証で得られた知見を活用し、地域交通分野をはじめとした新たな地域課題の解決や価値創出にもつなげ、持続可能な地域社会の実現に貢献していきます。
※1:地域交通DXプロジェクト「COMmmmONS(コモンズ)」とは、国土交通省が2025年度から推進する地域交通DXプロジェクトです。アプリ・データ・業務プロセスがそれぞれ個別に発展し連携していない「個別最適化」の課題に対し、サービス・データ・マネジメント・ビジネスプロセスの4つの観点から、デジタル活用のベストプラクティスの創出と標準化、その横展開を進める取組です。地域交通法の改正とも連動し、共同化・協業化や輸送資源のフル活用を後押しします。
※2:国土交通省では令和6年11月に「『交通空白』解消・官民連携プラットフォーム」を設立し、官民関係者の幅広い連携をもとに、全国各地において「交通空白」の解消に向けた取組を推進しています。(https://kaisyopf.mlit.go.jp/)「『交通空白』解消・官民連携プラットフォーム」では、先進的な知見や技術の活用により全国で「交通空白」の解消に取り組むロールモデルを、「『交通空白』解消パイロット・プロジェクト」とし、事例の創出と展開を進めることで、全国的な交通課題の解決を目指しています。

*本プロジェクトは、2025年9月11日に発表した産官学金連携による共創型ビジネスモデルの枠組みのもと、具体的な取り組みとして開始するものです。(https://www.ntt.com/about-us/area-info/article/20250911.html)