IOWN(R) APNを活用した新たなオフィスモデルの検証を実施
~高度なICT機器をオフィス外に集約し、オフィスの省電力化と快適な働き方の実現に貢献~
NTTドコモビジネス株式会社(旧 NTTコミュニケーションズ株式会社、以下 NTTドコモビジネス)、NTTドコモソリューションズ株式会社(旧 NTTコムウェア株式会社、以下 NTTドコモソリューションズ)、NTTアーバンソリューションズ株式会社(以下 NTTアーバンソリューションズ)、株式会社NTTファシリティーズ(以下 NTTファシリティーズ)の4社は、IOWN(R) APN※1を活用し、高度なICT機器をオフィス外に集約する新たなオフィスモデルの検証を行いました。
本検証は、これまでネットワーク帯域や遅延、応答性などの制約条件によりオフィス内に設置せざるを得なかったGPUマシンなどの高度なICT機器をオフィス外へ集約する取り組みです。これにより、オフィス内の消費電力や設置スペースなどの設備要件を緩和し、省電力化およびオフィススペースの有効活用を図ります。
本検証では、外部企業10社の協力のもと、映像品質、反応速度、業務への活用可能性、オフィス環境への影響、人材獲得への寄与といった観点から多角的な評価を実施しました。その結果、外部協力企業の皆様から高い評価をいただきました。本検証成果を踏まえ、オフィスの立地や環境に対する柔軟な選択肢を提供し、従来の制約にとらわれない新たなオフィスモデルの実現をめざします。
1.背景
近年、高度な計算機資源を活用した業務効率化や生産性向上に向けた取り組みがさまざまな分野で進展しています。建設・設計分野におけるBIM(Building Information Modeling)※2活用をはじめ、ゲーム・映像分野での高度な映像処理、製造業におけるAIを活用した素材開発など、計算能力の確保が企業競争力を左右する重要な要素となっています。
一方で、こうした高度なICT機器をオフィス内に設置・運用するには、消費電力や発熱対策、機器重量、設置スペースの確保など、オフィスに求められる設備条件は年々厳しさを増しています。加えて、オフィス回帰の動きが進む中、ワーカーのパフォーマンス最大化、円滑なコミュニケーションの促進、人材獲得のため、ワーカーへの高度なICT環境の提供やオフィス環境の整備がますます重要となっています。
このため、高度なICT機器をデータセンターに集約し、オフィスから遠隔利用する構成は、エネルギー効率やスペース活用の観点から有効な選択肢と考えられています。しかし、従来のネットワーク環境では、帯域や遅延制約により、大規模なデータを扱う業務や高速な応答性が必要な業務では求められる要件を十分に満たせないことが課題となっていました。
2.本検証の概要
本検証では、NTTドコモソリューションズの都内データセンターとNTTアーバンソリューションズの秋葉原UDX(千代田区)にある「未来のオフィス 4×SCENE(R)※3」、ならびにNTTファシリティーズの田町グランパーク(以下 田町GP、港区)にある共創空間「FL@T(R)※4」をIOWN(R) APNで接続しました。データセンター側には高度なICT機器としてGPUマシンを設置し、建設・設計業務で利用するBIM環境などを構築しました。オフィス側には以下の通り3つの構成を構築しました。
システム構成イメージ

構成(1):Model-B※5を用いて高精細映像を非圧縮で伝送するIOWN(R) APN 100Gbps回線
構成(2):画面転送を用いて高精細映像を圧縮して伝送するIOWN(R) APN 10Gbps回線
構成(3):比較用に用意した一般的なインターネット回線
デモ実施イメージ

検証協力企業として計10社に、動画視聴やデータ転送、BIMソフトやPCゲーム操作を体感いただき、オフィスにおけるIOWN(R) APNの有用性を検証しました。

3.本検証の成果
検証協力企業に対し、IOWN(R) APNによる遠隔作業の操作性について「画質」「映像の滑らかさ」「データ転送速度」等の観点からアンケートを実施した結果、IOWN(R) APN 100Gbpsおよび IOWN(R) APN 10Gbpsのいずれにおいても好評価の回答が90%以上となりました。
〈検証協力企業からの主なコメント〉
「IOWN(R) APN 10Gbpsの安定した品質や高いレスポンス性能と、データセンター側で高性能なGPUマシンを用いることにより、データの非常に大きなBIM作業での待機時間の短縮や生産性向上も期待できる」(建設・設計分野/検証協力企業)
「特に映像操作に対する性能・要求水準の厳しいゲーム開発の分野においても、IOWN(R) APN 100Gbpsを活用した非圧縮映像の利用であれば、帯域や遅延を考慮してオフィス内に設置していたICT機器のデータセンター内設置化も期待できる」(ゲーム開発分野/検証協力企業)
このようなICT環境の実現について、操作性以外の観点からも影響や効果を確認した結果、検証協力企業からはサーバー室の大幅削減で創出された空間を価値あるワークプレイスへ再設計することによるオフィス環境向上や、高度なICT環境を利用可能なオフィスによる将来的な人材獲得への寄与について、80%以上が支持する結果となりました。
関連する効果については、本検証環境をモデルとして以下の通り推計しています。
(1)オフィスでの省エネ:約50m2のサーバー室をオフィス外に集約することによって年間約50t相当*のCO2排出量の削減効果
(2)コスト構造の変化:初期投資の抑制(オフィス内のサーバー室構築にかかる初期費用の削減)
*「環境省公表 2024年度実績報告用全国平均排出係数」を用いて試算
4.今後の展開
本検証の構成はNTTドコモビジネスが運営する共創ワークプレイス「OPEN HUB Park」(以下 OPEN HUB) ※7に展示し、ユーザー企業の声を集めながら本格導入に向けてさらに検討を進めていきます。本検証やOPEN HUBで得られた成果を踏まえ、オフィスにおけるIOWN(R) APN活用ならびにNTTが掲げる「光の街」づくり※8に向けた技術面およびビジネス面での検討を、今後も継続してまいります。さらに、将来的な光電融合技術等の活用を含めた圧倒的な超・低消費電力化の実現をめざし、本検証の成果を活用してまいります。
「NTTコミュニケーションズ株式会社」は2025年7月1日に社名を「NTTドコモビジネス株式会社」に変更しました。私たちは、企業と地域が持続的に成長できる自律・分散・協調型社会を支える「産業・地域DXのプラットフォーマー」として、新たな価値を生み出し、豊かな社会の実現をめざします。

※1:IOWN(R) APNとは、NTTが提唱するオールフォトニクスネットワーク(APN)の一環で、従来の電気信号ではなく光信号を用いて超低遅延かつ高速な通信を実現する次世代のネットワーク技術です。「IOWN(R)」はNTT株式会社の商標または登録商標です。
※2:BIM(Building Information Modeling)とは、PC上に3次元の建物モデルを構築し、壁や柱などの形状情報に加え、材料・部材、コスト、性能などの属性情報を付与して一元管理するシステムです。
※3:「未来のオフィス 4×SCENE(R)」とは、NTTアーバンソリューションズの社員が自ら利用・運営し、データを取得解析し、ブラッシュアップし続けていく実験的ライブオフィスです。2022年5月の開設以来、国内・海外問わず多数のお客さまにお越しいただき、ご好評をいただいています。「未来のオフィス 4×SCENE(R)」はNTTアーバンソリューションズ株式会社の登録商標です。(https://ntt-us.com/business/value_case/4scene/index.html)
※4:「FL@T(R)」とは、2025年7月にNTTファシリティーズ本社内にオープンした共創スペースです。様々な活動目的に応じた部屋やスペースで構成されており、交流イベントや勉強会、タスク横断型の会議が開催され、リアルコミュニケーション創出の場として活用されています。「FL@T(R)」は株式会社NTTファシリティーズの登録商標です。
(https://www.ntt-f.co.jp/news/2025/20250724-01.html)
※5:Model-Bとは、4K120HzなどのHDMI信号やUSB信号を非圧縮のまま長距離転送信号へ変換する技術を採用し、1ミリ秒以下の処理時間で信号を変換する伝送装置です。
(https://group.ntt/jp/newsrelease/2024/10/08/241008b.html)
※6:「GPUマシン構成可視化環境」とは、パブリッククラウド環境におけるインフラの構築から運用までを統合的にサポートし、業務効率化や品質向上を実現するNTTドコモソリューションズのソリューション「SmartCloud(R)オーケストレータ」を活用して実現した環境です。「SmartCloud(R)」はNTTドコモソリューションズ株式会社の登録商標です。(https://www.nttcom.co.jp/orchestrator/)
※7:「OPEN HUB Park」とは、NTTドコモビジネスが運営する共創ワークプレイスです。先端テクノロジー体験環境や情報発信スタジオを備え、事業共創に向けたコミュニケーションを支援します。一般公開は行っておらず、招待制にて運営しています。(https://openhub.ntt.com/)
※8:「光の街」づくりとは、NTTが中心となって構想を推進する次世代情報通信基盤「IOWN(R)」を実装し、テクノロジーの進化とともに、これまでにない“新しい価値の提供”と、圧倒的な“超・低消費電力化”が実現される街の構想をさします。(https://group.ntt/jp/newsrelease/2025/12/08/251208a.html)