「知らなかった」では済まされない。改正労働安全衛生規則が土木・建設現場に求める対応

2026-08-13 08:50
Mr.Nomads

2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則により、熱中症のおそれのある作業を行う事業者には、報告体制の整備や措置手順の作成が義務付けられました。措置義務を怠った場合は罰則の対象となる可能性もあり、建設現場のように元請と下請が混在する現場では、関係するすべての事業者が対象になり得る点にも注意が必要です。

改正のポイントをおさらいする

今回の改正で新たに義務化されたのは、熱中症の自覚症状がある作業者、またはその症状を把握した者からの報告を受ける体制の整備と、報告を受けた場合の作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じた医療機関への搬送といった措置の実施手順をあらかじめ定めておくことです。これらは「熱中症が疑われる状況になってから場当たり的に対応する」のではなく、「事前に手順を決めておき、いざという時に迷わず動ける体制を作る」という考え方に基づいています。

現場で具体的に何をすればよいのか

改正規則が求めるのは、①熱中症のおそれがある作業者を早期に発見するための体制整備、②重篤化を防止するための措置手順の作成、③体制・手順の関係作業者への周知の3点です。あわせて、暑さ指数(WBGT)の把握とその値に応じた予防対策の実施、労働衛生教育の実施なども重点的な取り組みとして呼びかけられています。

対象となる作業の目安

義務の対象となる作業の目安は、WBGT28℃以上または気温31℃以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超える屋外作業です。土木・建設現場のように長時間の屋外作業が日常的に発生する現場では、多くの作業がこの基準に該当する可能性が高く、日々の作業計画のなかにWBGT測定と対策の判断を組み込んでおくことが実務上重要になります。

元請・下請それぞれが確認すべきこと

元請事業者は、現場全体の熱中症対策の体制を統括する立場として、WBGT計の設置や休憩場所の確保、緊急時の連絡体制の整備を進める必要があります。一方、下請事業者は、自社の作業員に対する報告体制の周知や、実際の作業中の体調確認を徹底することが求められます。どちらか一方だけが対策を進めても、現場全体としての実効性は高まりません。元請・下請が連携し、情報を共有しながら対策を進めることが重要です。

体制と装備、両方の備えを

体制整備や教育の実施と並行して、現場で働く個人が使える装備の見直しも実践的な一手です。Mr. NomadsのPCM搭載アイスベストは電源不要で装着するだけの設計のため、体制面のルールが整った現場でも、個人単位で無理なく導入できます。室温35℃の環境でも最大4.5〜5時間の持続冷却を実現しており、長時間の屋外作業が続く土木・建設現場との相性も良好です。

周知の徹底が実効性を左右する

体制や手順をどれだけ整えても、実際に現場で働く作業員一人ひとりに周知されていなければ意味がありません。朝礼での定期的な声かけ、掲示物による見える化、新規入場者教育での説明など、複数の方法を組み合わせて繰り返し周知することが、いざという時に手順通り行動できる体制づくりにつながります。特に外国人技能実習生など、日本語での説明だけでは伝わりにくい作業員がいる現場では、図解や多言語対応の資料を用意するといった配慮も重要です。

記録を残すことの重要性

WBGTの測定記録や、熱中症の疑いがある事案が発生した際の対応記録を残しておくことは、法令遵守の証明になるだけでなく、翌年以降の対策改善にも役立ちます。どの時間帯にどのような症状が多く発生したかを振り返ることで、次のシーズンに向けたより実効性の高い対策を検討する材料になります。

建設業許可・入札への影響も視野に

労働災害の発生状況は、建設業許可の更新や公共工事の入札における評価に影響することもあります。熱中症対策を単なるコストとして捉えるのではなく、企業としての信頼性やコンプライアンス体制を示す取り組みとして位置づけることも、中長期的な経営の観点からは重要な視点といえます。

下請企業が今すぐ着手できる3つの実践

改正規則への対応というと大掛かりな準備が必要に思われがちですが、下請企業単位でも今日から始められる取り組みがあります。ひとつ目は、簡易なWBGT計を現場に一台用意し、朝礼で数値を共有すること。ふたつ目は、作業員全員が携行できる冷却ウェアを揃え、着用を習慣化すること。みっつ目は、体調不良を感じたらすぐに班長へ報告するという簡単なルールを口頭で徹底することです。大きな設備投資をしなくても、こうした小さな実践を積み重ねることで、改正規則が求める体制に近づけていくことができます。

他業種の対応事例から学ぶ

製造業や物流業など、他業種でもすでに熱中症対策の体制整備が進んでいる企業があります。休憩室の温度管理や、個人用冷却グッズの支給、体調管理アプリの導入といった取り組みは、業種を問わず参考にできる部分が多くあります。土木・建設業界特有の屋外作業という制約はあるものの、他業種の工夫を自社の現場に合わせて取り入れることも、対策を進めるうえで有効なアプローチです。

一人親方が特に気をつけたいこと

労働安全衛生法の適用範囲は事業者と労働者の関係を前提としているため、一人親方の場合は法的な義務の対象外となる場合があります。しかし、義務の有無にかかわらず、熱中症のリスクそのものは変わりません。一人親方こそ、誰かに管理してもらう体制がない分、自分自身でWBGTの確認や冷却装備の活用を徹底する必要があります。

まとめ

「知らなかった」では済まされない法改正だからこそ、土木・建設現場では体制の整備と個人装備の見直しを並行して進めることが求められます。制度への対応を機に、現場の暑さ対策全体を見直してみてください。
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