世界の弱視の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の弱視の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Amblyopia Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、弱視(Amblyopia、一般に「lazy eye」)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。弱視は、小児期の視覚発達過程において片眼または両眼から脳へ十分かつ正常な視覚刺激が伝わらないことで、眼そのものに明らかな器質的異常がなくても視力が十分に発達しない神経発達性の眼疾患である。Swinal Patelらの2025年の報告では、世界の弱視有病率は約1.6~3.6%とされ、インドの学校ベース研究では南部で1.1%、北部で1.75%が報告されている。調査会社は、弱視が小児における予防可能な視覚障害の主要原因の一つであることから、早期スクリーニングと治療プログラムの重要性が今後も高いとしている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、有病率、年齢、性別、病型、診断患者数などの疫学動向を分析している。
弱視の本質は、単なる「片眼の視力が悪い」という状態ではなく、視覚情報を処理する脳の発達が正常に進まないことにある。乳幼児期から小児期にかけて、左右の眼から適切な視覚刺激が脳へ入力されることによって両眼視機能や視力が発達するが、片眼からの入力が弱かったり、左右の眼から異なる像が入力されたりすると、脳が一方の眼の情報を抑制するようになる。その結果、視力発達が妨げられ、弱視が形成される。
主な原因には、斜視、屈折異常、視覚遮断などがある。斜視弱視では、左右の眼が同じ対象を見ていないため、複視を避ける目的で脳がずれている側の眼からの情報を抑制し、その眼の視力発達が妨げられる。屈折性弱視では、遠視、近視、乱視などの屈折異常によって網膜上に鮮明な像が形成されず、視覚発達が遅れる。不同視弱視では、左右眼の屈折度数に差があるため、よりピントの合う眼が優位となり、反対眼が弱視化する。
資料では、不同視弱視が最も一般的なサブタイプとされている。Sreeragaaghanidhi Karunanithiらの2025年およびSwinal Patelらの2025年の報告では、弱視の多くが片眼性であり、不同視が主要な原因で、遠視、乱視、近視などの屈折異常との関連が強いとされる。したがって、学校健診や乳幼児健診で屈折異常を早期に見つけることが、弱視予防の重要な手段となる。
弱視は治療可能な疾患である一方、治療時期を逃すと恒久的な視力低下につながる可能性がある。視覚発達には感受性の高い時期があるため、幼少期に原因を是正し、弱い眼を積極的に使わせることが重要である。したがって、疫学的には単なる患者数だけでなく、「何歳で発見されるか」が予後を大きく左右する。
世界的な有病率については、Swinal Patelらの2025年の報告で1.6~3.6%とされる。一方、American Academy of Ophthalmologyの資料では、小児の約3~5%に弱視がみられるとされており、研究によってやや幅がある。
さらにSiddharam S. Jantiらの2024年の報告では、世界の小児における弱視有病率は約1~6%とされている。このように1~6%程度まで幅があるのは、対象年齢、診断基準、地域、スクリーニング方法、屈折異常の定義などが研究ごとに異なるためと考えられる。
インドでは地域差が目立つ。Swinal Patelらの2025年の報告では、学校ベース研究で南インド1.1%、北インド1.75%とされる。一方、TelanganaのスクリーニングではSiddharam S. Jantiらの2024年の報告で9.1%というかなり高い割合が示されている。
この9.1%は、インド全体の一般小児人口の有病率と考えるには高い値であり、特定のスクリーニング対象集団や診断基準の影響を受けている可能性がある。そのため、南インド1.1%、北インド1.75%、Telangana 9.1%を単純に同じ指標として比較するのは適切ではない。少なくとも、地域や研究方法によって報告値が大きく変わることを示している。
また、Sreeragaaghanidhi Karunanithiらの2025年の報告では、南インドにおける屈折性弱視の有病率が5.9%とされる。これも「弱視全体」ではなく「屈折性弱視」という特定サブタイプ、あるいは特定対象集団での割合と考える必要があり、全体有病率1.1%などとは分母が異なる可能性が高い。
年齢別では、小児期、とくに5~7歳が重要な時期である。Sreeragaaghanidhi Karunanithiらの2025年の報告では、弱視症例の48.4%が5~7歳に集中していたとされ、その後の年齢群より頻度が高かった。
この5~7歳という年齢は、学校教育開始前後であり、視力検査によって弱視が発見されやすい時期でもある。同時に、視覚可塑性がまだ十分残っており、治療による改善が期待できる重要なタイミングでもある。
弱視は出生直後から明確な自覚症状を訴える疾患ではないため、幼児本人が「見えにくい」と認識しないことも多い。片眼性弱視では、良い方の眼で日常生活を補えるため、保護者も気づかないまま学童期まで経過する場合がある。
そのため、集団スクリーニングの役割が非常に大きい。乳幼児健診、就学前健診、学校視力検査などで左右眼を別々に評価し、視力差、斜視、屈折異常などを検出することが、未診断患者を見つける鍵となる。
性別では、一定した結論は得られていない。Sreeragaaghanidhi Karunanithiらの2025年の報告では男性が症例の54.8%を占め、Swinal Patelらも男性優位を報告している。一方、Siddharam S. Jantiらの2024年の研究では有意な男女差は認められなかった。
したがって、弱視は明確な男性疾患または女性疾患とは言えない。研究によって軽度の男性優位がみられることはあるものの、性差そのものよりも屈折異常、斜視、スクリーニング受診率などの影響の方が大きい可能性がある。
国別では、米国の就学前・学齢期小児における有病率は約2~3%とされる。これは世界推定1.6~3.6%とおおむね一致しており、米国でも小児視覚障害の重要な原因となっている。
欧州では、Ivonne Krawczykの2023年の報告で、統合有病率が約2.7~3.7%とされる。したがって、欧州でもおおむね世界平均と同程度からやや高い負担が示されている。
ドイツでは、小児の有病率が約1.5%とされる一方、成人では5.6%という数字が報告されている。この成人5.6%は、新たに成人期に弱視を発症するという意味ではなく、小児期に形成された弱視が未治療または残存したまま成人人口に蓄積している可能性を反映していると考えるべきである。
この点は弱視の疫学を理解するうえで重要である。弱視は基本的に小児期の視覚発達異常によって発症する疾患であり、成人になってから突然発症するわけではない。しかし、治療されなかった患者は成人期にも視力障害を持ち続けるため、成人集団でも一定の有病率が観察される。
フランス、イタリア、スペイン、英国、日本については、提示資料では詳細な国別弱視有病率は示されていない。ただし、8主要市場すべてで小児眼科健診や屈折異常の早期発見が患者数把握と予後改善に重要となる。
日本では乳幼児健診や学校健診が比較的整備されているため、斜視や屈折異常を早期に発見できる可能性がある。一方、検査精度や受診後のフォローアップが不十分であれば、スクリーニングで異常を指摘されても治療につながらない患者が残る可能性がある。
インドでは地域差と診断アクセス差が大きいため、都市部と農村部で患者発見率が異なる可能性がある。学校ベースのスクリーニングを拡大することは、未診断弱視を減らすうえで特に重要である。
市場・疫学上で重要なのは、「有病患者数」と「診断患者数」が一致しないことである。弱視は子ども自身が症状を訴えにくく、片眼性では日常生活上の支障が目立たないため、検診を受けないと発見されないことがある。
そのため、2026~2035年に診断患者数が増加した場合、その一部は真の有病率上昇というより、学校健診、乳幼児視覚スクリーニング、屈折検査機器の普及によって潜在患者が発見される影響と考えられる。
治療の第一歩は、弱視の原因を是正することである。屈折異常がある場合には眼鏡などの矯正レンズを処方し、両眼にできるだけ鮮明な像を入力する。場合によっては、適切な眼鏡装用だけでも視力が改善することがある。
そのうえで、弱視眼を積極的に使わせるための遮閉療法、いわゆるアイパッチが標準的な方法として用いられる。視力の良い眼を一定時間覆うことで、脳が弱視眼からの入力を利用するよう促し、視力発達を刺激する。
遮閉療法の効果には治療継続が大きく影響する。子どもがパッチを嫌がることもあり、家庭でのアドヒアランスが治療成績を左右する。そのため、患者本人だけでなく保護者への説明と支援が重要である。
薬理学的ペナルゼーションも治療選択肢となる。これは視力の良い眼の見え方を一時的に低下させることで、弱視眼を使わせる方法である。パッチが難しい患者などで検討される。
さらに、視覚訓練や構造化されたビジョンセラピーも使用される場合がある。両眼の協調、焦点調節、視覚処理などを改善することを目的とする。
斜視が弱視の原因となっている場合には、弱視治療と並行して眼位異常の管理が必要になることもある。ただし、提示資料では外科治療などの詳細までは示されていない。
治療で最も重要なのは早期開始である。視覚発達期の脳は可塑性が高いため、幼少期ほど弱視眼の視機能を改善しやすい。逆に、長期間放置すると視覚系の発達が固定され、成人後の回復は難しくなる。
このため、弱視は「治療できる失明・視覚障害原因」という点が重要である。適切な時期に発見し治療すれば、長期的な片眼視力低下を防げる患者が多い。
市場の観点では、弱視は薬物治療中心の疾患ではなく、スクリーニング、屈折検査、眼鏡、遮閉療法、視機能訓練などが中心となる。したがって、治療薬市場よりも小児眼科診断、視覚スクリーニング、矯正機器などを含む広い医療需要を形成する。
また、患者一人あたりの治療期間は一定期間継続することが多いため、診断後のフォローアップも重要である。眼鏡度数、視力、左右差、眼位などを定期的に評価し、パッチ時間などを調整する必要がある。
全体として本レポートは、弱視を「世界の小児の約1.6~3.6%、報告によっては1~6%程度に認められ、早期発見・治療によって長期視力障害を予防できる代表的な小児神経発達性眼疾患」と位置づけている。
年齢では5~7歳で多く確認され、ある研究では症例の48.4%をこの年齢層が占める。これは弱視が幼少期の視覚発達異常として形成されることと、就学前後のスクリーニングで発見されやすいことの両方を反映している。
性別では男性54.8%という報告がある一方、有意な男女差がない研究もあり、一貫した性差は確立されていない。病型では不同視弱視が最も多く、片眼性が中心で、遠視、乱視、近視などの屈折異常との関連が強い。
地域別では、米国で約2~3%、欧州で約2.7~3.7%、南インドで1.1%、北インドで1.75%などの報告があり、地域ごとに差がある。ドイツでは小児約1.5%、成人5.6%とされ、成人有病率は小児期から残存した弱視の累積を反映する可能性が高い。
一方、Telanganaの9.1%や南インドの屈折性弱視5.9%など、より高い数値も報告されている。これらは対象集団や病型の定義が異なるため、一般人口の弱視有病率と同一視しないことが重要である。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、疾患自体が急速に増えるというより、小児視覚スクリーニングの普及、屈折検査の精度向上、保護者や学校の認知向上によって、従来見逃されていた患者がより多く診断されることが重要な変化になると考えられる。
したがって、今後の弱視管理における中心的課題は、視覚発達が固定される前に乳幼児・学童期の患者を発見すること、斜視や不同視などの原因を正確に評価すること、眼鏡による屈折矯正、遮閉療法、必要に応じた薬理学的ペナルゼーションや視覚訓練を継続すること、そして治療アドヒアランスを高めることである。2026~2035年は、弱視を「子どもの片眼視力が悪い状態」として単に経過観察するのではなく、視覚発達の限られた時期に介入することで将来の恒久的視覚障害を予防できる疾患として、早期スクリーニングと治療プログラムを強化することが、臨床・公衆衛生・市場の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件
02
エグゼクティブサマリー
03
弱視市場概要(8主要市場)
3.1 弱視市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 弱視市場の予測市場規模(2026年~2035年)
04
弱視疫学概要(8主要市場)
4.1 弱視疫学状況(2019年~2025年)
4.2 弱視疫学予測(2026年~2035年)
05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 弱視の種類
06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因
07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 弱視の診断済み有病患者数
7.4 種類別の弱視患者数
7.5 性別別の弱視患者数
7.6 年齢別の弱視患者数
08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国における前提条件および根拠
8.2 米国における弱視の診断済み有病患者数
8.3 米国における種類別の弱視患者数
8.4 米国における性別別の弱視患者数
8.5 米国における年齢別の弱視患者数
09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国における前提条件および根拠
9.2 英国における弱視の診断済み有病患者数
9.3 英国における種類別の弱視患者数
9.4 英国における性別別の弱視患者数
9.5 英国における年齢別の弱視患者数
10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
10.2 ドイツにおける弱視の診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける種類別の弱視患者数
10.4 ドイツにおける性別別の弱視患者数
10.5 ドイツにおける年齢別の弱視患者数
11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件および根拠
11.2 フランスにおける弱視の診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける種類別の弱視患者数
11.4 フランスにおける性別別の弱視患者数
11.5 フランスにおける年齢別の弱視患者数
12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
12.2 イタリアにおける弱視の診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける種類別の弱視患者数
12.4 イタリアにおける性別別の弱視患者数
12.5 イタリアにおける年齢別の弱視患者数
13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件および根拠
13.2 スペインにおける弱視の診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける種類別の弱視患者数
13.4 スペインにおける性別別の弱視患者数
13.5 スペインにおける年齢別の弱視患者数
14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本における前提条件および根拠
14.2 日本における弱視の診断済み有病患者数
14.3 日本における種類別の弱視患者数
14.4 日本における性別別の弱視患者数
14.5 日本における年齢別の弱視患者数
15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおける前提条件および根拠
15.2 インドにおける弱視の診断済み有病患者数
15.3 インドにおける種類別の弱視患者数
15.4 インドにおける性別別の弱視患者数
15.5 インドにおける年齢別の弱視患者数
16
患者経路
17
治療課題および未充足ニーズ
18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察
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