JMDCと住友生命、 1日プラス1,000歩がもたらす健康変化「健康増進白書」を公表  ~ 歩数増加と健診結果・入院回数・医療費の関係性が明らかに ~

2026-05-29 15:30
株式会社JMDC

株式会社JMDC(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:野口 亮、以下「JMDC」)と住友生命保険相互会社(本社:大阪府大阪市、取締役 代表執行役社長:高田 幸徳、以下「住友生命」)は、歩数増加と健診結果・入院回数・医療費の関係性を分析し、その結果をまとめた「健康増進白書」を公表※1いたしました。
「健康増進白書」は、JMDCが有する国内最大級の医療ビッグデータに、両社の解析力を組み合わせ、健康増進に資するエビデンスを提供することを目的としています。JMDCのPHR(Personal Health Record)サービス「Pep Up」を通じてウェアラブルデバイス等から集積した客観的な歩数データに、レセプトデータ・健診データを紐づけ、健診結果・入院回数・医療費をアウトカムとして分析しています。

分析では、1日の平均歩数が1,000歩以上増加した人(以下、歩数増加群)と、増加しなかった人(以下、歩数非増加群)に分け、健診値、入院回数、医療費の3つの視点から比較しました(健診値分析:約18万人、入院回数・医療費分析:約8万人)。なお、本白書における群間比較は、いずれも性別および年齢の影響を調整したうえで実施しています。その結果、歩数増加群においては、健診値の改善、入院回数の低下、医療費水準の低下といった傾向が観察されました。

健康日本21(第三次)によると、機械化・自動化の進展、移動手段の変化等により国民の身体活動量が減少しやすい社会環境にあることや、「日常生活における歩数」が横ばいから減少傾向にあることが課題とされています。本白書は、こうした社会的背景を踏まえ、日常生活における歩数増加の重要性を改めて捉えなおし、医療ビッグデータに基づく客観的なエビデンスを提供することを目指したものです。

※1 「健康増進白書」全編は下記URLよりご参照ください。
https://www.jmdc.co.jp/terms/steps_white_paper_202605.pdf

  1. 調査結果の概要
    本調査結果の全体像を図1に示します。歩数増加群においては、健診値の改善者割合が幅広い項目で高くなっており、平均入院回数および平均入院医療費は低い水準でした。特に3大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)に限定すると、平均入院回数・平均入院医療費の差が顕著となっています。
図1:プラス1,000歩がもたらす健康増進効果(白書 図1-2より)

図1:プラス1,000歩がもたらす健康増進効果(白書 図1-2より)

a. 主要な健診値は経年的に悪化傾向
全体の傾向として、約1年間の経過に伴い、BMI、血圧、血糖値、脂質、肝機能検査といった主要な健診項目の平均値は、概ね悪化※2する傾向が認められました(図2)。これは、加齢や生活習慣の変化等の影響を反映した結果であると考えられます。

図2:全体の1年後の健診値の平均変化(白書 図3-2より、性年齢調整あり)

図2:全体の1年後の健診値の平均変化(白書 図3-2より、性年齢調整あり)

※2 尿たんぱくは(-)=1、(±)=2、(+)=3、(2+)=4、(3+)=5と数値変換して集計しています。

b. 歩数増加群の健診値は改善傾向
歩数増加群と歩数非増加群に分け、健診値の変化を比較しました。その結果、歩数非増加群では多くの健診項目において悪化がみられた一方で、歩数増加群では、BMI、収縮期血圧および拡張期血圧、LDLコレステロール、空腹時血糖等※3において、改善する傾向が認められました。代表として、BMIの比較結果を図3に示します。1年後のBMI平均変化量は、歩数非増加群が+0.136であるのに対し、歩数増加群では-0.035と低下方向となり、健診値改善者割合についても、歩数非増加群の38%に対し歩数増加群では46%と高い水準でした。
これらの結果は、日常生活における歩数の増加が、生活習慣病リスクに関連する健診値の推移と一定の関連性を持つ可能性を示唆しています。

図3:歩数非増加群と歩数増加群のBMI変化の比較(白書 図3-3より、性年齢調整あり)

図3:歩数非増加群と歩数増加群のBMI変化の比較(白書 図3-3より、性年齢調整あり)

※3 本白書では、加えて、HDLコレステロール、中性脂肪、GOT(AST)、GPT(ALT)、γ-GTP、HbA1c、尿たんぱくの比較を掲載しています。

c. 歩数増加群では平均入院回数は低下傾向
歩数増加群と歩数非増加群に分け、平均入院回数を比較しました(図4)。その結果、歩数増加群では、平均入院回数が低い傾向がみられました。3大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)に限った平均入院回数を比較した場合、歩数増加群は歩数非増加群と比べて平均入院回数が43.2%少ない傾向が認められました。

図4:歩数非増加群と歩数増加群の入院リスクの比較(白書 図3-10より、性年齢調整あり)

図4:歩数非増加群と歩数増加群の入院リスクの比較(白書 図3-10より、性年齢調整あり)

d. 歩数増加群では平均入院医療費は低下傾向
歩数増加群と歩数非増加群に分け、入院のない者を含む集団全体の平均入院医療費を比較しました(図5)。その結果、歩数増加群では、平均医療費が低い傾向がみられました。3大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)に限った平均医療費を比較した場合、歩数増加群は歩数非増加群と比べて平均医療費が42.6%少ない傾向が認められました。
なお、入院患者に限定した入院1回あたりの平均入院医療費については、歩数増加群と歩数非増加群の差異は認められず、入院頻度の差異が入院医療費全体の差として表れている構造となっている可能性があります。

図5:歩数非増加群と歩数増加群の入院医療費の比較

図5:歩数非増加群と歩数増加群の入院医療費の比較

(白書 図3-12より、性年齢調整あり、10割負担ベース、入院のなかった者を含む全対象者の平均値)

e. 結論
本白書の分析から、1日の平均歩数が1,000歩以上増加することが、健診値の改善・3大疾病の入院回数・入院医療費の低減と関連する可能性が、大規模リアルワールドデータによって多角的に示されました。中でも入院回数・入院医療費については、3大疾病において特に強い関連が認められており、重症化予防の観点から歩数増加の意義が示されています。
これらの結果は因果関係を直接示すものではありませんが、保険者・企業・自治体による予防・健康づくりの取組みを設計するうえで有用なエビデンスとなりうるものです。本白書では、生活習慣病の前段階にある層への重点介入、3大疾病リスクの高い層への重点的な働きかけ、歩数増加施策のさらなる普及、の3点を提言しています。

  1. 今後の展開
    今後も引き続き、JMDCが有する国内最大級の医療ビッグデータを活用した各種調査を通じ、「社会課題に対しデータとICTの力で解決に取り組むことで、持続可能なヘルスケアシステムの実現」というJMDCの描く未来の実現と、「データの社会実装」に資する取組を推進してまいります。

株式会社JMDCについて

医療ビッグデータ業界のパイオニアとして2002年に設立。独自の匿名化処理技術とデータ分析集計技術を有しています。26億件以上のレセプトデータと9,400万件以上の健診データ(2026年3月時点)の分析に基づく保険者向け保健事業支援、医薬品の安全性評価や医療経済分析などの情報サービスを展開しています。また、健康度の単一指標(健康年齢)や健康増進を目的としたWebサービス(Pep Up)など、医療データと解析力で健康社会の実現に取り組んでいます。
URL: https://www.jmdc.co.jp/

Pep Upについて

Pep Up(ペップアップ)は、JMDCが開発・提供し、保険者を中心にご利用いただいているPHRサービスです。Pep Upユーザーにおいては、スマートフォンアプリ等の手元の健康診断の結果や医療費のデータから自らの健康状態に関する気づきをご提供することができ、活動量計や様々な健康増進メニューによる意識変容や行動変容を促進しております。また、保険者においては、紙や対面で実施してきた業務の負荷軽減に貢献しています。
URL: https://stories.jmdc.co.jp/pepup

住友生命保険相互会社について

住友生命グループは、ウェルビーイングインフラ企業として保険の役割・価値を拡げ、万一の保障にとどまらず、お客さまのウェルビーイングに貢献していくという「拡・保険」の考え方のもと、様々な商品・サービス・取組みを提供しています。こうした考え方に基づき、住友生命は、身体的、精神的、社会的、経済的に満たされた「一人ひとりのよりよく生きる=ウェルビーイング」を支えるWaaS(Well-being as a Service)をエコシステムとして展開し、未来に続く住友生命ならではの価値の実現を目指しています。具体的には、中核となる“住友生命「Vitality」”の推進に加え、「病があっても幸せに、齢を重ねても幸せに」という観点からオープンイノベーションを推進しています。今後は、「Well-Aging」も含めた価値提供範囲の拡大を通じ、ウェルビーイング価値をお届けするお客さまを増やしていきます。
URL: https://www.sumitomolife.co.jp/