世界のB群連鎖球菌(GBS)の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界のB群連鎖球菌(GBS)の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Group B Streptococcus (GBS) Market Size; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、B群溶血性レンサ球菌(Group B Streptococcus:GBS、学名 Streptococcus agalactiae)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。GBSは健康な成人の消化管や泌尿生殖器に無症候性に保菌されることがある細菌だが、妊婦から新生児への垂直感染や、妊婦、高齢者、慢性疾患患者における侵襲性感染を引き起こすと重篤化する。提示資料では、世界の新生児GBS症例が約31万9,000例とされる一方、WHO関連推計では約39万~39万2,000例の乳児・新生児感染が報告されており、推計値には一定の幅がある。調査会社は、2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場について、GBS感染の発症状況、母体保菌、新生児感染、年齢・性別構成、診断患者数などを分析している。
GBSの基本的な特徴は、成人では無症候性保菌が多い一方、新生児では敗血症、肺炎、髄膜炎などの生命を脅かす侵襲性感染を起こし得る点にある。特に妊婦の膣・直腸などにGBSが保菌されていると、分娩時を中心に新生児へ菌が伝播し、早発型GBS感染症につながることがある。
新生児GBS感染は、通常、生後1週間以内に発症する早発型(early-onset disease:EOD)と、生後1週間から3か月頃までに発症する遅発型(late-onset disease:LOD)に分けられる。早発型は母体からの垂直感染との関連が強く、敗血症や肺炎が中心となる。一方、遅発型では髄膜炎などが重要な臨床問題となり得る。
成人では、妊婦だけでなく、高齢者や基礎疾患を持つ人にも侵襲性感染が起こる。臨床的には菌血症、皮膚・軟部組織感染、骨・関節感染、尿路感染などがみられる。したがって、GBSは「新生児感染だけの病原体」ではなく、年齢によって異なる感染症像を示す細菌である。
疫学上もっとも重要な背景因子の一つが母体保菌である。Lina Raid Al Obaidiらの2025年の報告では、世界の妊婦の約15~40%にGBS保菌がみられるとされる。
Gollapudi Geetanjaliらの2025年の報告では、平均母体保菌率は約18%で、地域によって11~35%の範囲とされる。この大きなばらつきは、地理的要因だけでなく、検体採取法、妊娠週数、培養法、診断基準などの違いを反映している可能性がある。
したがって、「妊婦の15~40%」「平均18%」という数値は矛盾しているわけではなく、前者が複数地域の幅、後者が平均的な推定値として理解するのが適切である。
Lisa Malesi Wereらの2025年の報告では、世界で年間約1,970万人の妊婦がGBSの影響を受けるとされる。これは感染症として発症した妊婦だけでなく、母体保菌を含む広い意味でのGBS関連妊娠集団を示している可能性が高い。
ここで重要なのは、母体保菌と侵襲性GBS感染を区別することである。多くの妊婦は無症候性保菌であり、保菌していること自体が母体の重症感染を意味するわけではない。しかし、分娩時の新生児への垂直感染リスクという点で非常に重要になる。
WHO関連推計では、GBSは年間50万件を超える早産、約15万件の死産および乳児死亡に関与し、世界で約39万例の乳児感染を引き起こすとされる。
また、Gollapudi Geetanjaliらの2025年の報告では、年間約51万8,000件の早産、39万2,000例の新生児感染、9万1,000例の新生児死亡がGBSに関連するとされる。
したがって、提示資料には新生児感染について約31万9,000例、約39万例、約39万2,000例という複数の推定値が存在する。これらは推計年、対象定義、症例の捕捉範囲が異なる可能性があり、単一の確定患者数として扱うべきではない。
同様に、WHO関連の「約15万件の死産および乳児死亡」と、別報告の「9万1,000例の新生児死亡」も分母とアウトカムが異なる。前者は死産と乳児死亡を合算した広い指標、後者は新生児死亡により限定された指標と考えられるため、直接比較はできない。
GBSによる疾病負担は低所得国でより重いとされる。予防的スクリーニング、分娩時抗菌薬投与、新生児集中治療などへのアクセスが限られる地域では、感染後の重症化や死亡が増える可能性がある。
特に新生児では、敗血症、肺炎、髄膜炎が主要な重症病態である。生存した場合でも、髄膜炎などを経験した乳児では神経発達後遺症が残る可能性があり、疾病負担は死亡だけでは評価できない。
そのため、GBSの公衆衛生上の重要性は、新生児死亡率だけでなく、長期的な神経発達障害、聴覚障害、運動・認知機能への影響などを含めて評価する必要がある。
国別では、英国で比較的高い新生児GBS発症率が報告されている。Asma Khalilらの2023年の報告では、英国におけるGBS発症率は出生1,000人あたり0.94例とされる。
一方、米国では出生1,000人あたり0.22例とされ、英国より低い。この差は、母体スクリーニング方針、分娩時抗菌薬予防、症例捕捉方法などの違いを反映している可能性がある。
ただし、英国0.94/1,000出生、米国0.22/1,000出生が、早発型のみなのか新生児GBS全体なのかは提示文だけでは完全に明確ではない。したがって、厳密な国際比較では元研究の定義確認が必要である。
日本では、Kousaku Matsubaraらの2023年の報告で、早発型GBS感染症の発症率は出生1,000人あたり約0.10例とされ、安定している。
この0.10/1,000出生は「早発型」に限定された値であるため、英国や米国の数値が新生児GBS全体を含む場合には、そのまま比較できない。
ただし、日本で早発型発症率が低水準で安定していることは、母体管理や新生児感染予防が一定程度機能している可能性を示す。
インドでは、Addisu Tesfayeらの2024年の報告で母子間の垂直感染率が3.23%とされる。これは一般新生児人口におけるGBS発症率ではなく、母体から新生児への感染・菌伝播に関する指標である。
したがって、インド3.23%を英国0.94/1,000や米国0.22/1,000と直接比較することはできない。前者は垂直感染率、後者は新生児疾患発症率であり、分母も意味も異なる。
ドイツ、フランス、イタリア、スペインについては、今回の提示資料では具体的な国別数値は示されていない。ただし、8主要市場の一部として、母体保菌率、新生児発症率、診断症例の将来推移が分析されている。
疫学上、GBSでは性別よりも年齢・妊娠状態の方が重要である。特に新生児、妊婦、高齢者、慢性疾患患者が高リスク集団となる。今回の資料では明確な男女差の数値は示されていない。
市場・公衆衛生上で最も重要なのは、母体保菌、新生児への垂直感染、実際の侵襲性GBS発症という3段階を区別することである。妊婦の15~40%が保菌していても、そのすべての新生児が感染するわけではなく、さらに感染してもすべてが侵襲性疾患を発症するわけではない。
そのため、母体保菌率をそのまま新生児GBS患者率として扱うことはできない。市場推計でも、スクリーニング対象妊婦数、保菌陽性者数、分娩時予防投与対象者数、実際の新生児侵襲性感染患者数を分ける必要がある。
治療の中心は抗菌薬である。侵襲性GBS感染では、静注ペニシリンGが第一選択として位置づけられている。
アンピシリンも一般的な代替薬として使用される。特に新生児で感染が疑われる場合には、培養結果が得られるまでアンピシリンとゲンタマイシンの併用が経験的治療として開始されることがある。
その後、血液培養や髄液培養、感受性結果などに基づいて治療を調整する。新生児敗血症や髄膜炎では治療開始の遅れが重篤な転帰につながるため、迅速な抗菌薬投与が重要である。
ペニシリンアレルギーがある患者では、セファゾリン、クリンダマイシン、バンコマイシンなどが使用される場合がある。ただし、薬剤選択はアレルギーの重症度や薬剤感受性によって異なる。
特にクリンダマイシンについては、すべてのGBS株で有効とは限らないため、感受性検査に基づいて使用することが重要となる。
新生児GBS予防の中心は、分娩時抗菌薬予防(intrapartum antibiotic prophylaxis:IAP)である。妊婦がGBS保菌陽性と判明した場合、分娩中に抗菌薬を投与し、新生児への菌伝播と早発型感染症を減らす。
この予防戦略は、特に早発型GBS感染症を減らす上で重要である。そのため、妊娠後期の母体GBSスクリーニングと分娩時の適切な抗菌薬投与が、新生児医療における主要な予防手段となる。
一方、分娩時抗菌薬は主として早発型疾患の予防を目的としており、遅発型GBS感染まで完全に防げるわけではない。したがって、IAPが普及しても新生児GBS負担がゼロになるわけではない。
市場の観点では、GBSは「治療市場」だけでなく、「母体スクリーニング・予防市場」が極めて重要である。妊婦の保菌検査、培養・分子診断、分娩時抗菌薬、新生児感染診断、NICU治療など、妊娠から出生後まで複数段階の医療需要が存在する。
2026~2035年には、母体スクリーニングの普及や迅速診断技術の改善によって、保菌妊婦の捕捉率が上がる可能性がある。この場合、診断される「GBS陽性妊婦」は増えても、適切な予防によって早発型新生児GBS患者数は減少する可能性がある。
つまり、診断数の増加と疾患発症数の増加は必ずしも同じ方向に動かない。GBSでは、母体診断患者が増えることがむしろ新生児侵襲性感染の予防につながるという構造がある。
また、低所得国ではスクリーニングやIAPへのアクセス改善が疾病負担低減の重要課題となる。高所得国で発症率が低いのに対し、予防介入が十分でない地域では新生児死亡や後遺症がより多い可能性がある。
ワクチン開発も将来的な重要テーマとなり得る。今回の提示資料には具体的なGBSワクチンの記述はないため、レポートから治療選択肢として確定的には言えないが、現状の予防が母体スクリーニングと分娩時抗菌薬に依存していることから、より持続的な予防手段への需要は大きいと考えられる。
全体として本レポートは、GBSを「健康成人では消化管・泌尿生殖器に無症候性保菌されることが多い一方、母体から新生児への垂直感染によって敗血症、肺炎、髄膜炎などを引き起こし、死産、早産、新生児死亡、長期神経発達障害につながり得る重要な周産期感染症」と位置づけている。
妊婦の保菌率は世界で15~40%、平均約18%とされ、年間約1,970万人の妊婦がGBSの影響を受けるとの推定がある。一方、新生児感染については約31万9,000例、39万例、39万2,000例など複数の世界推定が示され、研究定義や推計方法によって一定の幅がある。
GBSは年間約50万件を超える早産、約15万件の死産・乳児死亡に関連するとのWHO推計がある一方、別推計では約51万8,000件の早産、39万2,000例の新生児感染、9万1,000例の新生児死亡とされる。これらはアウトカム定義が異なるため、直接統合すべきではない。
国別には、英国で出生1,000人あたり0.94例、米国0.22例、日本の早発型疾患0.10例とされる一方、インドでは垂直感染率3.23%が報告されている。ただし、英国・米国・日本の発症率とインドの垂直感染率は異なる指標であるため、単純比較はできない。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、妊婦の保菌率、出生数、早産児数、母体スクリーニング率、分娩時抗菌薬予防の普及、NICUアクセスなどが患者数と転帰を左右する。特に診断体制が改善すればGBS陽性妊婦の把握数は増える一方、適切な予防投与によって新生児早発型疾患を減らせる可能性がある。
したがって、今後のGBS管理における中心的課題は、妊婦のGBS保菌を適切にスクリーニングすること、陽性例では分娩時にペニシリン系抗菌薬を適切に投与して新生児への垂直感染を減らすこと、新生児で敗血症・肺炎・髄膜炎が疑われる場合には速やかに経験的抗菌薬治療を開始すること、さらに感染後の神経発達後遺症を含めて長期的にフォローすることである。2026~2035年は、GBSを単に「新生児に抗菌薬を投与して治療する感染症」としてではなく、妊娠中の保菌スクリーニング、分娩時予防、新生児早期診断、重症感染治療、長期後遺症管理までを一体化して疾病負担を減らすことが、臨床・公衆衛生・市場の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件
02
エグゼクティブサマリー
03
B群溶血性レンサ球菌(GBS)市場概要(8主要市場)
3.1 B群溶血性レンサ球菌(GBS)市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 B群溶血性レンサ球菌(GBS)市場の予測市場規模(2026年~2035年)
04
B群溶血性レンサ球菌(GBS)疫学概要(8主要市場)
4.1 B群溶血性レンサ球菌(GBS)疫学状況(2019年~2025年)
4.2 B群溶血性レンサ球菌(GBS)疫学予測(2026年~2035年)
05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 B群溶血性レンサ球菌(GBS)の種類
06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因
07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 B群溶血性レンサ球菌(GBS)の診断済み有病患者数
7.4 種類別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
7.5 性別別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
7.6 年齢別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国における前提条件および根拠
8.2 米国におけるB群溶血性レンサ球菌(GBS)の診断済み有病患者数
8.3 米国における種類別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
8.4 米国における性別別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
8.5 米国における年齢別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国における前提条件および根拠
9.2 英国におけるB群溶血性レンサ球菌(GBS)の診断済み有病患者数
9.3 英国における種類別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
9.4 英国における性別別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
9.5 英国における年齢別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
10.2 ドイツにおけるB群溶血性レンサ球菌(GBS)の診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける種類別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
10.4 ドイツにおける性別別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
10.5 ドイツにおける年齢別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件および根拠
11.2 フランスにおけるB群溶血性レンサ球菌(GBS)の診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける種類別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
11.4 フランスにおける性別別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
11.5 フランスにおける年齢別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
12.2 イタリアにおけるB群溶血性レンサ球菌(GBS)の診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける種類別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
12.4 イタリアにおける性別別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
12.5 イタリアにおける年齢別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件および根拠
13.2 スペインにおけるB群溶血性レンサ球菌(GBS)の診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける種類別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
13.4 スペインにおける性別別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
13.5 スペインにおける年齢別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本における前提条件および根拠
14.2 日本におけるB群溶血性レンサ球菌(GBS)の診断済み有病患者数
14.3 日本における種類別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
14.4 日本における性別別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
14.5 日本における年齢別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおける前提条件および根拠
15.2 インドにおけるB群溶血性レンサ球菌(GBS)の診断済み有病患者数
15.3 インドにおける種類別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
15.4 インドにおける性別別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
15.5 インドにおける年齢別のB群溶血性レンサ球菌(GBS)患者数
16
患者経路
17
治療課題および未充足ニーズ
18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察
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