プリンターの日本市場(2026年-2035年)、市場規模・分析レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「プリンターの日本市場(2026年-2035年)、英文タイトル:Japan Printer Market 2026-2035」調査資料を発表しました。本資料には、プリンターの日本市場規模、動向、セグメント別予測、関連企業の情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
日本のプリンター市場は、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)4.9%で拡大すると予測されている。今回の資料では2025年の市場規模や2035年の具体的な市場価値は示されていないが、インクタンク式プリンターの需要拡大、インクジェット技術の高度化、マルチファンクションプリンター(MFP)の普及、商業印刷・産業印刷への展開が成長を支える一方、オフィス印刷需要の減少やデジタル化が構造的な逆風となっている。
市場の最大の特徴は、一般オフィス印刷が縮小する一方で、家庭用インクタンク、商業印刷、産業用インクジェット、パッケージ印刷などへ需要がシフトしていることである。つまり、単純な「紙を印刷する装置」の市場から、低ランニングコスト、高速・高精細印刷、複合機能、業務ワークフローとの統合を競う市場へ変化している。
インクタンク式プリンターは主要成長テーマである。カートリッジ方式よりも大量印刷時のインクコストを抑えやすく、家庭やSOHO、小規模事業者での長期利用と相性が良い。レポートでは、Epsonなど日本企業が海外需要を背景にインクジェットプリントヘッドの生産能力へ大規模投資しているとしている。
一方、この成長要因として米国・カナダでのインクタンク需要が挙げられており、日本国内需要というより、日本メーカーのグローバル事業拡大が日本プリンター市場の競争力を支えるという説明になっている。そのため、国内販売需要と日本企業の海外事業を分けて見る必要がある。
技術面ではLED Printingも重要である。レポートでは、A3モノクロプリンターの開発期間を約30%短縮できた背景としてLEDプリントエンジンの採用を挙げている。LED方式は構造を簡素化しやすく、小型・軽量化や効率改善につながるとされる。
また、インクジェットではプリントヘッドの大型化が進み、印刷幅を広げたり、一度に吐出できる量を増やしたりすることで生産性向上が期待されている。重量センサーを使ってインク残量を早期検知し、ダウンタイムを減らすといった機能も、業務用途では重要な差別化要因になる。
2022年にはEpsonが、画像の粗さを抑えながらインクジェット印刷の品質と速度を高める技術でNational Commendation for Innovationを受賞したとされる。家庭用だけでなく、商業・産業用途まで共通して「画質と生産性の両立」が研究開発の中心になっている。
タイプ別ではStandaloneとMulti-Functionalに分類され、Multi-Functional Printerが大きなシェアを占めるとされる。印刷だけでなく、Scanning、Copying、Faxなどを一台に集約できるため、オフィスや家庭で複数機器を設置する必要がなく、コストやスペース面で有利である。
特にオフィスでは、紙の印刷量自体が減っても、文書のスキャン、電子化、ワークフロー管理などの需要は残る。このため、MFPは「印刷機」から「文書入出力・業務デジタル化端末」へ役割を広げることが、生き残りの重要な方向になる。
技術別ではDot Matrix、Inkjet、LED、Thermal、Laserに分類される。家庭用・小規模事業ではInkjet、オフィスではLaserやLED、物流・POSなどではThermal、特殊な帳票用途ではDot Matrixと、用途によって技術が分かれる構造である。
インターフェース別ではWiredとWirelessに分類される。家庭や小規模オフィスではWi-Fiやモバイル端末から直接印刷できるWirelessの利便性が高まりやすい一方、企業や公共機関ではネットワーク管理やセキュリティを重視して有線接続も引き続き重要となる。
出力別ではColourとMonochromeに分類される。一般文書ではモノクロのコスト効率が重視される一方、マーケティング資料、教育、デザイン、商業印刷ではカラー需要が重要となる。高品質カラー印刷は、成熟したオフィス市場よりも付加価値を維持しやすい。
エンドユースではResidential、Commercial、Educational Institutions、Governmentなどに分かれる。Residentialではインクタンク式や無線対応MFP、Commercialでは業務効率と耐久性、教育機関では教材印刷とスキャン、政府では文書管理やセキュリティが重要になる。
一方で、最大の構造的課題はデジタル化である。企業のDigital-first化、Hybrid Work、ペーパーレス行政の進展により、従来型オフィス印刷の需要は中長期的に縮小している。2026年5月にCanonがフィリピンBatangasのレーザープリンター工場閉鎖を確認したとされる事例は、この需要変化を象徴している。
Canonは同じ2026年4月にExcellent Global Corporation Plan Phase VIIを発表し、2030年までに売上5.6兆円を目標としつつ、Printingを引き続き中核事業として位置付けている。つまり、印刷事業から撤退するのではなく、収益性の低い製造・製品領域を見直し、高付加価値分野へポートフォリオを移す戦略と理解できる。
2026年5月にはSharp ElectronicsがFormaxと提携し、BP-1200 Digital Pressに後工程ソリューションを統合したとされる。これは、印刷機単体ではなく、印刷から加工・仕上げまで自動化したProduction Print Workflowへ競争軸が移っていることを示す。
2026年3月にはKyocera Document SolutionsがRicoh Europeとの提携を通じてTASKalfa Pro 15000cのEMEA展開を拡大したとされる。これも日本国内販売というより、日本企業がProduction Inkjetを海外市場へ展開して成長を確保する事例である。
市場の課題としては、人口減少と働き手減少も大きい。オフィス数や紙文書処理量が縮小すれば、MFPの更新需要も弱くなりやすい。特に中小企業や公共機関では機器更新サイクルが長くなっており、新規販売台数の伸びを抑える要因となる。
為替変動や米国関税も収益性に影響するとされる。プリンターは部品調達と海外生産・販売の比重が高いため、円相場、物流コスト、関税政策が利益率を左右する。また、中国系の非純正消耗品や交換チップが、メーカーのインク・トナーなどアフターマーケット収益を圧迫している。
EpsonがFY2025にFiery LLC関連で259億円のgoodwill impairmentを計上した事例も、商業・産業印刷環境の弱さを示す材料として挙げられている。商業印刷は成長機会である一方、すべての周辺事業が順調というわけではなく、投資回収や事業統合にはリスクがある。
環境面では、リサイクルやProducer Responsibilityへの対応もコスト要因となる。プリンター本体だけでなく、インクカートリッジ、トナー、包装材などの回収・再資源化への対応が必要となり、サステナビリティは製品設計と事業運営の双方に影響する。
一方、成長機会はAdjacent Marketsにある。Production Inkjet、Packaging Printing、Direct-to-Object Printingなど、従来の文書印刷以外の用途は、紙使用量減少の影響を受けにくく、高単価な装置・サービスを提供しやすい。
また、CanonのimageFORCEやRicohのRICOH Spaces with Butlr integrationのように、プリンター・MFPをAI対応のWorkplace Platformやオフィス管理システムと統合する動きも重要である。今後はハードウェア売切り型より、保守、クラウド、管理ソフト、ワークフロー最適化を組み合わせるService-led Modelが収益源になりやすい。
競争環境ではHP、Canon、Seiko Epson、Toshiba、Fujitsu、Panasonic、Ricoh、Konica Minolta、FUJIFILM、Brother Industriesなどが主要企業として挙げられている。日本企業の比率が高く、プリンター市場は日本企業が世界的にも強い競争力を持つ分野の一つである。
総合すると、日本のプリンター市場は2026年から2035年にCAGR4.9%で成長すると予測されるものの、市場内部では大きな構造変化が進んでいる。従来型オフィスレーザー印刷は縮小圧力を受ける一方、Ink Tank、MFP、Production Inkjet、Packaging、業務デジタル化支援などが成長領域になる。
2035年に向けた主要テーマは、「Ink Tank」「Multi-Functional Printers」「Production Inkjet」「LED Printing」「Wireless」「Packaging Printing」「AI-enabled Workplace」「Service-led Models」に集約できる。日本のプリンター市場は、印刷枚数を増やす市場ではなく、より低コスト・高効率・高付加価値な印刷とデジタル業務支援を組み合わせる市場へ移行していくと考えられる。
※目次構成
エグゼクティブサマリー
1.1 市場規模(2025~2026年)
1.2 市場成長予測(2026年予測~2035年予測)
1.3 主な需要促進要因
1.4 主要企業と競争構造
1.5 業界のベストプラクティス
1.6 最新動向と最近の展開
1.7 業界見通し市場概要およびステークホルダー分析
2.1 市場動向
2.2 主要産業分野
2.3 主要地域
2.4 サプライヤーの交渉力
2.5 買い手の交渉力
2.6 主な市場機会とリスク
2.7 ステークホルダーによる主要施策経済概要
3.1 GDP見通し
3.2 一人当たりGDPの成長
3.3 インフレ動向
3.4 民主主義指数
3.5 政府総債務比率
3.6 国際収支(BoP)の状況
3.7 人口見通し
3.8 都市化動向カントリーリスク分析
4.1 カントリーリスク
4.2 ビジネス環境アジア太平洋地域のプリンター市場概要
5.1 主要業界ハイライト
5.2 アジア太平洋地域のプリンター市場の過去実績(2019~2025年)
5.3 アジア太平洋地域のプリンター市場予測(2026~2035年)日本のプリンター市場概要
6.1 主要業界ハイライト
6.2 日本のプリンター市場の過去実績(2019~2025年)
6.3 日本のプリンター市場予測(2026~2035年)タイプ別・日本のプリンター市場
7.1 単機能型
7.1.1 過去の推移(2019~2025年)
7.1.2 予測推移(2026~2035年)
7.2 多機能型
7.2.1 過去の推移(2019~2025年)
7.2.2 予測推移(2026~2035年)
- 技術別・日本のプリンター市場
8.1 ドットマトリックスプリンター
8.1.1 過去の推移(2019~2025年)
8.1.2 予測推移(2026~2035年)
8.2 インクジェットプリンター
8.2.1 過去の推移(2019~2025年)
8.2.2 予測推移(2026~2035年)
8.3 LEDプリンター
8.3.1 過去の推移(2019~2025年)
8.3.2 予測推移(2026~2035年)
8.4 サーマルプリンター
8.4.1 過去の推移(2019~2025年)
8.4.2 予測推移(2026~2035年)
8.5 レーザープリンター
8.5.1 過去の推移(2019~2025年)
8.5.2 予測推移(2026~2035年)
- プリンターインターフェース別・日本のプリンター市場
9.1 有線
9.1.1 過去の推移(2019~2025年)
9.1.2 予測推移(2026~2035年)
9.2 ワイヤレス
9.2.1 過去の推移(2019~2025年)
9.2.2 予測推移(2026~2035年)
- 出力タイプ別・日本のプリンター市場
10.1 カラー
10.1.1 過去の推移(2019~2025年)
10.1.2 予測推移(2026~2035年)
10.2 モノクロ
10.2.1 過去の推移(2019~2025年)
10.2.2 予測推移(2026~2035年)
- エンドユース別・日本のプリンター市場
11.1 家庭用
11.1.1 過去の推移(2019~2025年)
11.1.2 予測推移(2026~2035年)
11.2 業務用
11.2.1 過去の推移(2019~2025年)
11.2.2 予測推移(2026~2035年)
11.3 教育機関
11.3.1 過去の推移(2019~2025年)
11.3.2 予測推移(2026~2035年)
11.4 政府機関
11.4.1 過去の推移(2019~2025年)
11.4.2 予測推移(2026~2035年)
11.5 その他
- 市場ダイナミクス
12.1 SWOT分析
12.1.1 強み
12.1.2 弱み
12.1.3 機会
12.1.4 脅威
12.2 ポーターの5フォース分析
12.2.1 サプライヤーの交渉力
12.2.2 買い手の交渉力
12.2.3 新規参入の脅威
12.2.4 競争の激しさ
12.2.5 代替品の脅威
12.3 主要需要指標
12.4 主要価格指標
バリューチェーン分析
貿易データ分析(HSコード:844339)
14.1 主要輸出国
14.1.1 金額ベース
14.1.2 数量ベース
14.2 主要輸入国
14.2.1 金額ベース
14.2.2 数量ベース
価格分析
競争環境
16.1 サプライヤー選定
16.2 主要グローバル企業
16.3 主要地域企業
16.4 主要企業の戦略
16.5 企業プロファイル
16.5.1 HP Inc.
16.5.1.1 企業概要
16.5.1.2 製品ポートフォリオ
16.5.1.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
16.5.1.4 認証
16.5.2 Canon Inc.
16.5.2.1 企業概要
16.5.2.2 製品ポートフォリオ
16.5.2.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
16.5.2.4 認証
16.5.3 Seiko Epson Corp.
16.5.3.1 企業概要
16.5.3.2 製品ポートフォリオ
16.5.3.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
16.5.3.4 認証
16.5.4 Toshiba Corp.
16.5.4.1 企業概要
16.5.4.2 製品ポートフォリオ
16.5.4.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
16.5.4.4 認証
16.5.5 Fujitsu Ltd.(富士通株式会社)
16.5.5.1 企業概要
16.5.5.2 製品ポートフォリオ
16.5.5.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
16.5.5.4 認証
16.5.6 Panasonic Holdings Corp.
16.5.6.1 企業概要
16.5.6.2 製品ポートフォリオ
16.5.6.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
16.5.6.4 認証
16.5.7 Ricoh Company, Ltd.
16.5.7.1 企業概要
16.5.7.2 製品ポートフォリオ
16.5.7.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
16.5.7.4 認証
16.5.8 Konica Minolta Inc.
16.5.8.1 企業概要
16.5.8.2 製品ポートフォリオ
16.5.8.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
16.5.8.4 認証
16.5.9 FUJIFILM Holdings Corp.
16.5.9.1 企業概要
16.5.9.2 製品ポートフォリオ
16.5.9.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
16.5.9.4 認証
16.5.10 Brother Industries, Ltd.
16.5.10.1 企業概要
16.5.10.2 製品ポートフォリオ
16.5.10.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
16.5.10.4 認証
16.5.11 その他
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