JICAの「ブラジル国セラード地域における劣化牧野回復及び 持続的な農地転換プロジェクト推進のための 情報収集・確認調査」にグリーンが採択

~ブラジル・セラード地域における農牧統合システムの導入をデジタル技術で支援し、 シン・セラードの奇跡の実現を目指す~

2026-07-01 11:30
グリーン株式会社

国内外でAIを活用した農業ソリューション「e-kakashi(イーカカシ)」の提供を行うグリーン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 CEO:戸上 崇、以下、グリーン)の提案する「セラード地域における劣化牧野回復および持続的農地転換に向けた農牧統合(ILP)導入のためのデジタル支援実証事業」が、独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)の「ブラジル国セラード地域における劣化牧野回復及び持続的な農地転換プロジェクト推進のための情報収集・確認調査」に採択されたことをお知らせします。

提案背景と事業内容

かつて農耕不適地とされていたブラジル中央部のセラード地域は、1970年代以降の「日伯セラード農業開発協力事業(PRODECER)」等の国家的プロジェクトを通じた土壌改良や農業開発により世界最大級の食糧供給基地へと変貌を遂げ、世界から「セラードの奇跡」と称されました。
しかし現在、その歴史的な開発の代償として生じた広大な牧野の劣化が、温室効果ガス排出の増大や新たな森林伐採を招く負の連鎖の起点となっています。これに対しブラジル政府は、「劣化牧野を持続可能な農業生産と森林に転換する国家プログラム(PNCPD)」を推進しており、その中核として農地で作物の栽培と家畜の放牧を交互に行う農牧統合(以下、ILP*1)が位置づけられています。

現場の農家が劣化した牧野をこのILPを活用して回復させるためには、まずその土地がどのような作物や運用に適しているかを見極めるゾーニングと呼ばれる適地評価が必要不可欠ですが、広大な地域ゆえに圃場ごとの詳細な環境データが不足していることに加え、近年の気候変動により最適な作期や放牧のタイミングを見極める技術的なハードルが高いのが現状です。さらに、ILPへの転換資金を得るための低炭素農業向け融資の審査においては、環境改善や生産性向上が見込めるのか、データによる厳格なエビデンスの提示が求められることも、農家にとって大きな壁となっています。

今回の実証事業の目的は、デジタル技術を駆使してこれらの課題を解決し、環境保全と農業生産性を両立させる「シン・セラードの奇跡」を実現することです。農業IoTソリューション「e-kakashi」を中核に、衛星画像、気象メッシュデータ、生育シミュレーション、現場の作業記録を統合したハイブリッド型のデジタル支援基盤を構築することにより、生産者向けには、圃場ごとの最適な播種判断や生育モニタリングを支える意思決定支援機能を提供し、収量と収益の安定化を実現します。さらに、金融機関向けには、圃場ごとの生産性とリスクを可視化するスコアリング機能を提供し、低炭素農業向け融資などの審査・報告を支援するMRV*2(測定・報告・検証)プラットフォームを確立します。

事業全体のイメージ

事業全体のイメージ

今後の展開

グリーンはこれまで、総務省事業による技術実証を起点としてブラジルでのスマート農業実証を行い、JICA・IDB Lab共催のオープンイノベーションプログラム「TSUBASA2025」*3や経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業」*4にも採択されるなど、事業化に向けた基盤を構築してきました。本実証事業では、国際研究機関や現地研究・技術普及機関、アグリテック企業(Crops Team社)などとの強力なパートナーネットワークを活かし、セラード地域の劣化牧野回復および持続的な農地転換への貢献を目指します。
グリーンは、本事業を通じて技術的失敗リスクと資金アクセスの壁を同時に解消することで、新たな森林伐採を伴わない持続可能な農地の拡大と、温室効果ガス排出削減がセラード地域において自律的にスケールアップしていくエコシステムを構築し、デジタル技術による持続可能な劣化牧野回復および農地転換に寄与してまいります。

■「ブラジル国セラード地域における劣化牧野回復及び持続的な農地転換プロジェクト推進のための情報収集・確認調査」とは
ブラジルの劣化した牧野を持続可能な農地に回復させるため、スタートアップを含む日本企業が持つ土壌改良資材、バイオスティミュラント、デジタル農業技術などを現地の圃場で試験し、効果の可視化を実証するJICAのプロジェクトです。本プロジェクトにより、日本企業の海外展開を後押しするとともに、同国における持続可能な農業の実現に貢献することを目的としています。

*1 ILP:Integracao Lavoura-Pecuariaの略。作物の栽培(Lavoura)と家畜の放牧(Pecuaria)を同一の土地で組み合わせる持続可能な農業システムです。例えば、雨季に大豆を栽培した後、乾季にはトウモロコシと牧草を混播して牛の放牧を行うなど、時期や場所をうまく組み合わせることで、劣化した土壌を回復させながら環境負荷を抑えた農業生産を可能にします。
*2 MRV:Measurement, Reporting and Verificationの略。温室効果ガスの排出量や削減量などを測定(Measurement)し、決められたルールに従って報告(Reporting)し、そのデータが正しいかを第三者などが検証(Verification)する仕組みのことです。本事業においては、農家による環境配慮型の取り組みが実際に温室効果ガス削減等の効果を上げているかを客観的に証明し、低炭素農業向け融資等の資金アクセスを可能にするための重要な基盤となります。
*3 JICA・IDB Lab共催のオープンイノベーションプログラム「TSUBASA2025」に採択決定
*4 経済産業省令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)」にダブル採択

※『Pecuaria』の正式表記は一つ目の“a”の上に「'」(アキュートアクセント)