世界の転移性大腸がん(mCRC)の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表

2026-08-31 16:30
株式会社マーケットリサーチセンター

株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の転移性大腸がん(mCRC)の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Metastatic Colorectal Cancer (mCRC) Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。

■主な掲載内容

本レポートは、転移性大腸がん(Metastatic Colorectal Cancer:mCRC)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。mCRCは大腸がんが結腸または直腸を越えて遠隔臓器へ転移したステージIVの状態を指し、主な転移先は肝臓、肺、腹膜である。大腸がんは世界で最も一般的ながんの一つであり、2022年には約193万例の新規症例が発生したとされる。そのうち診断時から転移を有する患者は約15~20%、資料冒頭では20~30%とされており、研究や集団によって幅がある。調査会社は、高齢化、早期発症大腸がんの増加、分子診断の普及、再発患者の蓄積などを背景に、2026~2035年もmCRC患者プールが大きな臨床負担を形成するとみている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、発症率、年齢、性別、転移部位、診断患者数などを分析している。

mCRCの基本病態は、大腸原発腫瘍が進行し、血行性、リンパ行性、腹膜播種などを通じて遠隔部位へ広がることである。特に肝臓は門脈系を介して大腸からの血流を受けるため、最も一般的な転移臓器の一つである。肺転移や腹膜播種も頻度が高く、転移部位や数によって症状、治療戦略、予後が大きく異なる。

分子学的には、APC、KRAS、NRAS、BRAF、ミスマッチ修復経路などの異常が腫瘍の発生・進展に関与する。現在では、単に「ステージIV大腸がん」と診断するだけではなく、RAS変異、BRAF変異、MSI-H/dMMRなどの分子状態を評価し、それに基づいて治療を選択することが中心となっている。

したがって、mCRCの疫学は単純な患者数だけでなく、どの分子サブグループがどの程度存在するかという「分子疫学」も治療市場を考えるうえで重要になる。

症状は転移部位によって異なり、全身倦怠感、体重減少、食欲低下などの全身症に加え、肝転移では肝機能障害、肺転移では呼吸器症状、腹膜播種では腹水や腸閉塞などを生じる場合がある。

一方、早期大腸がんとして治療された後に再発し、後から転移性疾患となる患者も多い。そのため、mCRC患者プールは「初回診断時からステージIVの患者」と「ステージI~IIIで治療後に遠隔再発した患者」の両方から構成される。

この点は疫学解釈上非常に重要である。資料で示される「診断時15~20%が転移性」という数値だけでは、mCRC全体の患者数は把握できない。非転移性で診断された後に再発する患者も加える必要がある。

2022年の世界の大腸がん新規症例数は約193万例とされ、世界で3番目に多いがんとされる。そのうち約15~20%が初回診断時からステージIVとされる。

単純計算すれば診断時転移例だけでもかなりの患者数になるが、今回の資料では世界のmCRC症例数を約50万例とする推定も提示されている。

この約50万例という数値は、初回診断時の転移例だけでなく、再発転移例を含む推定である可能性があるが、提示資料だけでは厳密な定義は明確ではない。

また、冒頭では20~30%が診断時ステージIVとされる一方、疫学セクションでは15~20%とされている。これは研究・地域・診断時期による差の可能性があるため、単一の確定値ではなく「おおむね15~30%程度」と幅を持って解釈するのが適切である。

ただし、米国や英国など国別データでは約20%、約30%と異なる値が示されており、地域差やステージ分類法の違いも考慮する必要がある。

年齢では大腸がんの発症率は50歳以降に大きく上昇し、70歳以上でピークを迎えるとされる。そのため、mCRCも高齢者で大きな疾病負担を持つ。

高齢化が進む国では、単に人口が増えるだけでなく、高リスク年齢層そのものが拡大するため、絶対患者数が増加する可能性がある。

一方で、50歳未満の早期発症大腸がんが多くの地域で増加していることも重要である。若年患者が増えれば、その一部が将来的に転移性疾患として治療を必要とするため、mCRC患者の年齢構成が徐々に変化する可能性がある。

ただし、「早期発症大腸がんが増えている」ということと、「若年者のmCRC割合が同じ割合で増える」ということは同義ではない。早期診断や治療成績の変化も影響するためである。

性別では、大腸がんの発症・死亡ともに男性が女性より多く、転移性症例でも同様の傾向がみられるとされる。

したがって、mCRCは男性でやや多い疾患集団と考えられるが、今回の資料には男女別の具体的mCRC発症率は示されていない。

大腸がん全体の男女差を、そのまま特定の転移部位や分子サブタイプに適用することはできない点にも注意が必要である。

世界のmCRC年齢標準化発症率は人口10万人あたり約12~18.5例とされる。ただし、この値が初回診断時ステージIVだけなのか、再発性転移を含むのかは提示資料だけでは完全には明確でない。

そのため、世界約50万例という症例推定と12~18.5/10万人という発症率を厳密に対応させるには、対象年齢や症例定義の確認が必要である。

米国では2022年に大腸がん新規症例が14万7,931例あり、その約20%が遠隔転移ステージで診断されたとされる。

ここでの20%は、すべての大腸がん患者のうち「初回診断時に遠隔転移が確認された割合」である。後に再発した患者は含まれていない可能性が高い。

したがって、米国のmCRC患者数を推定する場合、14万7,931例の20%だけでは不十分であり、過去に早期ステージで治療され、その後遠隔再発した患者も加える必要がある。

米国でも50歳以上が中心で、男性に多いという世界的傾向と一致する。

英国では、約30%の大腸がん患者がステージIVで診断されるとされる。米国の約20%より高い値である。

ただし、この10ポイント程度の差をそのまま「英国では米国より転移が多い」と結論づけるのは慎重である。登録方法、ステージ不明例の扱い、調査期間、検診普及状況などが異なる可能性がある。

英国では肝臓と肺が最も一般的な転移部位とされる。この点はmCRC全体の典型的な転移パターンと一致している。

ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本、インドについては、今回の抜粋では具体的なmCRC患者数や診断時ステージIV割合は示されていない。

したがって、8主要市場すべてを対象とするレポートではあるものの、この提示文だけから国別mCRC負担を数量的に比較できるのは主として米国と英国である。

日本や欧州主要国では高齢化が進んでいるため、mCRCの絶対患者数が高齢人口増加の影響を受ける可能性がある。

インドでは人口規模の大きさと生活習慣変化による大腸がん負担増加が将来的なmCRC患者数へ影響する可能性があるが、今回の資料には具体的数値は示されていない。

mCRCの疫学を理解するうえで重要なのは、「大腸がん全体」「診断時ステージIV」「再発後に転移した患者」「現在mCRCとして治療中の有病患者」を区別することである。

世界193万例は大腸がん全体の年間新規患者数であり、15~20%は診断時転移率、約50万例はmCRC推定患者数であるが、これらは完全に同じ分母ではない。

特に、mCRC市場では再発患者が大きな割合を占めるため、年間新規ステージIV患者数だけを市場規模とするのは過小評価につながる可能性がある。

治療は、患者の全身状態、転移臓器、転移数、切除可能性、分子プロファイルなどによって個別化される。

標準的な全身化学療法として、FOLFOXやFOLFIRIなどの多剤併用レジメンが用いられる。

FOLFOXはフルオロピリミジン系薬剤とオキサリプラチンを中心とするレジメン、FOLFIRIはフルオロピリミジン系薬剤とイリノテカンを中心とするレジメンであり、mCRCの全身治療の基盤となる。

これらに分子標的薬を組み合わせることが多く、抗VEGF療法や抗EGFRモノクローナル抗体などが使用される。

抗EGFR治療はすべての患者に適応されるわけではなく、RAS野生型であることが重要な選択条件となる。

したがって、KRAS・NRAS検査は単なる予後評価ではなく、治療選択に直接必要な検査となる。

また、BRAF変異も予後や治療選択に重要であり、腫瘍の分子プロファイルに応じて標的治療戦略が変わる。

MSI-HまたはdMMR腫瘍では、免疫チェックポイント阻害薬が有効な治療選択肢となる。

これはmCRCの中でも分子サブタイプによって治療効果が大きく異なることを示しており、分子診断が治療開始前の標準的評価として重要である。

一方、すべてのmCRC患者が全身薬物療法だけで管理されるわけではない。

転移が少数かつ限局しているoligometastatic diseaseでは、特に肝転移のみなどの場合、外科的切除や局所アブレーションが検討される。

転移性であっても、完全切除可能な肝転移などでは長期生存を目指した局所治療が可能な患者が存在する。

したがって、「ステージIV=全例が緩和的薬物療法のみ」というわけではなく、転移数・位置・切除可能性によって治療目標が異なる。

今後の精密医療領域ではHER2標的治療やKRAS G12C阻害薬も拡大する方向にあるとされる。

これらの治療は特定の分子異常を有する患者に限定されるため、mCRC市場は単一の巨大市場ではなく、RAS、BRAF、MSI/MMR、HER2、KRAS G12Cなどによって細分化されていく。

この点から、2026~2035年には分子診断市場そのものもmCRC治療市場と並行して拡大すると考えられる。

治療成績の改善は疫学にも影響する。mCRC患者が以前より長く生存すれば、年間新規患者数が同じでも、ある時点で治療を受けている有病患者数は増える可能性がある。

したがって、mCRC患者プール増加は「発症率上昇」だけでなく、「生存期間延長」によっても起こる。

これは市場予測で重要な概念であり、より有効な標的療法や免疫療法が普及すると、逆説的に治療中患者数が増える可能性がある。

一方、スクリーニングによって大腸がんをより早期に発見できれば、診断時ステージIV割合を低下させる方向に働く。

したがって、2026~2035年のmCRC患者数は、高齢化や大腸がん発症増加による押し上げ、若年発症例増加、治療による生存延長、そしてスクリーニング改善による進行期診断減少という複数の要因のバランスで決まる。

全体として本レポートは、mCRCを「大腸原発がんが肝臓、肺、腹膜などの遠隔部位へ転移したステージIV疾患であり、高齢者と男性に多く、分子異常と転移部位によって予後・治療戦略が大きく異なる高度進行がん」と位置づけている。

2022年には世界で約193万例の大腸がんが発生し、初回診断時に約15~20%、資料冒頭の別推定では20~30%がステージIVだったとされる。したがって、診断時転移率には研究間で一定の幅がある。

世界のmCRC症例数は約50万例、年齢標準化発症率は12~18.5/10万人と推定されるが、これらが初回転移例のみか再発転移例を含むかについては提示資料だけでは完全に明確ではない。

年齢では50歳以降に大きく増加し、70歳以上でピークとなる一方、50歳未満の早期発症大腸がんが増加している地域もあり、将来的なmCRCの年齢構成に影響する可能性がある。性別では男性で発症・死亡ともに多い。

米国では2022年に大腸がん新規14万7,931例のうち約20%が遠隔転移期で診断され、英国では約30%がステージIVとされる。英国では肝臓、肺が代表的転移先である。ただし、米国20%と英国30%は異なるデータセットのため、そのまま国際比較するのは慎重である。

また、これらの診断時ステージIV割合には、初回治療後に遠隔再発した患者が含まれない点が重要である。実際のmCRC治療対象人口は、de novo stage IVと再発転移例を合わせて考える必要がある。

治療では、FOLFOX、FOLFIRIなどの多剤化学療法を基盤に、抗VEGF療法やRAS野生型患者への抗EGFR抗体を組み合わせる。MSI-H/dMMR患者では免疫チェックポイント阻害薬が重要となり、少数転移で切除可能な患者では外科切除や局所アブレーションも検討される。さらにHER2標的治療、KRAS G12C阻害薬などによって分子標的別の治療選択肢が拡大している。

2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、高齢人口の増加、若年発症大腸がんの増加、再発患者の蓄積が患者数を押し上げる一方、検診による早期発見は診断時転移率を低下させる可能性がある。また、治療の進歩による生存期間延長は、ある時点で治療を受けるmCRC有病患者数を増加させる可能性がある。

したがって、今後のmCRC管理における中心的課題は、診断時ステージだけで患者を一括して扱うのではなく、初回転移か再発転移か、転移臓器と数、切除可能性、RAS・BRAF・MSI/MMR・HER2・KRAS G12Cなどの分子特性、患者年齢と全身状態を総合的に評価し、化学療法、分子標的薬、免疫療法、外科切除、局所治療を適切に組み合わせることである。2026~2035年は、mCRCを単なる「治癒不能のステージIV大腸がん」として一律に扱うのではなく、転移パターンと分子サブタイプに基づいて治療を細分化し、選択された患者では長期生存や転移巣根治も目指す精密腫瘍学の代表的領域として管理することが、臨床・市場双方の主要テーマになるとまとめられる。

※目次構成

01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件

02
エグゼクティブサマリー

03
転移性大腸がん(mCRC)市場概要(8主要市場)
3.1 転移性大腸がん(mCRC)市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 転移性大腸がん(mCRC)市場の予測市場規模(2026年~2035年)

04
転移性大腸がん(mCRC)疫学概要(8主要市場)
4.1 転移性大腸がん(mCRC)疫学状況(2019年~2025年)
4.2 転移性大腸がん(mCRC)疫学予測(2026年~2035年)

05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断

06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因

07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 8主要市場における転移性大腸がん(mCRC)疫学状況(2019年~2035年)

08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国における転移性大腸がん(mCRC)疫学状況(2019年~2035年)

09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国における転移性大腸がん(mCRC)疫学状況(2019年~2035年)

10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおける転移性大腸がん(mCRC)疫学状況(2019年~2035年)

11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおける転移性大腸がん(mCRC)疫学状況(2019年~2035年)

12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおける転移性大腸がん(mCRC)疫学状況(2019年~2035年)

13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおける転移性大腸がん(mCRC)疫学状況(2019年~2035年)

14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本における転移性大腸がん(mCRC)疫学状況(2019年~2035年)

15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおける転移性大腸がん(mCRC)疫学状況(2019年~2035年)

16
患者経路

17
治療課題および未充足ニーズ

18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察

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