オタネニンジン由来ナノベシクルの抗炎症作用について発表
第79回日本栄養・食糧学会大会での研究発表
株式会社ナガセビューティケァ(本社 東京都中央区、代表取締役社長 鳥江孝治)は、宮崎大学農学部のグループとの共同研究により、オタネニンジンからナノベシクルを単離し、このナノベシクルに抗炎症作用を確認しました。
その研究成果を第79回日本栄養・食糧学会大会(愛知 2025年5月23日- 25日)にて発表しました。

研究背景
植物はナノサイズの小胞(ベシクル)を分泌することが知られており、ナノベシクルと呼ばれています。このナノベシクルは脂質二重膜構造をとり、植物由来の有効成分や生体分子を内包しています。ナノベシクルは情報伝達や分子の輸送を担っており、また機能性を有することが明らかにされつつあり、健康食品や化粧品への応用が期待されています。
オタネニンジン(高麗人参:Panax ginseng C. A. Meyer)は、免疫系、神経系、循環器系など幅広い効果を示す植物として、古くから薬用食用問わず利用されており、その有効成分としてサポニンがよく知られています。本研究では、オタネニンジンの新たな有効成分を見出すことを目的とし、ナノベシクルの単離及び機能性の評価を行いました。
学会発表内容
超遠心精製法を用いてオタネニンジンからナノベシクルの単離を試み、粒子径測定を実施しました。単離した物質のキュムラント径(動的光散乱法解析で得られる平均粒子径の1つ)は69.7nmであり、オタネニンジンからナノベシクルが単離できることが確認されました。(図1)

続いて、得られたオタネニンジン由来のナノベシクルについて抗炎症作用の評価を実施しました。
マウスマクロファージ様細胞株RAW264にオタネニンジン由来ナノベシクルを添加し、24時間後にLPSによる炎症誘導処理を行った後の炎症性物質(IL-1β、IL-6、TNF-α、IL-10)に及ぼす影響を評価しました。
その結果、オタネニンジン由来ナノベシクルに各種炎症性物質の産生を抑制する効果が認められました。(図2)

まとめ
本研究において、超遠心精製法によりオタネニンジンからナノベシクルが単離できることが確認されました。さらに、オタネニンジン由来ナノベシクルは、炎症を引き起こす物質により産生される炎症性物質を抑制する効果が確認されました。オタネニンジンの幅広い機能性に、オタネニンジンがもつナノベシクルが関与していることが考えられます。
今後もオタネニンジンをはじめとしたナノベシクルの研究を推進し、健康食品の開発に活かしていきます。
株式会社ナガセビューティケァ
ナガセビューティケァは自社で健康食品や化粧品の研究・製品開発を行っています。「ハーブサイエンス&テクノロジー」を研究開発指針として掲げ、美と健康に優れた力を発揮する成分をみつけるために、自然素材を徹底的に研究。ローズマリーをはじめとするハーブに着目した独自の研究を進め、化粧品・健康食品へ応用しています。
宮崎大学
宮崎大学は、教育学部・医学部・工学部・農学部・地域資源創成学部の5学部と7大学院研究科を有する国立総合大学で、「世界を視野に、地域からはじめよう」のスローガンのもと、その成果を広く世界に発信することを大切にしています。農学部は、様々な課題に対応できる人材育成を目指し、農学科・獣医学科の2学科を設置しています。農学や生命科学に関する知識と基盤的な能力(農学ジェネラリティー)を備え、農業、食物生産、自然環境の保護、獣医療などの高度な専門性をもつ、実践型スペシャリストの育成を目指します。