医療用固体シリコーンの世界市場規模:2026年は338百万米ドルに達する見込み

2026-10-15 17:17
QY Research株式会社

医療用固体シリコーンとは

医療用固体シリコーンは、医療機器やヘルスケア部品の製造に用いられる高粘度の未加硫シリコーンゴムであり、ガム状または練り状で供給される。高稠度ゴム(HCR)、熱硬化型エラストマー、HTVシリコーンゴムなどに分類され、高分子量のシロキサンポリマーを基材に、高純度シリカや架橋剤、加工助剤などを配合して製造される。

図. 医療用固体シリコーンの世界市場規模

QYResearch調査チームの最新レポート「医療用固体シリコーン―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、世界市場は2025年に3億1,700万米ドル、2026年に3億3,800万米ドルとなり、2026~2032年の年平均成長率(CAGR)7.3%で成長し、2032年には5億1,500万米ドルに達すると予測される。

医療用途の拡大と材料の信頼性
医療用固体シリコーンの需要を支えるのは、医療用チューブ、カテーテル、呼吸器関連システム、薬液移送部品、薬物送達機器、耐久性が求められる成形部品などの用途である。柔軟性や生体適合性に加え、蒸気、エチレンオキサイド、放射線による滅菌への対応力が評価され、繰り返し滅菌する機器や長期にわたり身体と接触する製品で採用されている。
ただし、「医療用」という名称だけで完成品の安全性や規制適合性が保証されるわけではない。個々の配合と用途に応じて、ISO 10993に基づく生物学的評価、USP Class VI試験、抽出物・溶出物の分析、滅菌適合性などを確認する必要がある。原材料の評価と最終医療機器の承認は区別され、材料変更時には追加試験や製品検証が必要になる場合もある。

架橋方式と硬度による製品差別化
医療用固体シリコーンでは、白金触媒による付加硬化型が注目されている。過酸化物硬化型と比較して、残留揮発成分を抑えやすく、過酸化物の分解残留物が生じないことから、透明性や清浄度を重視する用途に適している。メーカーには、配合管理だけでなく、ろ過工程、ロット追跡、製造環境の管理、生体適合性に関する文書整備まで含めた品質保証が求められる。
硬度別では、ショアA硬度10~30の軟質、31~60の中硬質、61~90の硬質に分類される。柔軟性を重視するチューブや接触部品と、形状保持性が必要な成形部品では最適な硬度が異なる。用途に応じた配合設計と加工条件の最適化が、製品性能と製造歩留まりを左右する。

液状シリコーンとの競合と供給網
液状シリコーンゴム(LSR)は、密閉された供給系での取り扱いや精密な計量、自動射出成形に適しており、複雑形状の部品を大量生産する用途で競争力を持つ。一方、医療用固体シリコーンは、連続押出成形によるチューブ、大型または比較的単純な成形品、シート材、特殊配合品、小ロット生産などで優位性を発揮する。金型費用や生産量も選定を左右するため、両材料は単純な代替関係ではなく、製品形状や製造条件に応じて使い分けられる。
2025年の市場推計では、平均販売価格は1キログラム当たり約20米ドル、販売量は約1万6,500トン、メーカーの平均粗利益率は約42%とされる。上流にはシリコーンガム、高純度ヒュームドシリカ、架橋剤、白金触媒または有機過酸化物、顔料や機能性添加剤が位置し、中流では配合、混練、ろ過、ロット試験、管理包装が行われる。下流顧客はチューブ押出メーカー、成形加工企業、カテーテルメーカー、医療機器メーカー、医薬品製造設備メーカーなど幅広い。

競争環境と今後の成長条件
主要企業には、Wacker Chemie AG、DuPont de Nemours、AvantorのNuSil、Momentive Performance Materials、信越化学工業、Trelleborg Sealing Solutions、Specialty Silicone Productsなどが含まれる。市場では北米、欧州、中国、日本を含むアジア太平洋地域が重要な需要地域となる。医薬品、臨床医療、医療研究など用途ごとに要求性能が異なるため、企業には用途別の製品展開と技術支援が求められる。
医療用固体シリコーンは、一般産業用材料よりも評価・認定のハードルが高く、採用後は材料変更に伴う再評価が顧客の負担となる。この特性は供給関係の継続性を高める一方、新規参入企業の認定期間を長期化させる。今後の成長では、価格競争だけでなく、安定供給、ロット間の品質一貫性、滅菌後の性能維持、包括的な技術文書の提供が競争力を決定する。

本記事は、QY Research発行のレポート「医療用固体シリコーン―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」に基づき、市場動向および競合分析の概要を解説します。
【レポート詳細・無料サンプルの取得】
https://www.qyresearch.co.jp/reports/1684181/medical-grade-solid-silicone

お問い合わせ先
QY Research株式会社
URL:https://www.qyresearch.co.jp
日本の住所:〒104-0061東京都中央区銀座 6-13-16 銀座 Wall ビル UCF5階
TEL:050-5893-6232(日本);0081-5058936232(グローバル)
マーケティング担当 japan@qyresearch.com

会社概要
QYResearch(QYリサーチ)は、2017年に東京で設立された市場調査・コンサルティング企業です。世界市場を対象に、市場調査レポート、受託調査、IPO関連コンサルティングなど多様なサービスを展開し、各業界の市場動向、成長可能性、競争構造を総合的に分析しています。これまでに160以上の国・地域、65,000社を超える企業へ産業情報サービスを提供しており、豊富な調査実績とグローバルネットワークを強みとしています。特に、競合分析、市場規模予測、業界構造分析、カスタマイズ調査分野において、多くの日本企業から高い信頼と評価を獲得しています。