全国6,139社に調査! 女性の管理職・役員登用への課題が浮き彫りに  人事の実態調査『日本の人事部 人事白書2025』発刊

女性を昇進させる課題「要件を満たす人が少ない」「女性が目指していない」 「女性の数が少ない」「ロールモデルの不在」「アンコンシャスバイアス」

株式会社HRビジョン
2025-07-02 10:00

人材採用・育成、組織開発のナレッジコミュニティ『日本の人事部』(運営:株式会社HRビジョン、本社:東京都港区、代表取締役社長:林 城)は、全国の企業のべ6,139社の人事部門を対象とした、人事の実態調査『日本の人事部 人事白書2025』( https://jinjibu.jp/research/ )を発刊しました。

本調査により、女性を管理職や役員へ昇進させる上での課題が浮き彫りになりました。「課長相当職」「部長相当職」「役員」への昇進の課題に関して、それぞれ聞いたところ、いずれの役職に関しても、「女性自身が目指していない」「要件を満たす女性が少ない」が多く挙がりましたが、従業員規模が大きくなるほど、「ロールモデルが少ない」「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が根強い」などの割合が高くなる傾向が見られました。

調査結果(一部抜粋)

課長相当職への昇進の課題で最多は「女性自身が目指していない」

女性を課長相当職に昇進させる上での課題について、複数回答で聞きました。最も多かったのは「女性自身が目指していない」(47.2%)で、「要件を満たす女性が少ない」(45.2%)、「全社の女性従業員の数が少ない」(28.7%)、「ロールモデルが少ない」(26.1%)、「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が根強い」(15.1%)と続きます。

従業員規模別に見ると、「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が根強い」に関して、規模が大きくなるにつれて、課題と捉えている割合が高くなっています。

質問:貴社で女性を課長相当職に昇進させる上での課題について、当てはまるものをお選びください(三つまで)。

質問:貴社で女性を課長相当職に昇進させる上での課題について、当てはまるものをお選びください(三つまで)。

部長相当職への昇進の課題で最多は「要件を満たす女性が少ない」

女性を部長相当職に昇進させる上での課題について、複数回答で聞きました。最も多かったのは「要件を満たす女性が少ない」(53.0%)で、「女性自身が目指していない」(44.1%)、「ロールモデルが少ない」(29.2%)、「全社の女性従業員の数が少ない」(23.8%)、「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が根強い」(12.9%)と続きます。

従業員規模別に見ると、「ロールモデルが少ない」と回答したのは、501~1000人の企業は40.0%、1001~5000人の企業は39.7%、5001人以上の企業は39.5%を示しており、501人以上の企業では全体の値(29.2%)を上回っていることがわかります。

質問:貴社で女性を部長相当職に昇進させる上での課題について、当てはまるものをお選びください(三つまで)。

質問:貴社で女性を部長相当職に昇進させる上での課題について、当てはまるものをお選びください(三つまで)。

役員への昇進の課題で最多は「要件を満たす女性が少ない」

女性を役員に昇進させる上での課題について、複数回答で聞きました。最も多かったのは「要件を満たす女性が少ない」(55.7%)で、「女性自身が目指していない」(37.2%)、「ロールモデルが少ない」(26.7%)、「全社の女性従業員の数が少ない」(22.9%)、「昇進に経営層の関心が低い」(13.6%)と続きます。

従業員規模別に見ると、「要件を満たす女性が少ない」と回答したのは、501~1000人の企業は64.6%、1001~5000人の企業は64.7%、5001人以上の企業は65.1%にのぼっており、501人以上の規模の企業では60%以上が課題視していることがわかります。

質問:貴社で女性を役員に昇進させる上での課題について、当てはまるものをお選びください(三つまで)。

質問:貴社で女性を役員に昇進させる上での課題について、当てはまるものをお選びください(三つまで)。

■5章「ダイバーシティ&インクルージョン」調査監修:東京女子大学 現代教養学部 心理学科 准教授 正木 郁太郎氏のコメント(一部抜粋)

大企業の女性活躍推進を例にとると、どの職位の管理職育成が課題となっていて、何が育成のハードルとなっているかという点に、見直しの手掛かりが見えました。課長と部長に女性を昇進させる上での課題をたずねた結果を、特に職位間で求められる能力の差が大きい大企業に絞って比較すると、職位によって課題が異なっています。

職位にかかわらず「要件を満たす女性が少ない」「女性自身が目指していない」という回答が多いものの、職位別に異なる点もあり、課長級では「全社の女性従業員の数が少ない」「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が根強い」といった全社的な人員構成や風土醸成が、部長級では「要件を満たす女性が少ない」が多く挙がりました。

一律に、例えば「女性の意識が原因だ」あるいは「男性の差別が原因だ」と論じるだけでなく、自社の今の課題や現場のニーズ、そしてその変化に応じた手を打つ必要がありそうです。

その他の結果(一部)

・戦略人事:企業の約9割が戦略人事の重要性を認識しているにもかかわらず、実際に「機能している」と回答したのは約3割にとどまり、この5年間で状況は改善していません。8割の人事部門が依然として管理業務に追われている実態も明らかになりました。

・新卒採用:2025年卒の新卒採用において、「人材要件を満たす人材が採用できた」と感じている企業は47.0%で、昨年度から8.4ポイント減少。採用の量だけでなく、質の確保が課題として浮上しています。

・若手育成:企業が若手社員に最も求める能力は「主体性」(27.1%)がトップでした。従業員規模が大きい企業のほうが、主体性を求める割合が高くなっています。

※その他、『日本の人事部 人事白書2025』本誌では、調査した158問すべての結果、監修者による各テーマの分析と今後への提言を収録しています。

人事白書について

『日本の人事部』では、年に1回、全国の企業が抱える人事課題や施策の方針などについて幅広く調査を行っています。そして、調査結果と監修者による解説を『日本の人事部 人事白書』としてまとめ、発刊しています。企業の業種や規模を問わず、全国的な調査を行うことで、日本の企業が抱える課題、その解決への糸口を、客観的・中立的に捉えることを目指しています。
※詳細: https://jinjibu.jp/research/

人事白書2025調査概要

実施時期:2025年3月3日~3月31日
調査対象:『日本の人事部』正会員
調査方法:Webサイト『日本の人事部』にて回答受付
回答数 :6,139社、6,285人(のべ)
質問数 :158問
質問項目:1. 戦略人事/2. 採用/3. 育成/4. 制度・評価・賃金/
     5. ダイバーシティ&インクルージョン/6. 働きやすさ・働きがい/
     7. 組織文化/8. 注目の人事課題(コミュニケーション、HRBP、
       サクセッションプラン、テクノロジー活用)

冊子概要

・編者  :『日本の人事部』編集部
・判型  :A4判
・ページ数:352ページ
・定価  :データ版/11,000円(消費税込)
      製本版/11,000円(消費税込)
      データ・製本版セット/13,200円(消費税込)
      ※データ版と製本版の掲載内容は同じです。

※本調査結果の引用について
本調査結果を引用される場合は、以下の出典を明記してください。
出典:『日本の人事部 人事白書2025』