ワールドフュージョンと日本オラクル、遺伝子関連情報検索システム「LSKB(Life Science Knowledge Bank)」を共同で開発
株式会社ワールドフュージョン(代表取締役社長:川原 弘三、本社:東京都中央区日本橋人形町2-15-15 新扇堂ビル 7F、以下ワールドフュージョン)と日本オラクル株式会社(代表取締役社長:新宅 正明、本社:千代田区紀尾井町4-1、以下日本オラクル)は、医療機関、製薬業界向けの遺伝子関連情報検索システム「LSKB(Life Science Knowledge Bank)」を共同で開発し、2004年2月より提供開始することを発表します。本システムは、ワールドフュージョンの提供するバイオ・医学文献テキストデータマイニングシステム「構kozo造」で作成した遺伝子、疾患、化合物や治療薬の相互関係の情報データベースと、日本オラクルの提供する辞書管理システム「Oracle TMS(Thesaurus Management System)」を連携させ、今回ワールドフュージョンが新たに遺伝子配列データベースを用いて開発した遺伝子辞書機能を付加することにより実現されます。
現在、医療、製薬業界を中心に遺伝子情報を基盤にした研究、開発が盛んに行われております。遺伝子の種類は現在わかっているだけでも約14,000個あると言われ、それらに関連した疾患情報、文献情報なども合わせるとそのデータ量は膨大であり、また情報は日々刻々と変化しています。ここ数年では、個々の遺伝子配列だけでなく、遺伝子間の関連性へと研究者の着眼点は移行しつつあり、遺伝子同士の類似性と疾患や治療薬を含む化合物との関連を知ろうとする研究も活発になってきました。このようなことから、遺伝子情報による研究、開発分野において、遺伝子配列だけでなくそれらに関連する網羅的な情報を効率よく管理し、利用することが同分野のさらなる発展に向けた重要な課題であるとされています。しかしながら、現在の遺伝子情報は、遺伝子名の統一が図れていない、遺伝子名が頻繁に変更される、さらに疾患との関連も変化するなど、管理を簡素化することが困難でした。
この状況を解決するために、ワールドフュージョンと日本オラクルは、遺伝子に関連した文献情報、疾患情報、医学用語、遺伝子間の関連性を、バイオ・医学文献テキストデータマイニングシステム「構kozo造」と、辞書管理システム「Oracle TMS(Thesaurus Management System)」を用いて統合管理し、効率的な検索を可能にした遺伝子関連情報検索システム「LSKB(Life Science Knowledge Bank)」を共同で開発しました。「LSKB」では、公共データベースを中心に、データマイニングで作成した遺伝子情報、疾患情報、治療薬を含む化合物ならびに、医学教科書などでよく利用する言葉をキーにして、文献データベースに対してテキストマイニングを行い、結果として遺伝子や疾患、化合物間の関連の強さを点数表示することができます。このとき参考とした文献のID(主にMEDLINER-ID)も参照でき、米国医学図書館へのリンクで詳しい論文情報を取得することも可能です。
また、米国バイオテクノロジーセンターが公開している用語データベースである「MeSH」やゲノム情報の基本的なデータベースである「LocusLink」のデータを追加して「LSKB」と連携することで、総合的なゲノム研究用データベースとして利用することができます。これらのほか、有償の医学用語データベースである「MedDRA」や「ICD10」などの汎用大型医学辞書データを追加することで、「LSKB」の辞書精度をより高めることができ、網羅的な医学研究や本格的な治験辞書として利用できます。
なお、作成されたさまざまな辞書は、「Oracle TMS」の主要機能である「辞書バージョン管理機能」を利用してバージョン管理がなされており、変化しやすい遺伝子情報をタイムリーに更新し、正確な最新情報の提供を可能にしています。
ユーザーは本システムを利用することにより、遺伝子名や疾患名を基盤に、その遺伝子の配列に類似した遺伝子または疾患に関連する遺伝子を検索することができ、さらに、関連する文献情報やタンパク質の配列情報、ゲノム・マップなどについて網羅的に調べることができます。さらに検索結果は、ワールドフュージョンが今回新たに開発した遺伝子間の類似性計算アルゴリズムにより、関連性の高い順から点数表示されるため、いままで手作業で行っていた類似性の調査を自動化することで、効率的な研究と支援します。
●「LSKB(Life Science Knowledge Bank)」概要
提供開始日:2004年2月2日
価格:最小構成価格250万円から
詳細:http://www.w-fusion.co.jp/
お問い合わせ先:株式会社ワールドフュージョン
「LSKB」は「Oracle TMS」の辞書機能を基盤にしているため、他のシステムの一部に追加して活用することも可能です。またワールドフュージョンは、導入後のサービスとして、頻繁に更新される遺伝子情報を最新のものに更新する作業を有償で提供します。ワールドフュージョンと日本オラクルは、医療機関、製薬企業、研究所などをターゲットに、本システムの展開に積極的に取り組んでまいります。また、販売パートナーについても順次増強していく予定であり、2004年末までに、10社、機関、団体への同製品の導入を目指しています。
■ 本件に関する報道関係お問合せ
株式会社ワールドフュージョン 取締役 牧野浩美
TEL:03-3662-0521 FAX:03-3662-0522
e-mail:hmakino@w-fusion.co.jp URL http://www.w-fusion.co.jp
日本オラクル株式会社 マーケティング本部
コーポレート・コミュニケーションズグループ 広報 石川
TEL:03−5213−6395 FAX:03−5213−6990
e-mail:junko.ishikawa@oracle.com プレスルーム URL:http://www.oracle.co.jp/press/
Oracleは、Oracle Corporation の登録商標です。
本文中の商品名は、各社の商標または登録商標です。
◆ データマイニング/テキストマイニングについて
大規模なデータの「鉱脈」から「採掘(mining)」によって有用なデータを探し出す技術。データマイニングとは、販売データや通話履歴など、大量蓄積 されるデータを解析することにより、項目間の相関関係などを探し出すことを指す。これに対しテキストマイニング も、文章データに対する多角的な観点からの分析によって役立つ知識や情報を取り出そうという点は同様である。従来は単純な文書検索であっ たが、膨大な文書の中に記述されている「内容の傾向や相関関係」などを分析することで、既存の知識にはなかった発想や営業戦略立案などに役立つ知識や情報 獲得をめざす技術に変化しつつある。ライフサイエンス分野では特に膨大な量のデータ・セット(遺伝子配列、化合物、文献など)から、未知の傾向やパターン、知識を抽出するのに利用する手法のことを指し、有用な情報を取り出すための様々なテキストデータマイニング手法が提供されています。
◆ 「TMS」について
Oracle Thesaurus Management System(TMS)は、主に臨床開発データベースの言葉の統一を図るために用いられるアプリケーションで、MedDRA、WHO-Drug、ICD-9/10、COSTART、SNOMED等の汎用的な大型辞書や用語集、または顧客サイト特有の辞書を、バージョンも含めて一元的に管理/検索することができるシステムです。TMSを利用することにより、膨大で統一が図れていないそれぞれの辞書間(バージョン間)の用語を関連付けて管理することができ、臨床開発における集計や解析が簡便になるというメリットがあります。
今回は、名前が統一されておらず且つ頻繁に更新される遺伝子情報(またはそれに関連する様々な情報)を効率的に管理するために、TMSが用いられています。
◆「構kozo造」について
構kozo造”は文献データをマイニングし、遺伝子・化合物・疾患の関連性情報をもったデータベースです。
文献をバイオインフォマティックでマイニングすることの特徴は”客観的でかつ短時間に評価できる”ということです。たとえば、創薬目的の遺伝子にどのような化合物や疾患が強く関連しているかを知るときに”文献”を参考にします。このときに短時間で人間の目で見ることができる論文の数は数限られています。バイオインフォマティックを使えば確実に数百万以上の文献データを計算機が読み、その遺伝子に関連の強い化合物や疾患を短時間に抽出できます。
”構kozo造”がもつ文献の検索は、単なるキーワードサーチではなく、検索結果を関連の強い順にランキング表示します。つまり、研究目的の遺伝子に関連する化合物を検索すると、その遺伝子と化合物が強く関与する順に表示する機能を持っています。遺伝子、化合物、疾患とどのキーワードからでもお互いを検索できることが特徴です。
◆ 株式会社ワールドフュージョンについて
株式会社ワールドフュージョンは、1996年2月にバイオインフォマティックベンチャー企業として設立されました。主に、バイオ系の研究データの管理、解析に関するソフトウエアを開発している開発型企業です。現在までに、主製品として6製品、関連製品を含めると15製品以上のバイオテクノロジー支援ツールを自社開発、製品化してまいりました。
◆ 日本オラクル株式会社について
日本オラクル株式会社は、オラクル・コーポレーションの日本法人として1985年に設立されました。国内を拠点としたEビジネス構築のためのソフトウェア製品、ソリューション、コンサルティング、サポートサービス、教育の事業を展開しています。1999年2月5日に店頭市場へ株式公開、2000年4月28日に東証一部上場。従業員数1,440 名(2003年5月末現在)。