前田真吾医師ら、ブルガダ症候群の 心電図出現パターンと患者背景の 違いを国際共同研究で解析

自然発生型と薬剤誘発型を比較、 より精緻なリスク評価に向けた 臨床的特徴を検討

2026-09-18 10:14
東京昭和医院

 循環器診療を専門とする前田真吾医師(東京昭和医院 総院長)が参画した国際共同研究において、ブルガダ症候群の患者を対象に、特徴的な心電図所見が自然に認められる患者と、薬剤負荷によって初めて認められる患者の臨床的特徴が比較・解析された。
 研究成果は「Characteristics of Patients with Spontaneous Versus Drug-Induced Brugada Electrocardiogram: Sub-Analysis From the SABRUS」として、2023年1月、米国心臓協会(AHA)の専門誌『Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology』に掲載された。

重篤な心室性不整脈との関連が知られるブルガダ症候群
 ブルガダ症候群は、特徴的な心電図所見を示し、心室細動などの重篤な心室性不整脈を生じる可能性がある疾患である。ただし、ブルガダ症候群に特徴的な心電図所見が、すべての患者で常に確認されるわけではない。通常の心電図検査で自然に特徴的な波形が認められる場合があるほか、普段の心電図では明確な所見を示さず、特定の薬剤を用いた負荷試験によって初めて特徴的な波形が確認される場合もある。
 こうした心電図の出現パターンの違いが患者の臨床的特徴とどのように関連しているのかを明らかにすることは、ブルガダ症候群の病態を理解し、患者ごとのリスク評価を検討する上で重要な課題となっている。

国際研究「SABRUS」のデータを用いて比較解析
 今回の研究は、ブルガダ症候群に関する国際研究「SABRUS」のデータを用いたサブ解析として実施された。研究グループは、ブルガダ型心電図が自然に認められる「自然発生型」と、薬剤負荷によって確認される「薬剤誘発型」について、患者背景や電気生理学的特徴、不整脈イベントとの関連などを比較した。
 解析の結果、電気生理学的検査を受けた割合には両群で大きな差がみられなかったものの、検査によって心室細動が誘発された割合は、自然発生型で67.3%、薬剤誘発型で55.7%となり、自然発生型で有意に高いことが示された。
 これに対し、不整脈イベントを経験した年齢、失神歴、突然死の家族歴、発熱に関連したイベント、遺伝学的所見などについては、両群間に明確な差は認められなかった。

心電図の出現パターンだけでなく、複数の要素から患者を評価
 今回の研究では、ブルガダ型心電図が自然に現れる患者と、薬剤によって初めて現れる患者との間で、一部の電気生理学的特徴に違いがみられることが示された。その一方、失神歴や突然死の家族歴など、臨床上重要な複数の項目については明確な差が確認されなかった。
 これらの結果は、ブルガダ症候群の患者を評価する際、心電図が「自然発生型か、薬剤誘発型か」という点だけではなく、症状、既往歴、家族歴、心電図所見、電気生理学的所見など、複数の情報を総合的に検討することの重要性を考える上で参考となる。
 ブルガダ症候群は患者によって臨床像が異なり、将来的な心室性不整脈のリスクをどのように評価するかは、現在も重要な研究課題の一つである。

 今回の国際共同研究は、異なる心電図出現パターンを持つ患者の臨床的特徴を比較することで、ブルガダ症候群の病態理解と、より精緻なリスク評価を検討するための研究成果を提示した。
 前田真吾医師(東京昭和医院 総院長)は、日本を含む各国の不整脈専門家が参加した本国際共同研究に、共同著者として参画している。

東京昭和医院について
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