Qt Group、組込みUXデザイン専用ツール「Clate」を発表

汎用デザインソフトウェアでは考慮されにくい、組込み機器特有の リソース制約に対応し、組込み機器のインターフェース設計に特化した、 AIネイティブなノーコードワークスペース

2026-10-28 10:00
Qt Group

フィンランド・エスポー、2026年10月27日 ― Qt Group(Nasdaq Helsinki:QTCOM)はQt World Summit 2026( https://www.qt.io/qt-world-summit-2026 )において、さまざまな製品に搭載される組込みユーザーインターフェースのデザイナー向けに開発された専用デザインツール「Clate」を発表しました。Clateは、汎用的なWeb・モバイル向けデザインツールへの依存を不要にし、組込みUI/UXデザイナーにノーコードかつAIネイティブな環境を提供します。これにより、リソースに制約のあるハードウェア上でも、デザイナー自身がユーザーエクスペリエンス全体を一貫して主導できるようになります。

スマートフォンの普及により、インターフェースの見た目や操作感に対するユーザーの期待は高まっており、組込み機器も例外ではありません。しかし、組込み機器のデザインは、ターゲットハードウェアの処理性能やメモリなどに厳しいリソース制約があるため、スマートフォン向けとは本質的に異なります。これまでのデザインツールは、こうした組込み機器特有の制約を十分に考慮していませんでした。その多くはWebやモバイル向けに作られており、そこで作成したUIは実際のデバイス上では十分なパフォーマンスを発揮できません。一方で、組込みUXデザインに特化したツールも存在しますが、コード編集への依存度が高く、コードを書かないデザイナーがUI開発の工程に関わりにくくなっています。こうしたワークフローでは、複雑なターゲットハードウェアへの最適化がデザインチームと開発チーム双方の大きな負担となり、UI/UXの設計は日常的に妥協を余儀なくされています。

デザイナー自身もこの課題を認識しています。Qt Groupが以前実施した調査( https://www.qt.io/ja-jp/embedded-ux-designers-market-research )では、組込みUI/UXデザイナーの59%が、何らかの新しいツールがあることが望ましいと回答しました。ところが、求めるツールがどのようなものかを尋ねると、多くの回答者は具体的に説明できませんでした。この課題を解決する既存のツールが一つも存在しなかったためです。

この課題を解決するために生まれたのが、Clateです。デザイナーは、ビジュアルモックアップの作成にとどまらず、組込みアプリケーションのユーザーエクスペリエンス全体を主導できるようになります。Clateの主な機能は次のとおりです。

● AIネイティブな統合:画面生成やデザイン変更などの操作を自然言語で指示。MCP(Model Context Protocol)を活用し、他のデザインツールや生産性向上ツールと直接連携。
● 実機に即したUI挙動:デザイナー自身が変数、データバインディング、アニメーション、インタラクションを設定でき、リアルタイムフレームレートやメモリ使用量などのパフォーマンス指標の確認が可能。
● 直感的なノーコードワークスペース:デザイナーが使い慣れた感覚で作業できるインターフェースを備え、無限キャンバス、階層ツリー、アセット管理、コンポーネントライブラリ、コンテキストに応じたプロパティコントロールなどの機能を提供。
● シームレスなハンドオフ:ユーザーインターフェース構築に特化した宣言型プログラミング言語であるQMLで、そのまま製品に使えるコードを生成。これにより開発者は、デザイナーから受け取った成果物を作り直すのではなく、それを基盤として開発を進めることが可能。

Qt Groupデザイン製品担当バイスプレジデントのアンティ・クヤラは次のように述べています。
「あまりにも長い間、組込みUI/UXデザイナーは、実機のハードウェア制約を考慮していないWeb中心のツールを使うことで、仕事に妥協を強いられてきました。私たちはこの妥協に終止符を打つためにClateを開発しました。ユーザーエクスペリエンスの主導権を、再びデザイナーの手に取り戻します。Clateならデザイナーは高度なコーディング知識を習得する必要がありません。ClateはQt上で動作し、バックグラウンドでそのまま製品に使えるQMLコードを自動生成します。また、AIネイティブなワークスペースとして、標準規格であるMCPを通じてデザイナーのエコシステム全体と連携し、チームは通常のワークフローを止めることなく、自然言語による指示で変更を行えます。デザイナーは、思い描いたUI/UXを、そのままの形でエンドユーザーに届けられるようになります。」

Qt Groupシニアバイスプレジデントのティラク・ラマナは、次のように述べています。
「Clateは当社の製品ポートフォリオにとって重要な新製品であり、製品開発ライフサイクルのあらゆる段階でお客様を支援するという約束を実現するものです。Clateにより、デザイナーがコードを習得する必要や、開発者がデザインをゼロから手作業で作り直す必要がなくなり、リリースサイクルの短縮と製品全体の品質向上につながります。すでに10億台を超えるデバイスを支えているQtの実績あるフレームワークを基盤とするClateは、デザイン段階でパフォーマンスを把握できる機能も提供します。内蔵のモニタリング機能により、フレームレートやメモリ使用量といった主要な組込みハードウェアリソースの制約内で設計でき、制約のあるハードウェアから最大限のパフォーマンスを引き出しながら、市場投入までの時間も短縮できます。」

Clateはベータ版として提供を開始し、全機能を備えた製品版は2027年初頭にリリース予定です。提供開始時には、直感的なノーコードワークスペース、AIアシスタントと各種連携機能、そのまま製品に使えるQMLコードの出力機能を利用できます。フレームレートやメモリ使用量のチェックといった組込みハードウェア向けの最適化機能は、ベータ版の提供開始後まもなく利用可能になる予定です。

Qt Groupについて

Qt Group(Nasdaq Helsinki:QTCOM)はグローバルなソフトウェア企業です。産業界のリーダーと150万人を超える世界中の開発者が信頼を置き、ユーザーに愛されるアプリケーションやスマートデバイスを作成しています。UIデザインから、ソフトウェア開発、組込みシステムの最適化、そして品質管理まで、製品開発サイクル全体を通してお客様の生産性向上を支援します。Qt Groupのお客様は70以上の業界で180か国以上に広がっています。Qt Groupの従業員数は約1100名、2025年の売り上げは2億1630万ユーロでした。
公式ホームページ: https://www.qt.io/ja-jp/