世界初、日立とNTTドコモビジネスが 600km超離れたデータセンター間で災害発生時に アプリケーションを含むシステムの完全自動復旧を確認
~ストレージ仮想化技術とIOWN(R) APNを活用し、 データ保全性を維持した確実な業務継続を実機で実証~
株式会社日立製作所(以下 日立)、日立ヴァンタラ株式会社(以下 日立ヴァンタラ)、およびNTTドコモビジネス株式会社(旧NTTコミュニケーションズ株式会社、以下 NTTドコモビジネス)の3社は、レッドハット株式会社(以下、レッドハット)と日本オラクル株式会社(以下 日本オラクル)の協力のもと、NTTドコモビジネスの低遅延・高速なネットワークIOWN(R) APN※1を活用した600kmを超えるデータセンター間で広域災害対策が可能なシステム構成の共同実証(以下、本実証)を実施し、データ保全性を維持して業務継続ができることを世界で初めて※2確認しました。本実証は、日立のストレージ仮想化技術とIOWN(R) APNを組み合わせた長距離データ連携ソリューション「Borderless Data Share」※3 (以下 BDS)の取り組み※4です。本実証では、BDSにレッドハットの「Red Hat OpenShift Virtualization」※5を組み合わせ、インフラからアプリケーションに至る実機環境を構築したことで、障害検知から業務再開までの全自動復旧を可能にし、障害発生時の業務停止時間を最小限に抑え、事業継続性の向上に貢献できることを実証しました。さらに3社は、本実証で得られたノウハウを活用し、お客さまがミッションクリティカルなシステムを導入する際に課題となる、設計や事前検証にかかる負担を軽減し、災害対策システムの円滑かつ迅速な構築を支援します。

災害発生時に完全自動復旧するアプリケーションを含めた統合環境の実証構成イメージ
背景
近年、激甚災害の増加に加え、サイバー攻撃の高度化・巧妙化に伴い、重要な社会インフラを担う企業では災害やサイバー攻撃発生時にも業務を継続できるミッションクリティカルなシステムが求められています。具体的には、遠隔地間でリアルタイムにデータを同期しておくことで、災害時などでもデータを失わず、早期に業務を再開できる事業継続の確保への関心が高まっています。また、ITコストの増加や仮想化基盤の老朽化などにより、仮想化基盤の見直しやコンテナ技術※6を活用したシステム基盤への移行が進み、アプリケーションを含めたシステム全体を柔軟かつ効率的に運用できる環境への需要が高まっています。
一方で、データ同期ができても、仮想化基盤、OS、アプリケーションまでを一気通貫で自動復旧させる仕組みは、システム全体の連動が複雑なため構築が困難でした。また、このような新しい基盤へ移行・導入するためには、システム復旧の目標時間(RTO※7)やデータ復旧の目標地点(RPO※8)に合わせた複雑な設計や、長距離通信環境に応じた性能調整など、高度な専門知識が必要となり、導入の負担となっていました。
本実証の概要
本実証では、ミッションクリティカルなシステムの要件を満たすため、ストレージ、仮想化基盤、データベースを組み合わせた実機環境を構築しました。基盤には、従来の仮想化環境からの移行を見据え、日立ヴァンタラのストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform One Block」※9(以下、VSP One Block)とRed Hat OpenShift Virtualizationを統合したハイブリッドクラウド環境を採用しました。さらに、Oracle AI Databaseをデータベース層として用い、災害対策構成を検証しました。本実証では、主サイトで障害が発生した際に、「Red Hat OpenShift」の高可用化機能※10からの要求により、日立ヴァンタラの「Hitachi Storage Plug-in for Containers」が即座に連動し、障害の検知から副サイトへの切り替え、OSやデータベースの起動までの自動化を検証しました。
実証環境、実証技術、各社の役割については以下の通りです。
実証環境
NTTドコモビジネスが提供するIOWN(R) APN実環境(東京・大阪間相当の600km通信環境)
実証技術
ネットワーク:IOWN(R) APN
アプリケーション:Oracle AI Database
仮想化プラットフォーム:Red Hat OpenShift Virtualization
ストレージ:VSP One Block
各社の役割
日立:プロジェクト全体の統括、BDSの提供
日立ヴァンタラ:IOWN(R) APN実証設備へのVSP One Blockの仮想ストレージ接続・機能評価
NTTドコモビジネス:IOWN(R) APN実証設備を用いたAPNの機能・性能評価
レッドハット:仮想化プラットフォーム(Red Hat OpenShift Virtualizationなど)およびOSの提供
日本オラクル:データベース(Oracle AI Database)の提供
本実証の結果
本実証では、システムが稼働する主サイトのシステム停止を想定し、副サイトへ切り替えた後、業務を再開するまでの時間と、データ保全性などを評価した結果、以下の3点を確認しました。これにより、災害時にも確実に業務継続が可能であることが分かりました。
1.アプリケーション層まで一気通貫な全自動復旧により、約10分での業務再開
通常、本実証で採用したコールドスタンバイ構成※11では、数秒で完了するストレージ切り替えの後、OSやデータベースの起動に時間を要します。そこで、Oracle AI Databaseの起動・リカバリ処理を、データの一貫性を維持したまま2分弱※12で完了させるなど、各プロセスを効率化した結果、システム全体として約10分での早期業務再開を実現しました。これは、ミッションクリティカルシステムで求められる高い業務継続性の要件に応える水準であり、特に、OSからアプリケーションまで一気通貫での自動切り替えにより、実用レベルでの業務再開を確認しました。
2.600kmを超える距離環境下におけるデータ保全性の維持
BDSとOracle AI Databaseを連携させることで、システム切り替え後もデータの一貫性を維持しながら、副サイトでデータベースの稼働を再開できることを確認しました。また、ストレージからデータベース、アプリケーションまで、システム全体でデータ保全性を維持できることを確認しました。また、主サイトが停止した場合でも、データの一貫性を保った状態で副サイトから業務を継続できることを実証しました。
3. 600km超の遠隔地間におけるRed Hat OpenShiftのコンテナアプリケーションの実現性を確認
本実証により、従来は通信遅延の影響から構築が難しかった600kmを超える遠隔地間において、IOWN(R) APNの低遅延ネットワークを活用することで、Red Hat OpenShift上で稼働するマイクロサービス間のリアルタイム連携の実現性を確認しました。これにより、遠隔地に分散したシステムを一体的に運用できる見通しを得るとともに、災害対策を考慮したコンテナアプリケーション基盤の適用可能性を実証しました。
今後の展開
各社は、本実証で得られた知見をBDSの強化につなげ、金融分野をはじめとするミッションクリティカルな領域への適用拡大を進めていきます。パートナー企業との連携を深め、事業継続を支える実用的な災害対策ソリューションの提供をめざすとともに、日立とNTTドコモビジネスのデータ基盤サービスへの適用も視野に入れ、幅広いお客さまへ展開します。加えて、BDSのサイバーレジリエンス機能※13と、本実証の結果であるリアルタイムデータ同期によるデータ保全を組み合わせることで、サイバー攻撃への備えとしても活用し、セキュリティ用途への適用も拡大していきます。
さらに、災害時の事業継続にとどまらず、平常時においてもBDSを活用したワークロードシフト※14の実現をめざします。リアルタイムに同期されたデータを基盤に、電力供給やデータセンターの稼働状況に応じて処理を実行する場所を柔軟に切り替えることで最適な運用を可能とし、「ワットビット連携」構想※15が掲げる持続可能なデジタル社会の実現に貢献していきます。
Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPANでの紹介について
本実証の結果は、日立が2026年9月3日(木)~4日(金)に開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN」においてご紹介します。
展示会場の「EX15: 距離と電力の壁を越えるBorderless Data Share」にてご紹介する予定です。
詳しくは、公式サイト(https://www.service.event.hitachi/regist/)をご覧ください。
エンドースメント
Honore LaBourdette, vice president, Global Telco Ecosystem, Red Hatのコメント
「レッドハットは、日立、NTTドコモビジネス、および日本オラクルと協業し、Red Hat OpenShift Virtualizationを活用した、より迅速で強固な災害対策機能を提供できることを大変嬉しく思います。これにより、お客さまが、ミッションクリティカルな基幹システムを、より円滑に最新の環境へ移行できるよう支援します。Red Hat OpenShift Virtualizationは、単なる移行先ではなく、先進的なクラウドネイティブの未来へとつなぐ架け橋です。仮想マシンとコンテナを一つの統合されたプラットフォーム上で同時に管理できるようにすることで、企業や組織の今日の運用を最新化し、同時に、これからのAI主導のイノベーションを支える柔軟で高性能な基盤づくりを強力に後押しします。」
レッドハット株式会社 代表取締役社長 三浦 美穂氏のコメント
「日立のストレージ仮想化技術とNTTグループのIOWN(R) APNを組み合わせたBDSを活用した取り組みの第2弾として、Red Hat OpenShift Virtualizationを活用した共同実証に参画できたことを嬉しく思います。今回、各社が協力し、短期間で実証を成し遂げ、貴重なノウハウを蓄積できたことで、ミッションクリティカルなシステムの災害対策に向けた仮想化基盤を含む統合システム基盤として、お客さまへ安心して実用化のご提案ができるようになりました。今後とも、日本市場におけるBDSとの連携を含めて各社と協業し、お客さまのシステムのモダナイゼーションとビジネス継続に貢献してまいります。」
日本オラクル株式会社 専務執行役員 クラウド事業統括 公共・社会基盤営業統括 本多 充氏のコメント
「このたびの共同実証は、Oracle AI Databaseがミッションクリティカルなシステムのレジリエンス強化に果たし得る役割を示すものです。データ保全性を維持しながら遠隔サイトへの高速フェイルオーバーを実証したことで、Oracle AI DatabaseとIOWN(R) APN、ならびにパートナー各社のストレージおよび仮想化技術の組み合わせが、地理的に分散した環境における広域災害対策に向けた実用的なアプローチの実現に寄与できることを示しました。日本オラクルは引き続きパートナー各社と連携し、お客さまの事業継続性の強化と、よりレジリエントなIT環境の構築を支援してまいります。」
企業紹介
日立製作所について
日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーをめざし、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2025年度(2026年3月期)売上収益は10兆5,867億円、2026年3月末時点で連結子会社は606社、全世界で約29万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.com/ja-jp/をご覧ください。
日立ヴァンタラについて
日立ヴァンタラは、データによるイノベーションに変革をもたらしています。日立製作所のグループ会社として、世界をリードするイノベーターに対し、信頼性の高いデータ基盤を提供しています。データストレージ、インフラストラクチャ、クラウド管理、そしてデジタルの専門知識を通じて、お客さまが持続的なビジネス成長の基盤を構築できるようサポートします。詳しくは、www.hitachivantara.comをご覧ください。
NTTドコモビジネスについて
法人向け総合ICT事業を担うNTTドコモビジネスは、企業と地域が持続的に成長できる自律・分散・協調型社会を支える「産業・地域DXのプラットフォーマー」として、新たな価値を生み出し、豊かな社会の実現をめざします。パートナー企業を含めたエコシステム全体で、各社の技術や知見を組み合わせ、お客様の課題やニーズに応じた最適なソリューションを提供してまいります。
※1:IOWN(R) APNは、IOWN(R)を構成する主要な技術分野の1つであり、エンド・ツー・エンドで光波長パスを提供することにより、高速大容量・低遅延な通信を実現しているネットワークです。将来的には、端末からネットワークまでフォトニクス(光)ベースの技術の導入を拡大し、さらなる低消費電力化をめざします。「IOWN(R)」は、NTT株式会社の商標又は登録商標です。
※2:2026年8月現在、日立製作所とNTTドコモビジネス調べ。
※3:Borderless Data Shareとは、「日立のストレージ仮想化技術」と「NTTグループのIOWN(R) APN」を組み合わせることで、600kmを超えるような長距離間での、リアルタイムなデータ同期を実現するソリューションです。https://www.hitachi.co.jp/products/it/society/product_solution/telecom/infrastructure/bds.html
※4:2024年12月5日 プレスリリース 世界初、日立とNTT Comがストレージ仮想化技術とIOWN APNを用いて、600kmを超える長距離間のリアルタイムデータ同期の共同実証に成功:日立
※5:Red Hat OpenShift Virtualizationとは、Red Hat OpenShiftの一機能であり、Kubernetesを基盤とした一貫性のある統合ハイブリッドクラウドプラットフォーム上で、お客さまが仮想マシンを最新のワークロードと並行して移行、実行、管理できる設計のことです。
※6:コンテナ技術とは、アプリケーションとその依存関係を一つのパッケージにまとめ、どの環境でも同じように実行できる軽量な仮想化技術です。
※7:RTO(Recovery Time Objective)とは、災害やシステム障害が発生した際に、システムやサービスの復旧を完了させる目標時間のことです。
※8:RPO(Recovery Point Objective)とは、災害やシステム障害が発生した際に、データをどの時点まで復旧させるかを示す目標値のことです。
※9:Hitachi Virtual Storage Platform One Block とは、日立ヴァンタラが提供するデータストレージです。革新的なデータ圧縮・保護技術で、増大するデータの管理の効率化とシステムの安定稼働を実現します。製品ライフサイクル全体で環境負荷も低減します。
※10:高可用化機能とは、システムの稼働状況を常時監視し、障害発生時に自動で予備のシステムへ処理を切り替えるRed Hat OpenShiftの機能です。
※11:コールドスタンバイ構成とは、災害などの障害に備えた予備のサーバーやシステムを、平常時は稼働させずに停止しておく運用方式です。維持コストを抑えられる一方、障害発生時からのシステム立ち上げに時間を要する点が特徴です。
※12:データベース構成とデータサイズ運用に依存するため、立上げに変動があります。
※13:サイバーレジリエンス機能とは、BDSを構成するVSP One Blockに外部からアクセスできない、改変不可領域に保管されたバックアップデータから迅速に復旧できる機能です。
※14:ワークロードシフトとは、計算負荷(コンピューティング負荷)を時間的または空間的に移動させることで、電力需給バランスの調整やコンピューティングリソースの有効利用等を促進する技術です。
※15:「ワットビット連携」構想とは、電力の単位「W(ワット)」と情報通信の単位「bit(ビット)」を組み合わせた造語であり、官民一体で、電力と情報通信のインフラ整備を一体的に進め、持続可能で効率的な社会基盤を築くための構想です。
*商標注記記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
*Red Hat、Red Hat ロゴ、およびOpenShift は、米国およびその他の国における Red Hat, LLC. およびその子会社の商標または登録商標です。Linux(R)は、米国およびその他の国における Linus Torvalds の登録商標です。
*Oracle、Java、MySQL、およびNetSuiteは、Oracle Corporationの登録商標です。NetSuiteは、クラウド・コンピューティングの新時代を切り開いた最初のクラウド・カンパニーです。