世界の日光角化症(AK)の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表

2026-08-30 17:00
株式会社マーケットリサーチセンター

株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の日光角化症(AK)の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Actinic Keratosis (AK) Market Size; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。

■主な掲載内容

本レポートは、日光角化症(Actinic Keratosis:AK)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。AKは、長期間にわたる紫外線曝露によって表皮角化細胞に累積的な損傷が生じることで発生する、非常に一般的な前がん性皮膚病変である。British Journal of Dermatologyに掲載された60件の観察研究を対象とする世界メタ解析では、有病率は約14%、発症率は10万人年あたり約1.9例と報告されている。調査会社は、高齢化と生涯にわたる累積紫外線曝露を背景に、今後もAKの疾病負担は大きい状態が続くとみている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、有病率、発症率、年齢、性別、病型、診断患者数などを分析している。

AKは、主として顔面、頭皮、耳、手背、前腕など、長年日光にさらされる部位に発生する。臨床的にはざらつきのある小さな斑や局面、鱗屑を伴う粗い皮膚病変として現れ、見た目より触診で気づかれることもある。病理学的には紫外線によって角化細胞に異型変化が生じた状態であり、放置すると一部が皮膚扁平上皮がんへ進展する可能性がある。

臨床形態としては、肥厚型、萎縮型、色素性などに分類されることがある。肥厚型では角質増殖が目立ち、萎縮型では薄い病変、色素性では褐色調の病変となるため、他の色素性皮膚疾患との鑑別が必要になる場合がある。

疫学上最大の特徴は、年齢と累積紫外線曝露に強く依存することである。Maria Antonia De Francescoらの2025年の報告では、世界のAK有病率は約14%で、患者数は約11億人に達するとされる。これはAKが希少な前がん病変ではなく、世界規模で極めて大きな患者集団を形成していることを示している。

ただし、「世界人口の約14%」「約11億人」という推定は非常に広い母集団を対象としたモデル値であり、年齢構成や皮膚色、紫外線曝露量によって実際の地域有病率は大きく異なる。そのため、すべての国に一律に14%を適用することは適切ではない。

年齢別では、高齢になるほど有病率が上昇する。Hafid Belhadj-Taharらの2025年の報告では、欧州の60歳超では約15~25%にAKが認められ、オーストラリアのように紫外線曝露が非常に多い地域では60%を超えるとされる。

Justyna Cerynらの2025年の報告でも、60~69歳で4.6%、80歳超で14.57%と、加齢に伴って頻度が大きく上昇する傾向が示されている。したがって、AKは高齢化の影響を強く受ける皮膚疾患である。

この年齢勾配は、単なる加齢そのものというより、それまでに蓄積された紫外線曝露量の増加を反映していると考えられる。若年時から屋外活動や職業性日光曝露が多い人ほど、年齢とともにAKが出現しやすくなる。

性別では男性に多い傾向がある。Maria Antonia De Francescoらの2025年の報告では、男性3.5%、女性1.5%と男性で高い発生が示されている。背景として、職業上の屋外曝露が男性で多いことや、男性型脱毛によって頭皮が紫外線にさらされやすくなることが挙げられている。

ただし、性差は国や生活習慣によって変化し得る。日焼け行動、屋外職業、帽子・日焼け止め使用などの差が、男女差に影響する可能性がある。

皮膚色も重要な要因である。提示資料では詳細な人種別数値までは示されていないが、地域差の背景には紫外線曝露だけでなく、皮膚フォトタイプの分布も関与するとされている。一般に紫外線防御能の低い明るい皮膚色の集団ではAK負担が大きくなる。

世界的にはオーストラリアのような高UV環境で特に有病率が高く、60%超に達することがある。一方、日射量が低い地域や皮膚色の濃い集団では低い可能性がある。

国別では、米国のAK有病率はErik Marquesらの2024年の報告で約20%とされる。これは世界平均推定14%を上回り、大きな疾患負担があることを示す。

米国では高齢人口の増加に加え、長期間の日光曝露歴を持つ人が多いため、皮膚科診療におけるAKは非常に一般的な疾患となっている。特に高齢白人集団では患者比率がさらに高くなる可能性がある。

英国ではDynaMedexによると、男性15.4%、女性5.9%と明確な男性優位が報告されている。英国はオーストラリアほど紫外線量が高い地域ではないが、長年の累積曝露により相当な患者負担が存在する。

英国の男女差は、世界データと同様に、職業性日光曝露や男性型脱毛などの影響を受けている可能性がある。ただし、各研究で対象年齢が異なる可能性があるため、単純な国際比較には注意が必要である。

イタリアでは有病率27.4%とされ、今回提示された主要市場データの中でも比較的高い。南欧では年間紫外線曝露量が大きく、日光曝露の累積量がAKの高い有病率につながっている可能性がある。

スペインでは、J. Cañuetoらの2025年の報告によると、AKが皮膚科受診の約6%を占め、45歳以上では有病率が28.6%に達するとされる。これはAKが皮膚科診療の中でかなり大きな割合を占めていることを示している。

ただし、「皮膚科受診の6%」は一般人口の有病率ではなく、皮膚科を受診した患者の中でAKが占める割合である。一方、28.6%は45歳以上という年齢制限のある集団の有病率であり、一般人口全体の値とは異なる。

したがって、スペイン6%と28.6%は同じ疫学指標ではない。前者は受診構成比、後者は特定年齢群の有病率であり、市場規模推定では明確に分けて扱う必要がある。

ドイツ、フランス、日本、インドについては、今回提示された資料では具体的なAK有病率は示されていない。ただし、8主要市場として患者数推移が予測されている。

日本では人口高齢化が極めて進んでいるため、年齢要因だけをみればAK患者数を押し上げる方向に働く。一方で、皮膚フォトタイプや日光回避行動などが欧米との違いに影響する可能性がある。

インドでは年間紫外線曝露が大きい地域が多いものの、皮膚フォトタイプが欧州系集団とは異なるため、欧米の有病率をそのまま当てはめることはできない。提示資料だけでは具体的患者数を判断できない。

AKが臨床的に重要なのは、前がん病変であるためである。MD Anderson Cancer Centerによると、AK症例の1~10%が皮膚扁平上皮がんへ進展するとされる。

一方、他の研究では、年間の進展リスクが0.025~16%という非常に広い範囲で報告されている。この幅は、病変単位なのか患者単位なのか、観察期間、病変の重症度、免疫状態などによって推定値が大きく変わることを示している。

したがって、「AKの1~10%が必ず皮膚がんになる」と単純に解釈することは適切ではない。多くの病変は進展しない一方、どの病変が将来扁平上皮がんへ進むかを完全には予測できないため、臨床的には治療・経過観察の対象となる。

特に免疫抑制状態、高度な紫外線損傷、多発病変、厚みのある病変などでは、より慎重な評価が必要になる可能性がある。ただし、今回の資料では個別リスク因子ごとの進展率までは示されていない。

市場・疫学上では、「患者数」と「病変数」を分けて考える必要がある。AKは一人の患者に複数病変が同時に存在することが多いため、患者数が同じでも治療対象となる病変総数は大きく異なる。

さらに、紫外線損傷を受けた皮膚領域全体に潜在的な異型細胞が存在する、いわゆるfield cancerizationの考え方が重要である。そのため、目に見える単一病変だけでなく、周囲皮膚全体を治療する必要がある患者も存在する。

治療の目的は、AK病変を除去し、皮膚扁平上皮がんへの進展リスクを低減することである。治療法は、病変数、部位、厚さ、患者年齢、治療範囲などに応じて選択される。

単発あるいは少数病変では、液体窒素を用いた凍結療法が一般的である。低温で異常角化細胞を破壊し、病変を除去する方法で、短時間で実施できる。

一方、多数の病変が存在する場合や、周囲皮膚全体に紫外線損傷がみられる場合には、field-directed treatment、すなわち領域全体を対象とする治療が重要になる。

その代表として光線力学療法(Photodynamic Therapy:PDT)がある。光感受性物質を病変部に作用させた後、特定の光を照射し、異常細胞を選択的に障害する方法である。

外用療法としてはイミキモドが用いられる。これは局所免疫反応を活性化し、異型角化細胞の排除を促すことを目的とする。

5-フルオロウラシル(5-FU)も代表的な外用治療であり、異常細胞の増殖を抑制して病変を除去する。多発性AKに対する領域治療として使用される。

ジクロフェナクゲルも治療選択肢の一つとして挙げられている。治療期間や反応性、副作用などが他の外用療法と異なるため、患者ごとに選択される。

こうした治療法の選択では、単に病変を消すだけでなく、再発率、治療期間、局所皮膚反応、美容面、患者の治療継続可能性などを考慮する必要がある。

AKでは新しい病変が繰り返し発生することも多いため、一回の治療で完全に管理が終了するとは限らない。長年の紫外線曝露によって皮膚全体に損傷が蓄積している場合、治療後にも別の部位に新規病変が出現する可能性がある。

したがって、定期的な皮膚診察が重要である。特に既往歴のある患者では、新たなAKだけでなく皮膚扁平上皮がんへの進展がないかを確認する必要がある。

予防面では、紫外線曝露を減らすことが最も重要である。日焼け止め、帽子、防護衣、長時間の日光曝露回避などによって、さらなる累積紫外線損傷を抑えることが長期管理につながる。

市場の観点では、AKは高齢者人口の増加とともに患者数が増えやすい疾患である。60歳以上、特に80歳以上で有病率が急上昇するため、米国、欧州、日本など高齢化市場では診断・治療需要が拡大する可能性が高い。

また、AKは慢性的な「再発・新規病変形成」を特徴とするため、患者数だけでなく反復治療回数が市場規模を押し上げる。凍結療法、外用薬、PDTなど複数の治療モダリティが利用されることも市場の特徴である。

一方で、資料冒頭に示された「有病率約14%」と「発症率約1.9例/10万人年」には大きな数値的ギャップがあり、そのまま同一集団の指標としてみると不自然である。AKは非常に一般的で、有病率14%とされる疾患としては1.9/10万人年という発症率は極めて低いため、対象定義や研究集団、算出方法が異なる可能性が高い。

同様に、Maria Antonia De Francescoらが示した男性3.5%、女性1.5%についても、本文では「gender-based incidence」と表現されているが、パーセント表示であるため有病割合なのか特定期間の累積発生割合なのかが明瞭ではない。これらの指標は市場推計に用いる前に元研究の定義確認が必要である。

全体として本レポートは、AKを「長年の紫外線曝露によって形成され、特に高齢者、男性、日光曝露の多い地域で頻度が高く、一部が皮膚扁平上皮がんへ進展する可能性を持つ非常に一般的な前がん性皮膚病変」と位置づけている。

世界有病率は約14%、患者数は約11億人と推定され、欧州の60歳超では15~25%、高紫外線地域では60%超に達する可能性がある。年齢別では60~69歳4.6%から80歳超14.57%へ上昇するなど、加齢と累積日光曝露が極めて重要な決定因子となる。

国別では、米国約20%、英国男性15.4%・女性5.9%、イタリア27.4%、スペイン45歳以上28.6%と、地域によって大きな違いがある。これは紫外線量、皮膚フォトタイプ、年齢構成、屋外曝露、研究方法などの差を反映していると考えられる。

また、AKから皮膚扁平上皮がんへの進展リスクは1~10%、あるいは年間0.025~16%など幅広く報告されており、定義や分母に大きな違いがある。したがって、個々のAK病変が将来がん化する確率を単一の数値で表すことは難しいが、前がん病変として臨床的に無視できないことは明確である。

2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、高齢人口の増加、生涯累積紫外線曝露、長期生存による高齢者患者プール拡大がAK症例数を押し上げる主要因になると考えられる。また、皮膚科受診やスクリーニングの増加によって、従来見逃されていた軽度病変が診断されることも患者数増加に寄与する可能性がある。

したがって、今後のAK管理における中心的課題は、慢性的な日光曝露歴を持つ高齢者で顔面・頭皮・手背などの粗い病変を早期に発見すること、単発病変には凍結療法、多発・広範病変にはPDT、イミキモド、5-FU、ジクロフェナクなどを適切に使い分けること、皮膚扁平上皮がんへの進展を継続的に監視すること、そして紫外線防御によって新規病変の形成を抑えることである。2026~2035年は、AKを単なる「日焼けによるざらつき」として扱うのではなく、皮膚がん予防の観点から高齢者を中心に早期診断・反復治療・紫外線対策を一体化して管理することが、臨床・市場双方の主要テーマになるとまとめられる。

※目次構成

01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件

02
エグゼクティブサマリー

03
日光角化症市場概要(8主要市場)
3.1 日光角化症市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 日光角化症市場の予測市場規模(2026年~2035年)

04
日光角化症疫学概要(8主要市場)
4.1 日光角化症疫学状況(2019年~2025年)
4.2 日光角化症疫学予測(2026年~2035年)

05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 日光角化症の種類

06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因

07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 日光角化症の診断済み有病患者数
7.4 種類別の日光角化症患者数
7.5 性別別の日光角化症患者数
7.6 年齢別の日光角化症患者数

08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国における前提条件および根拠
8.2 米国における日光角化症の診断済み有病患者数
8.3 米国における種類別の日光角化症患者数
8.4 米国における性別別の日光角化症患者数
8.5 米国における年齢別の日光角化症患者数

09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国における前提条件および根拠
9.2 英国における日光角化症の診断済み有病患者数
9.3 英国における種類別の日光角化症患者数
9.4 英国における性別別の日光角化症患者数
9.5 英国における年齢別の日光角化症患者数

10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
10.2 ドイツにおける日光角化症の診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける種類別の日光角化症患者数
10.4 ドイツにおける性別別の日光角化症患者数
10.5 ドイツにおける年齢別の日光角化症患者数

11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件および根拠
11.2 フランスにおける日光角化症の診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける種類別の日光角化症患者数
11.4 フランスにおける性別別の日光角化症患者数
11.5 フランスにおける年齢別の日光角化症患者数

12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
12.2 イタリアにおける日光角化症の診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける種類別の日光角化症患者数
12.4 イタリアにおける性別別の日光角化症患者数
12.5 イタリアにおける年齢別の日光角化症患者数

13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件および根拠
13.2 スペインにおける日光角化症の診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける種類別の日光角化症患者数
13.4 スペインにおける性別別の日光角化症患者数
13.5 スペインにおける年齢別の日光角化症患者数

14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本における前提条件および根拠
14.2 日本における日光角化症の診断済み有病患者数
14.3 日本における種類別の日光角化症患者数
14.4 日本における性別別の日光角化症患者数
14.5 日本における年齢別の日光角化症患者数

15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおける前提条件および根拠
15.2 インドにおける日光角化症の診断済み有病患者数
15.3 インドにおける種類別の日光角化症患者数
15.4 インドにおける性別別の日光角化症患者数
15.5 インドにおける年齢別の日光角化症患者数

16
患者経路

17
治療課題および未充足ニーズ

18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察

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