世界の再発性呼吸器乳頭腫症の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の再発性呼吸器乳頭腫症の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Recurrent Respiratory Papillomatosis Market Size; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、再発性呼吸器乳頭腫症(Recurrent Respiratory Papillomatosis:RRP)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。RRPはヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)感染によって、主に喉頭を中心とする呼吸器粘膜に良性乳頭腫が反復形成される希少疾患である。先進国では有病率が概ね約7万400人に1人とされ、頻度自体は低いものの、再発性が強く、嗄声、呼吸困難、気道狭窄などを生じ、患者によっては何度も手術を必要とすることから、長期的な臨床負担は大きい。調査会社は、HPVワクチンの普及、早期診断、再発抑制を目的とした補助療法や分子標的治療の進歩が、今後の患者数と治療負担を左右するとみている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、有病率、発症率、年齢、性別、病型、診断患者数などを分析している。
RRPの基本病態は、HPV感染を背景に呼吸器上皮、とくに喉頭に乳頭状病変が形成され、それが治療後にも繰り返し再発することである。病変そのものは良性であるが、声帯や喉頭周辺に発生すると嗄声を生じ、病変が増大・多発すると気道を狭窄させ、呼吸困難や気道閉塞につながることがある。
このため、RRPの臨床的重要性は「がんではないから軽症」という点ではなく、再発を繰り返すことと、気道という生命維持に重要な部位を侵すことにある。特に重症患者では、乳頭腫を除去しても再び病変が形成され、長期間にわたって複数回の手術を受ける必要がある。
疫学的には、若年発症型と成人発症型を分けて考えることが重要である。Patelらの2024年の報告では、若年発症RRP(juvenile-onset RRP:JORRP)の世界発症率は10万人あたり0.2~2.1例、有病率は0.8~4.3例とされる。
一方、成人発症RRPでは、発症率が10万人あたり0.2~3.9例、有病率が0.4~8.4例と報告され、成人発症型の方が一部研究ではより高い数値を示している。
ただし、これらの範囲は非常に広く、国や地域、調査方法、症例捕捉方法によって差が大きい。そのため、RRPの疫学は「世界共通の単一有病率」で表すより、若年型・成人型を分け、地域別に評価することが重要である。
Orphanet 2023では、RRPには三峰性の年齢分布があるとされ、発症のピークはおよそ7歳、35歳、64歳にみられる。これは、小児期、若年~中年成人期、高齢期という異なる年齢層で発症がみられることを示している。
一方、サハラ以南アフリカでは64歳前後の第3ピークがみられないとされる。この地域差は、人口構造、HPV感染動態、診断アクセスなどが年齢分布に影響する可能性を示唆している。
若年発症RRPでは男女差はほぼないとされる。つまり、小児患者では男児・女児のいずれにも同程度に発症する。
これに対し、成人発症RRPでは男性優位が明確で、特に30~40歳代の男性に多いとされる。したがって、RRP全体を「男女差なし」と一括りにするのは適切ではなく、小児型と成人型で性差が異なる。
病因ウイルスとして最も重要なのはHPV6型とHPV11型である。Patelらの2024年の報告では、若年発症RRPの95%超でHPV6またはHPV11が検出されている。
各型の検出割合は、HPV6が17~68%、HPV11が25~79%と研究ごとに幅がある。この幅は、地域差や検査方法、患者集団の違いを反映している可能性がある。
したがって、RRPはHPV関連疾患であることが非常に明確であり、この点が予防戦略としてのHPVワクチンの重要性につながる。
特に若年発症RRPでは、母子間のHPV曝露が病態形成に関与する可能性があると考えられているが、今回の提示資料では感染経路の詳細までは示されていない。したがって、ここではHPV6・11が主要病因であることまでが資料から支持される内容となる。
米国では、Qianらの2024年の報告で、若年発症RRPの発症率は2022年時点で小児100万人あたり8.41例まで低下したとされる。これは10万人あたりに換算すると約0.841例に相当する。
重要なのは、この値が「以前より大幅に低下した」とされている点である。提示資料は、米国小児RRPの疫学負担が近年減少傾向にあることを示している。
この低下の背景として、調査会社はHPVワクチンの役割を強調している。ただし、提示資料自体では、発症率低下の何%がワクチンによるものかまでは示されていない。
したがって、米国JORRPの低下とHPVワクチン普及には関連が示唆されるものの、資料だけから直接的な因果寄与率を定量化することはできない。
日本では、Muronoらの2024年の全国調査が重要なデータを提供している。2018~2019年に78施設を対象として、成人発症RRP患者186例が確認された。
その結果、日本における成人発症RRPの年間発症率は10万人あたり0.20例と推定された。これは世界の成人発症RRP推定範囲0.2~3.9/10万人の下限付近に位置する。
この日本データは、RRPが非常に希少であることを示すと同時に、全国規模調査によって実際の患者数を把握できる可能性を示している。
一方、米国の小児100万人あたり8.41例と、日本の成人10万人あたり0.20例は、年齢群も病型も異なるため直接比較できない。前者は若年発症、後者は成人発症であり、分母も異なる。
ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、インドについては、提示資料では具体的な国別発症率・有病率は示されていない。ただし、これらも本レポートの主要対象市場として、患者数の過去推移と将来予測が分析されている。
市場・疫学上で重要なのは、RRPが「発症数」以上に「再発回数」によって医療負担が決まる疾患である点である。患者数が少なくても、一人の患者が何度も手術を受ける場合、累積的な医療資源使用量は大きくなる。
したがって、RRP市場を単純に年間新規患者数だけで評価するのは不十分であり、既存患者の再発率、手術頻度、補助療法利用率なども重要な指標となる。
特に若年発症RRPは成人発症型より重症化しやすいとされ、より頻回の再発・手術が必要になる可能性がある。小児期から長期間にわたり疾患を抱えるため、患者本人と家族の負担も大きい。
症状としては嗄声が代表的である。声帯や喉頭に病変が形成されるため、声のかすれが早期症状となることが多い。
病変が増大すると呼吸困難が出現し、重症例では気道閉塞につながる。したがって、持続する嗄声や呼吸症状を早期に評価し、喉頭病変を見逃さないことが重要となる。
RRPの治療の中心は、乳頭腫病変を物理的に除去し、気道を確保することである。資料では、マイクロデブリッダーやレーザーを用いた外科的切除が主要治療として挙げられている。
マイクロデブリッダーは病変を機械的に除去する方法であり、レーザー治療では病変組織を焼灼・蒸散する。いずれも病変量を減らし、声門・気道機能を改善することを目的とする。
しかし、外科治療で病変を除去してもHPV感染そのものが完全に排除されるとは限らず、再発することが多い。このため、患者によっては繰り返し手術が必要になる。
この「手術で治した後に再び手術が必要になる」という反復性が、RRP最大のアンメットニーズの一つである。したがって、今後の治療開発では、単に病変を除去するだけでなく、再発頻度を減らすことが主要目標となる。
補助療法としては抗ウイルス療法が検討されている。資料では具体的な薬剤名や有効性の程度までは示されていないが、ウイルス関連病態を抑制する目的で研究・使用されている。
また、ベバシズマブも補助療法の一つとして挙げられている。これはRRPの病変形成に関係する血管新生などを標的とする治療として利用が検討されている。
HPVワクチンも重要な位置づけにある。RRP患者に対する治療目的での利用だけでなく、HPV6・11感染そのものを減らすことで、将来的なRRP発症を予防する公衆衛生的役割が期待されている。
特に若年発症RRPの主要病因の95%超がHPV6・11であるため、これらのウイルス型をカバーするワクチンの普及は、長期的な疾病負担を低減する可能性がある。
米国で小児RRPの発症率が低下しているというデータは、この予防戦略への期待を高める要素となる。ただし、提示資料ではワクチン接種率とRRP発症率の直接的な因果解析までは示されていない。
気道管理も治療の重要な要素である。重症例で喉頭病変が大きくなると呼吸確保が最優先となり、腫瘍量の減量と安全な気道維持が必要になる。
したがって、RRP診療は耳鼻咽喉科だけでなく、麻酔科、呼吸管理、感染・ウイルス学的評価などを含む多職種対応が必要になる場合がある。
長期管理では、再発の早期発見が重要である。病変が大きくなってから治療するより、症状や喉頭所見を定期的に監視し、適切なタイミングで介入することで重篤な気道障害を回避できる可能性がある。
特に小児では、嗄声が単なる声の使いすぎや一般的な上気道症状として見過ごされる可能性があるため、持続する音声異常を適切に評価することが重要となる。
市場の観点では、RRPは非常に希少な疾患であるため、大規模患者市場というより、高頻度の反復治療を必要とする希少疾患・専門治療市場として位置づけられる。
外科的除去機器、レーザー治療、定期内視鏡評価、補助療法など、患者一人あたりの累積医療利用が大きくなることが市場の特徴である。
さらに、今後ベバシズマブや標的抗ウイルス治療などによって手術頻度を減らすことができれば、RRPの治療体系そのものが変化する可能性がある。
つまり、治療市場の成功は「手術回数を増やすこと」ではなく、逆に患者一人あたりの再発・手術頻度を減らしながら長期アウトカムを改善する方向に進む。
2026~2035年の疫学を考えるうえでは、HPVワクチン普及によって若年発症RRPが減少する可能性がある一方、既存患者は慢性的に再発するため、既存患者の治療需要は長期間継続する可能性がある。
したがって、「新規発症数が減る」ことと「治療市場が直ちに縮小する」ことは必ずしも同じではない。過去に発症した患者が継続して手術や補助療法を必要とするため、一定期間は高い治療負担が残る可能性がある。
また、成人発症RRPについては、米国小児ほど明確な減少傾向が今回の資料からは示されていない。したがって、ワクチン効果や年齢別患者動向を若年型と成人型で分けて評価することが必要である。
全体として本レポートは、RRPを「HPV6・11を主因として喉頭を中心に良性乳頭腫が繰り返し形成され、嗄声から重篤な気道閉塞までを引き起こし得る、希少だが長期医療負担の大きいウイルス性疾患」と位置づけている。
若年発症RRPの世界発症率は10万人あたり0.2~2.1例、有病率は0.8~4.3例、成人発症RRPでは発症率0.2~3.9例、有病率0.4~8.4例とされ、地域差が大きい。
年齢では7歳、35歳、64歳付近に発症ピークを持つ三峰性分布が報告されており、小児型と成人型の双方が存在する。若年型では男女差がほぼない一方、成人型では男性優位がみられる。
若年発症例の95%超でHPV6またはHPV11が検出され、HPV6が17~68%、HPV11が25~79%を占める。したがって、RRPの予防と治療を考えるうえでHPV対策は中心的テーマとなる。
米国では2022年の若年発症RRP発症率が小児100万人あたり8.41例まで低下している。一方、日本では2018~2019年の全国調査で成人発症RRP患者186例が78施設から報告され、年間発症率は10万人あたり0.20例と推定された。
ただし、米国の8.41/100万人は若年発症例、日本の0.20/10万人は成人発症例であり、直接比較すべき数値ではない。このように、本資料では年齢別・病型別の分母を区別して解釈することが重要である。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、HPVワクチンの普及による特に若年発症RRPの新規症例減少、早期診断による重症化防止、既存患者における再発・手術需要、補助療法の普及が重要になる。
したがって、今後のRRP管理における中心的課題は、持続する嗄声や呼吸症状から早期に喉頭病変を疑うこと、マイクロデブリッダーやレーザーで気道を安全に確保しながら病変を除去すること、再発例では抗ウイルス療法やベバシズマブなどの補助療法を検討すること、定期的に再発を監視すること、そしてHPVワクチンによって将来的な新規発症そのものを減らすことである。2026~2035年は、RRPを「何度も手術するしかない希少喉頭疾患」として扱うのではなく、HPV予防、早期診断、低侵襲手術、再発抑制療法を組み合わせて手術頻度と長期気道障害を減らすことが、臨床・市場双方の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件
02
エグゼクティブサマリー
03
再発性呼吸器乳頭腫症市場概要(8主要市場)
3.1 再発性呼吸器乳頭腫症市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 再発性呼吸器乳頭腫症市場の予測市場規模(2026年~2035年)
04
再発性呼吸器乳頭腫症疫学概要(8主要市場)
4.1 再発性呼吸器乳頭腫症疫学状況(2019年~2025年)
4.2 再発性呼吸器乳頭腫症疫学予測(2026年~2035年)
05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 再発性呼吸器乳頭腫症の種類
06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因
07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 再発性呼吸器乳頭腫症の診断済み有病患者数
7.4 種類別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
7.5 性別別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
7.6 年齢別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国における前提条件および根拠
8.2 米国における再発性呼吸器乳頭腫症の診断済み有病患者数
8.3 米国における種類別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
8.4 米国における性別別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
8.5 米国における年齢別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国における前提条件および根拠
9.2 英国における再発性呼吸器乳頭腫症の診断済み有病患者数
9.3 英国における種類別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
9.4 英国における性別別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
9.5 英国における年齢別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
10.2 ドイツにおける再発性呼吸器乳頭腫症の診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける種類別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
10.4 ドイツにおける性別別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
10.5 ドイツにおける年齢別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件および根拠
11.2 フランスにおける再発性呼吸器乳頭腫症の診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける種類別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
11.4 フランスにおける性別別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
11.5 フランスにおける年齢別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
12.2 イタリアにおける再発性呼吸器乳頭腫症の診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける種類別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
12.4 イタリアにおける性別別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
12.5 イタリアにおける年齢別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件および根拠
13.2 スペインにおける再発性呼吸器乳頭腫症の診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける種類別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
13.4 スペインにおける性別別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
13.5 スペインにおける年齢別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本における前提条件および根拠
14.2 日本における再発性呼吸器乳頭腫症の診断済み有病患者数
14.3 日本における種類別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
14.4 日本における性別別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
14.5 日本における年齢別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおける前提条件および根拠
15.2 インドにおける再発性呼吸器乳頭腫症の診断済み有病患者数
15.3 インドにおける種類別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
15.4 インドにおける性別別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
15.5 インドにおける年齢別の再発性呼吸器乳頭腫症患者数
16
患者経路
17
治療課題および未充足ニーズ
18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察
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