飛蚊症をどう診るか。過度に心配しないための「診療のお作法」

2026-05-16 10:51
医療法人社団久視会いわみ眼科

「黒いものが飛ぶ」
外来で非常に多い訴えです。
いわゆる飛蚊症。
特にこの時期は空が明るくなり、多くの患者さまがこられます。

まず最初にお伝えしたいのは
👉 多くの飛蚊症は心配のいらないものだということです。


■多くは生理的な変化

飛蚊症の多くは、後部硝子体剥離に伴うものです。

加齢とともに硝子体が変化し、
その影が見えている状態です。

これは自然な経過であり、
治療を必要としないことがほとんどです。


■ただし、注意すべきケースがあります

一方で、同じ「飛蚊症」という症状の中に

👉 見逃してはいけない病気が含まれていることがあります

頻度は高くありませんが、
ここを見極めることが非常に重要です。

では、どのように見極めるのでしょうか。


■診療には「お作法」がある

飛蚊症の診療は、単に「見る」だけではありません。

一定の流れで考えていきます。

① 網膜裂孔がないか
② 網膜剥離が起きていないか
③ 出血がないか
④ 血管の異常がないか

👉 この順番で評価することが重要です。


■まず裂孔を考える

最初に確認すべきは
👉 網膜裂孔です

網膜剥離の多くは、ここから始まるためです。

そして重要なのは
👉 裂孔は網膜の周辺部にできるという点です。

そのため、この評価には
👉 網膜周辺部まで撮影できる広角眼底写真があると有用です。


■見えていないというリスク

一般的な検査では、網膜の中心付近が主に評価されます。

つまり
👉 周辺部の病変は見落とされる可能性がある

この「見えていない領域」をどう補うかが、
診断の質を左右します。


■次に剥離を評価する

裂孔がある場合、
網膜剥離の有無を慎重に確認します。

ここは時間との勝負になることもあります。


■出血という視点

飛蚊症は、出血として現れることもあります。

その原因は

👉 網膜裂孔
👉 血管の異常

のいずれかです。


■血管まで考える

網膜は血管の臓器です。

血流が悪くなる(虚血)と
新生血管が生じ、出血の原因になります。

ここまで考えて初めて、
飛蚊症の全体像が見えてきます。


■血流を見るという発想

血管の異常を評価する際には

👉 OCT angiography(OCTA)

のように、血流を可視化できる検査があると
診断の精度は大きく向上します。

造影剤を使わずに血流を評価できるため、
非侵襲的に病態を把握できる点も大きな利点です。


■診療の本質

飛蚊症の診療は

👉 「大丈夫なものを見極める」ことと
👉 「見逃してはいけないものを拾う」こと

この両方が求められます。

そしてそのためには

👉 適切な順序で考えること
👉 それを裏付ける検査手段を持つこと

が重要になります。


■最後に

飛蚊症はありふれた症状です。

だからこそ、過度に不安になる必要はありません。

しかし同時に
見逃してはいけないものがあるのも事実です。

その中で何を想定し、どう診るか。

👉 そこに眼科医の腕の見せ所があります。


医療法人社団久視会 いわみ眼科
理事長:岩見 久司(医学博士・日本眼科学会認定 眼科専門医)
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