世界のヨウ素需要が2017年までに3万6,300トンに達する見込み
株式会社グローバルインフォメーションは、Roskill Information Services, Ltd.が発行した調査レポート「Iodine: Global Industry Markets and Outlook, 11th edition 2013 (ヨウ素:世界の産業市場と見通し)」の販売を開始しました。
2012年の世界の粗製ヨウ素生産量は約2万8,700トンと推定され、それらはたった9カ国、すなわちチリ、日本、米国、中国、トルクメニスタン、アゼルバイジャン、インドネシア、ロシア、およびイランの9カ国だけで生産されています。生産量についてはチリと日本の企業が支配的であり、それぞれ推定値にて世界の総生産量の58%および32%を占めています。
最大の消費地域はアジアで、それに欧州と北米が続いています。世界の総消費量の内の75%がたった10カ国で消費されており、それも日本、米国ならびに中国に集中している状況です。
2012年から2017年の間に世界のヨウ素需要量は平均年率で約3.5%ずつ増加を続けるものと予測されており、2017年には3万6,300トンに達する見込みです。需要の増加は、X-線造影剤、偏光フィルム(OPF)、および殺生物剤の市場分野に集中する見通しです。OPF用のヨウ素需要は、今後5年間は増加傾向が続くと見られますが、それ以降はLCDが有機ELディスプレイなど、OPFを要しない技術とのますます厳しい競争にさらされることになるものと見られます。有機ELディスプレイ技術は小型ディスプレイ用途では既に使われている技術です。
粗製ヨウ素の供給量は予測されている需要量を十分に満たせる見込みです。そう言える主な理由は、SQM、ACF Minera、SiroccoおよびSCM Bullmine等の各社により、チリの生産能力が近年増大しているからです。日本の生産企業では生産能力を増強する計画は発表されていませんが、副次的なヨウ素生産量は増加するかも知れません。価格に対する影響ははっきりとはしませんが、供給が需要を上回る可能性があり、そうなれば値下げ圧力に直面することになるかも知れません。
ヨウ素の価格は2010年通年、また2011年初頭までは1キログラムあたり約32米ドルでおおよそ安定していました。2011年の3月には日本で起きた地震のためと、それにやや遅れて南米での季節的な生産量低下により、スポット市場の価格が1キログラムあたり33米ドルから97.5米ドルへ急騰しました。さらに影響を大きくした要因として、チリのCosayach社にて、違法な井戸を閉鎖したことから来る水不足により自社が持つ生産能力のかなりの部分が休眠状態に陥ってしまったという点があります。消費量の方は、例えばOPFやX線造影剤、また殺生物剤の分野で増加し続けていました。結果として世界市場の需給が逼迫し価格が上昇したわけです。価格は新たな供給量が市場に持ち込まれたことから2012年には軟化し始め、2013年の第一四半期もその状況が続いていて、平均価格がキログラムあたり60米ドルまでは低下してきました。
市場調査レポート: ヨウ素:世界の産業市場と見通し
Iodine: Global Industry Markets and Outlook, 11th edition 2013
http://www.gii.co.jp/report/ros121786-iodine.html
出版日: 2013年05月20日
発行: Roskill Information Services, Ltd.
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