診療報酬削減が日本の心血管インターベンション治療デバイス市場にとっての課題となる
株式会社グローバル インフォメーションは、米国の市場調査会社Millennium Research Groupが発行した報告書「Japanese Markets for Interventional Cardiology Devices 2013 (日本の心血管インターベンション装置市場)」の販売を開始しました。
日本の心血管インターベンション治療デバイスの価格は、2021年まで大幅に低下することになるでしょう。厚生労働省は、日本の医療技術価格を世界市場での価格と同等なものに合わせるべく、2年ごとに診療報酬を削減する政策を実施しています。この結果、新製品も含めて市場にあるほとんどのデバイスが、使用量は増加するにも関わらず、総体的な収益の損失に見舞われることになるでしょう。
日本の心血管インターベンション治療デバイス市場では特にステントを始めとして近年多くの新製品が発売されました。また今後10年ほどにわたって数多くの次世代デバイスの新発売が控えています。生体吸収性スキャフォールド(BVS)や次世代薬剤溶出ステント(DES)は高機能デバイスであり、市場投入されれば直ちに大量採用が見込まれるものですが、診療報酬の削減により価格立てに制限がかかり、このような製品についても利益が阻害されることとなるでしょう。
MRG社のアナリストであるLouise Murphy氏は、「厚生労働省の診療報酬政策による影響はネガティブなものばかりではありません。診療報酬がデバイス別に定められるので、医師は標準的なデバイスよりも高機能なデバイスの方を選び易くなります。2年ごとの診療報酬削減があっても、高機能デバイスならベアメタル・ステント(BMS)のような標準デバイスよりも高い価格ならびに高い診療報酬点数を維持できるので、メーカー企業では総合的な価格低下をある程度埋め合わせることができます。」と述べています。
さらに、冠血流予備量比(FFR)ガイドワイヤに対する厚生労働省の診療報酬範囲が最近拡大され、診断のための術式も含まれるようになりました。これによって大きな市場成長を育む好機が訪れることになります。医師は診療よりもデバイスによって診療報酬を受けるので、この範囲拡大によってFFRを診断決定のためのツールとして使うことに対する障壁が取り除かれたことになります。実際のところ、2021年までにわたって全体的な市場拡大が見込める分野は、心血管内画像診断用カテーテルとプレッシャーガイドワイヤの市場だけと見られます。
Volcano社やSt. Jude Medical 社を始めとして、FFRガイドワイヤ分野の主要競合企業は市場シェアの拡大を目指して技術革新への注力を続けています。市場参入のためのコストが高く、また厚生労働省の診療報酬政策転換をきっかけとして利幅が縮小することから、この戦略を採るのは小さな企業にとってはずっと難しいことになります。したがってこの市場では現在の主要企業が上位の位置を保ち続けることになるでしょう。
市場調査レポート: 日本の心血管インターベンション装置市場
Japanese Markets for Interventional Cardiology Devices 2013
http://www.gii.co.jp/report/mrg179850-jp-interven-cardi.html
出版日: 2013年03月22日
発行: Millennium Research Group
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