チャンピオンの下野璃央がRd.5の2レースも制し、2025年シーズンを締め括る
2025 KYOJO CUP Rd.5 レポート


2025年のKYOJO CUP Rd.5が11月7日(金)~9日(日)に富士スピードウェイで開催され、#86 下野璃央(Dr.Dry with Team IMPUL KC-MG01)が2レースを制して最終戦を締め括った。
悪天候となった前回大会から一変し、秋晴れの空のもとで初日を迎えたRd.5。しかし週末にかけて天候は悪化の一途をたどり、KYOJO Sprintは序盤に7台が戦線を離脱する波乱の展開に。続くKYOJO Finalは雨のなかでの一戦となった。
8日(土)、9時30分から行われた公式予選は、下野が序盤からセッションをリードする。周回を重ねる度にタイムを塗り替えていくが、#1 斎藤愛未(BigBoss W TOM’S KYOJO with AIWIN KC-MG01)がトップタイムを更新。0.131秒差で下野を上回った。しかし翌周の計測で再び下野がトップタイムを記録。首位を奪還するとピットに戻ってタイヤの内圧調整を行い、最後のアタックで1分44秒707を記録。Rd.4に続いて今季3度目のポールポジションを獲得した。


KYOJO Sprint
分厚い雲が徐々にサーキット上空を覆いはじめるなか、10周のKYOJO Sprintは14時40分に開始。マシントラブルにより出走が叶わなかった#53 池島実紅(TGM Grand Prix KC-MG01)を除く19台がグリッドに並んだ。フォーメーションラップでは、タイヤの熱入れのためにブレーキングをしていた#32 金本きれい(ミハラ自動車エムクラフトRT KC-MG01)がTGRコーナーの立ち上がりでスピンを喫して戦線を離脱。ガードレールの開口部付近にマシンを止めたことで進行に影響はなく、ローリングスタートが切られた。下野を先頭にグリッド順で3台が連なる後方では、#17 白石いつも(AIWIN Re-Kobe KC-MG01)と#4 平川真子(docomo business ROOKIE KC-MG01)による4番手争いが巻き起こる。
並走状態でTGRコーナーを通過した2台は続くコカ・コーラコーナーで接触。冷えた路面状況のなか、接触のあおりを受けた後続車両7台が各所でスピンや接触を喫してマシンを止め、セーフティカーが導入された。5台がここでレースを終えた一方、平川と#12 細川由衣花(富士山静岡レーシング KC-MG01)が隊列へ復帰。6周目にリスタートを迎えた。下野が再びリードを築くなか、12番手を走行する平川が着実に順位をあげて#87 山本龍(ARF☆おさきにどうぞ☆KC-MG01)に接近。2台の入賞争いはファイナルラップまで続くことに。先頭では下野がトップチェッカーを受けて今季7勝目を飾り、Rd.3のKYOJO Sprintから続く連勝記録を更新。2位に翁長、3位に斎藤が続いた。8位でレースを終えた山本はペナルティを受けた#33 岩岡万梨恵(FUKUDA racing KC-MG01)に代わって7位に繰り上がり、今季初の入賞を果たした。一方、9位フィニッシュの平川は他車への衝突とコースアウトによって30秒のタイムペナルティを受け、13位となった。



第5戦Sprint 優勝:#86 下野璃央(Dr.Dry with Team IMPUL KC-MG01)
「(1位という結果に対し、)ほっとした気持ちが大きいかもしれません。毎回のことですが、スタートで後ろを引き離せたことが決め手になりました。明日は今週初の雨だと思うのでデータや車載映像、前回の雨のレースなどを見て予習して、しっかりと備えたいと思います」


KYOJO Final
2025年シーズン最後の戦いとなる12周のKYOJO Finalは、9日(日)の13時からセーフティカー(SC)の先導で開始された。3周目にSCのライトが消灯するとラップリーダーの下野がGR GTコーナーで加速を開始。ここから後続に対する間合いを着実に広げていく。上位勢はスタートから順位変動がなく、下野を先頭に翁長、斎藤が続く一方、平川が6周目のGR GTコーナーで岩岡をパスして8番手に浮上。翌周のダンロップコーナーでは山本を攻略して7番手となった。この間、平川の背後につけていた岩岡も山本のオーバーテイクを試みるも、山本もポジションを譲らず。2台のバトルは8周目のTGRコーナーで決着し、岩岡が8番手に順位をあげた。中団勢の順位争いが白熱するなか、9周目のダンロップコーナーで#55 織戸茉彩(TGM Grand Prix KC-MG01)と#59 シタルウイ・リムナンタラク(INGING 2W Singha Sittipol Nexzter KC-MG01)が接触。マシンを止めた織戸はすぐにコース復帰を果たすが、入賞圏外の19番手となってしまった。
翌周のパナソニック オートモーティブコーナーでは、9番手の山本がコースオフを喫する痛恨のミス。入賞圏内を争っていた細川が9番手、白石が10番手に順位を上げた。一方、隊列先頭では下野が好ペースで周回を重ね、独走状態でレースは12周目に突入。最終的に約9.4秒のギャップを築いて今季8勝目を飾り、フォーミュラ初年度の最終レースをトップで締め括った。2位は翁長、3位は斎藤となり、9位でレースを終えた細川は今季初入賞を果たしている。



第5戦Final 優勝:#86 下野璃央(Dr.Dry with Team IMPUL KC-MG01)
「チャンピオンを獲ったからには優勝しないといけないという思いがあり、フリー走行から真剣に取り組んで決勝まで走りました。10戦中8勝という結果で終わったので、第2戦で勝てなかったは悔しかったです。ただ、その他のレースでは運もあったとは思いますが、実力を発揮できてよかったです。今後はフォーミュラの初代チャンピオンとして、プロを目指す女子たちに憧れられるようなドライバーになりたいです」

















