新種の昆虫「タカクマオオキクイムシ」を 鹿児島大学の演習林で発見
大学院生が発見・命名 日本初記録の昆虫2種も
鹿児島大学、ブラウィジャヤ大学(インドネシア共和国)、ミシガン州立大学(アメリカ合衆国)、佐賀大学の共同研究チームは、鹿児島大学農学部附属高隈演習林(鹿児島県垂水市)で採集されたキクイムシ類の中から、新種1種と、日本国内での生息が初めて記録された昆虫(日本新産種)2種を発見しました。新種は、学名をHyorrhynchus takakumaensis Setiawan, Hata & Smith、標準和名をタカクマオオキクイムシと命名しました。
本研究の成果は、Pensoft Publishersが発行する国際動物分類学雑誌ZooKeysにて2026年7月14日に公開されました。


概要と経緯
鹿児島大学連合農学研究科の森林保護学分野で博士課程の学生として在籍するYogo Setiawan氏を中心とする研究チームは、畑邦彦准教授の指導のもと、高隈演習林内の常緑広葉樹林でキクイムシ類の調査を行っていましたが、その際に採取されたキクイムシの中から、新種1種と日本新産種2種を発見しました。この新種は、発見地に因んで学名をHyorrhynchus takakumaensis Setiawan, Hata & Smith、標準和名をタカクマオオキクイムシと命名しました。Hyorrhynchus属は国内に2種(ルイスオオキクイムシ、ツノオオキクイムシ)、世界で10種が知られていましたが、今回発見された新種は、形態的特徴において既知の全種と明確に区別できました。日本新産種はAnisandrus auratipilusおよび Debus shoreaeの2種です。前者は世界で2例目の記録(1例目は中国福建省)、後者は主に東~東南アジアの熱帯地域に分布する種です。
ブラウィジャヤ大学の教員でもある同氏がキクイムシ類の世界的権威であるミシガン州立大学のSarah Smith博士の知遇を得た際に、上記調査中に採取した未同定の標本について相談したところ、新種と日本新産種が含まれていることが判明しました。そこで、Sarah Smith博士の助言も得て形態学的特徴を詳細に観察・記載し、鹿児島大学の坂巻祥孝教授、佐賀大学の徳田誠教授、ブラウィジャヤ大学のHagus Tarno教授による検証・確認を受けた上で、新種の提案と日本新産種の報告を含む成果を学術論文として公表しました。
意義
キクイムシ類には木材の害虫として重要なものも少なからず含まれますが、一方で枯木の分解を促進することで森林の健全性を保つ役割も果たしています。今回の3種はこれまで国内での報告がなかったことから、重要な害虫とは考えにくく、健全な森林生態系を構成する多様なキクイムシ群集の一員であると考えられます。
今回の発見は大隅地方の常緑広葉樹林が世界的な生物多様性の観点からも重要な価値を有していること、そして高隈演習林が非常に優れた自然環境を保持していることを示しています。
掲載論文
Yogo Setiawan, Sarah M. Smith, Yositaka Sakamaki, Makoto Tokuda, Hagus Tarno, Kunihiko Hata (2026) A new species of Hyorrhynchus Blandford, 1894 (Coleoptera, Curculionidae, Scolytinae, Hyorrhynchini) and two new records of xyleborine ambrosia beetles from Japan. Zookeys 1284: 347-356.
doi: 10.3897/zookeys.1284.195890.
https://zookeys.pensoft.net/article/195890/
鹿児島大学について
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