世界の遠視の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の遠視の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Hyperopia Market Size; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、遠視(Hyperopia/Farsightedness)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。遠視は、眼球の前後径が短い、あるいは角膜や水晶体の屈折力が相対的に弱いことによって、光の焦点が網膜より後方に結ばれる屈折異常であり、一般に遠方は比較的見やすい一方、近方視で負担が大きくなりやすい。Eye Health Centralによると、成人では世界的に最大30.6%程度が遠視の影響を受ける可能性があり、加齢に伴う眼球構造や調節機能の変化によって高齢層ほど有病率が高まる傾向がある。調査会社は、遠視が小児から高齢者まで幅広い年齢層に影響し、視機能、読書能力、日常生活の質に関わる重要な屈折異常であるとしている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、有病率、年齢、性別、病型、診断患者数などを分析している。
遠視の基本病態は、眼内に入った光が網膜上ではなく網膜後方に焦点を結ぶことである。原因としては、眼軸長が短いことが最も典型的であるが、角膜や水晶体の屈折力が弱い場合にも生じる。軽度の遠視では、とくに若年者では水晶体の調節力を使って焦点を網膜上へ合わせることができるため、自覚症状が乏しいことがある。そのため、軽症例は未診断のまま経過しやすい。
一方、調節負荷が大きくなると、近方視でぼやける、眼精疲労、頭痛、読書時の疲れなどが起こりやすい。小児では本人が見えにくさを訴えない場合も多く、視力検査や眼科健診によって初めて発見されることもある。成人では、加齢によって調節力が低下すると、若い頃には補償できていた遠視が顕在化する場合がある。
乳幼児期には、生理的に軽度の遠視が比較的多い。American Academy of Ophthalmologyによると、正期産児の多くは出生時に軽度遠視を有している。これは眼球がまだ成長途中で眼軸長が短いためであり、その後の眼球発達に伴う正視化、すなわちemmetropizationによって遠視の程度が低下していく。
乳児では、生後6~9か月で遠視有病率が約4~9%、12か月頃には約3.6%まで低下するとされる。この推移は、幼少期に眼球が成長して眼軸長や屈折力が調整され、正視に近づいていく正常な発達過程と一致する。
小児期でも年齢による大きな変化がみられる。Eye Health Centralなどの解析では、6歳時点で遠視有病率は約8.4%とされる一方、15歳頃には約1%まで低下する。つまり、小児では成長に伴って遠視が自然に減少する傾向が強い。
ただし、すべての小児遠視が自然に問題なく解消するわけではない。中等度から高度の遠視が持続すると、両眼視や視力発達に悪影響を及ぼす可能性がある。とくに左右差の大きい遠視や高度遠視では、弱視や斜視のリスクが高くなるため、早期発見が重要である。
American Academy of Ophthalmologyによると、+3.50ジオプターを超える遠視では、4歳までの斜視リスクが最大13倍に高まるとされる。また、6~72か月の小児において、+4.0ジオプター以上の中等度~高度遠視は約3.2%に認められるとされる。これは、単に「近くが見にくい」という問題ではなく、視覚発達そのものへの影響を考慮する必要があることを示している。
小児では未矯正の遠視が続くと、眼が十分な鮮明画像を得られず、視覚発達が阻害されることで弱視につながる可能性がある。そのため、遠視による死亡リスクはほぼ存在しないものの、長期的な視機能障害という罹病負担は無視できない。
人種・民族別では有病率にかなりの差がある。Multi-Ethnic Pediatric Eye Disease Studyによると、小児遠視はヒスパニック系で26.9%、非ヒスパニック系白人で25%、アフリカ系米国人で20.8%、アジア系米国人で13%と報告されている。この差は、遺伝的背景、眼球構造、生活環境など複数の要因を反映している可能性がある。
したがって、小児のスクリーニング戦略を考える際には、年齢だけでなく人種・民族背景もリスク層別化の参考となり得る。ただし、遠視はどの集団にも発生するため、人種のみを基準に検査対象を限定することはできない。
成人では、小児期とは逆に、年齢が上がるにつれて有病率が再び上昇する傾向がある。Eye Health Centralによると、若年成人では約9.9%であるのに対し、高齢層では約14.9%まで上昇する。これは眼球や水晶体の加齢変化、調節機能の低下などによって、潜在していた遠視が症候性になることも関係していると考えられる。
Samuel Otabor Wajuihianらの2021年の報告でも、40歳以降に遠視が明確に増加するとされる。したがって、40歳前後は遠視の疫学的な転換点の一つといえる。ただし、40歳以降に近方視が困難になる病態には老視も含まれるため、臨床上は遠視と老視を区別して評価する必要がある。
性別では、同報告によると女性の方が男性より一貫して遠視有病率が高い傾向がある。この差には眼軸長などの解剖学的差が関係している可能性があるが、提示資料では詳細な機序までは示されていない。したがって、性差は疫学的には認められるものの、その程度や原因には今後の検討余地がある。
米国では、American Academy of OphthalmologyおよびEye Health Centralによると、人口の約10%、約1,400万人が遠視の影響を受けているとされる。成人では20~39歳で約9.9%、60歳以上では約14.9%とされ、年齢による上昇が明確にみられる。
ただし、米国総人口の10%で約1,400万人という数字は、母集団の取り方によっては整合性に注意が必要であるため、厳密な絶対患者数としては慎重に解釈する必要がある。今回の資料では、おおまかな疾患規模を示す指標として理解するのが適切である。
欧州では、Eye Health Centralによると、遠視有病率は約23.1%と推定されている。これは米国の提示値より高いが、対象年齢や研究定義が異なる可能性があるため、単純に欧州の方が2倍以上遠視が多いと解釈することはできない。屈折異常の疫学では、遠視を何ジオプター以上と定義するかによって有病率が大きく変化する。
ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国については、本資料では個別の詳細な有病率は示されていないが、欧州全体として高齢者人口が多く、遠視の疾患負担が一定規模存在すると考えられる。特に人口高齢化が進めば、中高年・高齢者の診断患者数は今後さらに増える可能性がある。
日本では、高齢者の遠視有病率が約20%に達するとされる。日本は世界でも特に高齢化が進んでいるため、成人・高齢者遠視の絶対患者数は重要な視覚医療負担となる可能性がある。一方、日本を含む東アジアでは近視の有病率が高いため、屈折異常全体の構成は欧米とは異なる。
インドについては、Eye Health Centralによると、アジア地域では遠視有病率が約12~18%程度とされる。近視の負担が高い地域では遠視の割合が相対的に低く見える場合があり、地域ごとの屈折異常パターンには明確な差が存在する。
このような地域差は、遺伝的背景だけではなく、年齢構成、教育歴、近業時間、屋外活動、眼科検診の普及度、屈折異常の診断基準など複数の要素から影響を受ける。そのため、2026~2035年の患者数予測では、高齢化だけでなく地域ごとの眼科医療インフラや検診率も重要となる。
市場・疫学上の大きな課題は、軽度遠視の過少診断である。若年者では調節力によって遠視を補えるため、視力検査上も問題が目立たず、眼精疲労や頭痛のみを訴える場合がある。そのため、潜在的な患者数は診断患者数より大きい可能性がある。
小児でも同様に、本人が見えづらさを適切に訴えられない場合があり、保護者や学校側が気付かないまま経過することがある。早期に視機能異常を発見できなければ、斜視や弱視のリスクを見逃す可能性があるため、小児眼科検診の重要性が高い。
遠視そのものは生命予後に影響する疾患ではないが、視機能への影響は大きい。読書、学習、パソコン作業、運転、細かい作業などに支障を来し、眼精疲労や頭痛を通じて生活の質や学業・仕事の効率に影響する可能性がある。
治療の基本は、屈折異常を矯正して光の焦点を網膜上に合わせることである。最も一般的なのは凸レンズを用いた眼鏡で、遠視によって網膜後方へずれていた焦点を前方へ移動させ、網膜上で結像させる。
コンタクトレンズも同様の原理で使用でき、患者の年齢、生活様式、遠視度数などに応じて選択される。眼鏡やコンタクトレンズは遠視そのものの眼球構造を変えるものではないが、適切に使用することで視機能を改善し、眼精疲労や近方視困難を軽減できる。
成人では、適応がある場合に屈折矯正手術が検討される。代表的な方法としてLASIKやPRKがあり、角膜形状をレーザーで変化させることで眼の屈折力を調整し、遠視を矯正する。すべての患者が適応となるわけではなく、角膜の状態、年齢、度数の安定性などを評価したうえで実施される。
小児では、治療の目的が単なる視力向上だけではなく、正常な視覚発達を確保することにある。中等度から高度の遠視、左右差を伴う遠視、斜視リスクの高い患者では、早期に眼鏡を処方して適切な網膜像を形成し、弱視を予防することが重要となる。
したがって、小児遠視では「成長すれば自然に治る可能性がある」という点だけに注目するのは適切ではない。軽度の生理的遠視では経過観察が可能な場合がある一方、高度遠視や視機能発達に影響する症例では積極的な矯正が必要になる。
診断技術の進歩も今後の市場を支える要因となる。屈折検査、眼軸長測定、角膜評価などを通じて患者ごとの屈折状態をより正確に把握できるようになり、眼鏡・コンタクトレンズや手術の矯正精度も向上している。これにより、症状改善だけでなく生活の質向上につながる可能性がある。
市場の観点では、遠視は慢性的な屈折異常であるため、眼鏡、コンタクトレンズ、定期的な視力検査、屈折矯正手術など複数の領域に継続的な需要を生み出す。特に高齢化が進む地域では、成人遠視の患者集団が増えることが市場拡大要因となる。
一方、小児では出生時に多い遠視が成長とともに減少するため、年齢別の患者動態は成人とは大きく異なる。したがって、遠視市場を評価する際には、乳幼児の生理的遠視、小児の病的・持続性遠視、成人・高齢者の遠視を別の患者層として捉えることが重要である。
全体として本レポートは、遠視を「乳幼児では比較的頻繁にみられ、多くは眼球成長とともに減少する一方、中高年では再び有病率が上昇し、幅広い年齢層の視機能と生活の質に影響する一般的な屈折異常」と位置づけている。小児では6歳で約8.4%、15歳で約1%まで低下し、成人では若年層の約9.9%から高齢層で約14.9%へ上昇するという年齢依存性が特徴的である。
また、小児では人種・民族差が大きく、米国の研究ではヒスパニック系26.9%、非ヒスパニック系白人25%、アフリカ系20.8%、アジア系13%という差が示されている。成人では女性にやや多く、40歳以降に有病率が高まる傾向がある。
国・地域別では、米国で約10%、欧州で約23.1%、日本の高齢者で約20%、アジア地域では約12~18%などと報告されているが、これらは対象年齢や遠視の定義が異なる可能性があるため、直接比較には注意が必要である。地域によって近視の有病率や人口年齢構成が異なることも、遠視の見かけ上の頻度に影響している。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、人口高齢化、眼科検診の普及、軽症患者の診断率向上、小児視覚スクリーニングの拡充などが診断患者数を押し上げる可能性がある。特に、高齢者では潜在的な遠視が顕在化しやすく、先進国を中心に治療・矯正需要が拡大すると考えられる。
したがって、今後の遠視管理における中心的課題は、小児では高度遠視を早期に発見して弱視や斜視を予防すること、成人では軽度遠視を含め適切な屈折矯正を行うこと、高齢者では加齢に伴う視機能変化を継続的に評価すること、そして眼鏡、コンタクトレンズ、屈折矯正手術を患者ごとに適切に選択することである。2026~2035年は、遠視を単なる「近くが見えにくい屈折異常」として扱うのではなく、年齢ごとに異なる自然経過と合併症リスクを踏まえて早期発見・個別矯正を行うことが、臨床・市場双方の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件
02
エグゼクティブサマリー
03
遠視市場概要(8主要市場)
3.1 遠視市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 遠視市場の予測市場規模(2026年~2035年)
04
遠視疫学概要(8主要市場)
4.1 遠視疫学状況(2019年~2025年)
4.2 遠視疫学予測(2026年~2035年)
05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 遠視の種類
06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因
07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 遠視の診断済み有病患者数
7.4 種類別の遠視患者数
7.5 性別別の遠視患者数
7.6 年齢別の遠視患者数
08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国における前提条件および根拠
8.2 米国における遠視の診断済み有病患者数
8.3 米国における種類別の遠視患者数
8.4 米国における性別別の遠視患者数
8.5 米国における年齢別の遠視患者数
09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国における前提条件および根拠
9.2 英国における遠視の診断済み有病患者数
9.3 英国における種類別の遠視患者数
9.4 英国における性別別の遠視患者数
9.5 英国における年齢別の遠視患者数
10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
10.2 ドイツにおける遠視の診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける種類別の遠視患者数
10.4 ドイツにおける性別別の遠視患者数
10.5 ドイツにおける年齢別の遠視患者数
11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件および根拠
11.2 フランスにおける遠視の診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける種類別の遠視患者数
11.4 フランスにおける性別別の遠視患者数
11.5 フランスにおける年齢別の遠視患者数
12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
12.2 イタリアにおける遠視の診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける種類別の遠視患者数
12.4 イタリアにおける性別別の遠視患者数
12.5 イタリアにおける年齢別の遠視患者数
13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件および根拠
13.2 スペインにおける遠視の診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける種類別の遠視患者数
13.4 スペインにおける性別別の遠視患者数
13.5 スペインにおける年齢別の遠視患者数
14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本における前提条件および根拠
14.2 日本における遠視の診断済み有病患者数
14.3 日本における種類別の遠視患者数
14.4 日本における性別別の遠視患者数
14.5 日本における年齢別の遠視患者数
15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおける前提条件および根拠
15.2 インドにおける遠視の診断済み有病患者数
15.3 インドにおける種類別の遠視患者数
15.4 インドにおける性別別の遠視患者数
15.5 インドにおける年齢別の遠視患者数
16
患者経路
17
治療課題および未充足ニーズ
18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察
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