JMDCと住友生命、「熱中症白書」最新結果を日本衛生学会で発表 ~ 健康・生活習慣と熱中症の関係性が明らかに ~
株式会社JMDC(本社: 東京都港区、代表取締役社長兼CEO: 野口亮、以下「JMDC」)と住友生命保険相互会社(本社: 大阪府大阪市、取締役 代表執行役社長: 高田幸徳、以下「住友生命」)は、2025年に公表した健康・生活習慣と熱中症の関係性を示す「熱中症白書」※1の追加調査を行い、その結果を第96回日本衛生学会学術総会で発表しました。
「熱中症白書」は、JMDCが有する国内最大級の医療ビッグデータ・解析力・臨床目線を組み合わせ、熱中症の発症・重症化予防に資するエビデンスを提供することを目的としています。1000万人を超える医療ビッグデータを用いた分析であり、リスク因子として、高血圧等の生活習慣病および歩行や睡眠等の生活習慣を用いています。
今回の発表では、2025年に公表した「熱中症白書」に2025年シーズンのデータを追加するとともに、先行研究の知見を踏まえた因果分析を実施しました。
その結果、健康・生活習慣と熱中症の関係について因果関係を意識した多変量解析※2を用いて検証したところ、日常的に歩く習慣がある人は、そうでない人と比較して、熱中症による入院リスクが約17%低いことが確認されました。
近年、気候変動の影響により熱中症リスクは高まっており、個人が日常生活の中で実践できる適応行動の重要性が指摘されています。本研究結果は、日常的な身体活動等の生活習慣が熱中症の重症化予防に寄与する可能性を示唆するものです。
※1 「熱中症白書」全編は下記URLよりご参照ください。
https://www.jmdc.co.jp/terms/heatstroke_white_paper_202504.pdf
※2 健康状態等の複数のリスク因子が、結果にどのように関係しているかを分析する際に用いる統計的手法
熱中症への対応には、温室効果ガス排出削減等の気候変動の緩和策に加え、健康増進活動や体調管理等の個人による予防行動、さらに社会保障や民間保険による保障等、複数の防衛ラインを組み合わせた総合的な対策が重要と考えられます。住友生命とJMDCは、医療ビッグデータの分析を通じて熱中症リスクに関するエビデンスの蓄積を進め、研究活動や学術発表によってウェルビーイングの発展に寄与するとともに、健康行動の促進と保障の両面から熱中症対策の推進に取り組んでいきます。

出典: リアルワールドデータで示す健康・生活習慣と熱中症の関係性(2025年4月)
1.調査結果のポイント
本分析では、「熱中症白書」と同様、熱中症の重症度を「診断」「点滴」「入院」の3段階で評価し、健康状態・生活習慣と熱中症リスクの関係性を検証しました。
「熱中症白書」では2023年および2024年シーズンを分析対象期間としていましたが、今回はさらに2025年シーズンのデータを追加し、分析結果の安定性を高めています。分析対象者数は13,497,935人で、うち熱中症診断者は25,144人(0.19%)でした。平均年齢は46.6歳、男女比率は男性61.1%、女性38.9%でした。
方法: 研究対象・アウトカム・暴露変数の定義

出典: 日本衛生学会での発表資料(2026年3月)
歩行習慣に関しては、体力の向上や暑熱環境への対応力を高める一方で、炎天下での過度な運動は熱中症リスクを高める可能性があることから、時間帯や環境に配慮した身体活動が重要と考えられます。分析の結果、日常生活において1日1時間以上の歩行または同等の身体活動を行う集団は、行っていない集団と比較して、熱中症による入院リスクが低いことが確認されました。一方で、診断リスクおよび点滴を受けるリスクについては、歩行習慣のある集団の方が高い傾向がみられました(診断リスクは約8%リスク増、点滴リスクは約3%リスク増)。これは、歩行習慣のある集団が屋外活動等の熱中症リスクの高い行動をとる機会が多いことが背景にある可能性が考えられます。これに対し、入院リスクでは逆の傾向(約17%リスク減)がみられ、歩行習慣が熱中症の重症化予防に寄与している可能性が示唆されました。
多変量解析の結果

出典: 日本衛生学会での発表資料から数値を抜粋(2026年3月)
さらに、年齢や生活習慣等の影響をできるだけ揃えて比較する目的で、傾向スコアマッチングを用いた分析を実施しました。その結果、歩行習慣のある集団では、熱中症による入院リスクが22%低い一方、診断リスクは6%、点滴を受けるリスクは3%高い傾向が見られ、多変量解析の結果と整合的でした。
傾向スコアマッチングの結果

出典: 日本衛生学会での発表資料(2026年3月)
2.分析手法の進化
今回の分析では、従来の分析手法に加え、因果関係をより意識した分析設計を採用しました。
分析(1): 多変量解析
多変量解析とは、複数の要因が結果にどのように関連しているかを分析するための統計的手法です。本研究では、先行研究および医学的知見を踏まえて交絡因子を調整した多変量解析を実施し、健康状態・生活習慣と熱中症リスクの関係について、熱中症白書に比べ、よりロバストな統計的な分析を行いました。
分析(2): 統計的因果推論
傾向スコアマッチングとは、観測された複数の要因から算出した傾向スコアが近い対象同士を対応付けることで、群間の偏りを調整し、介入の因果効果を推定する統計的因果推論の手法です。その結果、分析(1)の多変量解析と同様の結果が確認され、分析結果の頑健性が示されました。

出典: 日本衛生学会での発表資料(2026年3月)
3.今後の展開
今後も引き続き、JMDCが有する国内最大級の医療ビッグデータを活用した各種調査を通じ、「社会課題に対しデータとICTの力で解決に取り組むことで、持続可能なヘルスケアシステムの実現」というJMDCの描く未来の実現と、「データの社会実装」に資する取組を推進してまいります。
株式会社JMDCについて
医療ビッグデータ業界のパイオニアとして2002年に設立。独自の匿名化処理技術とデータ分析集計技術を有しています。26億件以上のレセプトデータと9,400万件以上の健診データ(2026年3月時点)の分析に基づく保険者向け保健事業支援、医薬品の安全性評価や医療経済分析などの情報サービスを展開しています。また、健康度の単一指標(健康年齢)や健康増進を目的としたWebサービス(Pep Up)など、医療データと解析力で健康社会の実現に取り組んでいます。
URL: https://www.jmdc.co.jp/
住友生命保険相互会社について
住友生命は、身体的、精神的、社会的、経済的に満たされた「一人ひとりのよりよく生きる=ウェルビーイング」を支えるWaaS(Well-being as a Service)をエコシステムとして展開することで、未来に続く住友生命ならではの価値の実現を目指しています。具体的には、中核となる“住友生命「Vitality」”の推進に加え、病があっても幸せに、齢を重ねても幸せにという観点からオープンイノベーションを推進しています。今後は、「Well-Aging」も含めた価値提供範囲の拡大を通じ、ウェルビーイング価値をお届けするお客さまを増やしていきます。
URL: https://www.sumitomolife.co.jp/






