「病気になる前」に医師が介入する理由。熊本の病院が挑む、フィットネス併設型リハビリが日本の医療費を救うか

2026-03-30 18:00

病院の中にフィットネス? 熊本県初の「第42条施設」が描く新常識

通常、病院は「病気になってから行く場所」です。

しかし、熊本県嘉島町にあるリハビリテーション専門病院の風景は少し異なります。

2015年の建て替えを機に、病院内に本格的なフィットネス機能を併設。これは、医療法第42条に基づき、病院が疾病予防のために運営する「健康運動施設」として、熊本県内で初めての試みでした。

なぜ、医療の現場にジムが必要だったのか。

そこには、内科医として長年「脳血管疾患」や「心臓疾患」のリハビリに携わってきた医師の、ある危機感がありました。

行政と手を取り合う地域ぐるみの健康づくり

現在の公的医療保険制度では、リハビリを受けられる期間に制限があります。

いわゆる「リハビリ期限」が切れると、まだ運動が必要な状態であっても、患者さんは自身で体調を管理しなければなりません。

「せっかく回復しても、元の生活習慣に戻れば必ず再発する。保険の枠組みを超えて、継続できる場所を作らなければならない」

この想いに共鳴したのが、嘉島町でした。町が抱える「高額医療費の削減」という課題と、病院側の「予防医療」の視点が合致。40歳以上の特定健診で生活習慣病のリスクが見つかった町民を、病院の施設が積極的に受け入れる体制を構築しました。

医療と行政が分断されることなく、地域一丸となって病気を未然に防ぐ仕組みが、ここでは10年前から動き出しています。

「運動嫌い」や「原因不明の不調」にこそ 体幹ケア

本施設を訪れる方の多くは、実はアスリート志向ではなく「運動が苦手」「運動なんて嫌い」という方々です。また、検査数値には現れにくい、肩こりや腰痛、身体の重だるさといった「不定愁訴(ふていしゅうそ)」を抱えているケースも少なくありません。

そこで同院が注目したのが「体幹ケア」です。

いきなりハードな筋トレを行うのではなく、ストレッチポール® などを用いて身体の軸を整えることから始めます。姿勢が改善され、日常の動作が楽になるという「成功体験」をまず実感してもらう。このアプローチにより、運動嫌いだった方が「身体を動かすことは心地よい」と感じ、継続率の向上に繋がっています。

予防から再発防止まで。日本が目指すべき「健康のモデルケース」

「介護が必要になるまで待つのではなく、自立した生活をいかに長く送れるか」。

これは超高齢社会である日本全体のテーマです。当施設では、脳血管疾患等で車の運転が困難になった方のために、送迎機能もフル活用してフォローを続けています。

病気になる前の「一次予防」から、発症後の「再発防止」まで。

医療・行政・運動指導が三位一体となったこの取り組みは、公的保険だけに頼らない、これからの日本の地域医療を支える一つのモデルケースと言えるでしょう。

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