燃料費高騰の裏で起きる「塗料消失」の危機。過去の教訓から学ぶ、いま私たちが守るべきもの

現在、世界的なエネルギー価格の高騰が私たちの生活を直撃しています。
しかし、建設・リフォーム業界の裏側では、単なる「値上げ」以上の深刻な事態――「資材の供給停止」という静かな危機が再燃しようとしています。
過去の危機において、現場では一体何が起きていたのか。
そして今、何が起きようとしているのか。株式会社クレバーが、業界の構造的な課題と、いま取るべき防衛策について警鐘を鳴らします。
- 繰り返される「見えない在庫の抱え込み」
過去、燃料費が高騰し供給不安が広がった際、市場では「必要な場所に、必要な量が回らない」という事態が発生しました。
必ずしも大手企業の買い占めだけが原因ではありません。
実際には、メーカーから材料を直接仕入れる権利を持つ「卸業者(商社)」が、先行き不安から在庫を抱え込んでしまったのです。
建設業界の流通構造は、メーカー、商社、そして工務店という強固なピラミッド型です。
「特に石油由来のシンナー系商材は影響が大きく、発注しても入荷時期が一切読めない状況が続きました。日頃から商社との付き合いが薄い一人親方や個人事業主は、この局面で真っ先に供給網から弾き出されてしまうのです」
こうした事態は、震災時のウレタン資材不足などでも繰り返されてきました。業界が抱える「リスクへの脆弱さ」が、今また露呈しようとしています。
- 下請け業者を直撃する、構造的な「コストのしわ寄せ」
材料が入らなければ、工事は止まります。工期遅延や見積の再調整は避けられませんが、問題はそれだけではありません。
建設業界には、材料費が高騰しても元請からの報酬が据え置かれる「構造的な不条理」が存在します。多くの発注が「平米単価」で固定されているため、材料費の上昇分は、そのまま下請け業者の利益を圧迫する形になります。
すでに現場では、ビニール養生などの消耗品から品薄の兆候が出始めており、供給パニックが起きれば、多くの施工会社が経営危機に直面する恐れがあります。
- 地政学的リスクが加速させる「供給の壁」
今、この危機に拍車をかけているのが「物流リスク」です。
現在、イランとアメリカの緊張緩和が見えない中、ホルムズ海峡を通る石油系商材の調達難易度が跳ね上がっています。塗料の多くは石油由来。つまり、中東の火種は、日本の住宅リフォーム現場の足元に直結しているのです。
実際、現場の一次情報として「シンナーの価格が最大80%値上がりする」という通知が届き始めています。これは単なる物価高の範疇を超えた、供給逼迫の明らかな予兆です。
- 危機を乗り越える「関係性」の再構築
では、施主や工務店はこの局面をどう乗り切るべきか。クレバーが提示する答えは明快です。 それは、「価格の安さだけで仕入先を選ばないこと」。
「インターネットやホームセンターで安く調達できる時代ですが、本当に物が足りなくなった時、優先的に回してもらえるのは、日頃から強固なパイプを築いてきた業者同士です」
クレバーでは、受注前の段階から商社と連携し、供給状況を逆算して工程を設計しています。元請として工事全体をコントロールできる体制があるからこそ、不測の事態でも施工を止めない安定感を提供できるのです。
「問題が起きてから動く」のではなく「起きる前提で段取りを組む」。 不確実な時代だからこそ、単なる「施工者」ではなく、サプライチェーン全体を見通せる「パートナー」選びが、あなたの資産を守る鍵となります。
監修者

中島 賢一氏
株式会社クレバー代表取締役
http://clever-ltd.com/
新卒で大手リフォーム会社に入社し6年間勤務。建築業界の多重下請け構造や人手不足、物価高騰といった構造的課題を実感し、株式会社クレバーを創業。現在は人手不足と多重下請け構造という業界課題を同時に解決する仕組みづくりを推進している。



