テレビの日本市場(2026年-2035年)、市場規模・分析レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「テレビの日本市場(2026年-2035年)、英文タイトル:Japan Television Market 2026-2035」調査資料を発表しました。本資料には、テレビの日本市場規模、動向、セグメント別予測、関連企業の情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
日本のテレビ市場は、2025年時点で約57.3億米ドルに達しており、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)3.0%で拡大し、2035年には約77.0億米ドルに達すると予測されている。市場全体としては成熟度が高く、数量面での急成長よりも、OLED、大画面、高画質処理、AI機能、ゲーミング対応、スマートホーム連携などを軸とした高付加価値化が成長の中心になるとみられている。
2026年の最新動向としては、ソニーとパナソニックのプレミアム戦略が象徴的である。2026年4月には、ソニーグループが日本国内で新しい高級OLEDテレビのラインアップを投入し、映像処理能力の向上、AIによるシーン最適化、高度なゲーミング機能などを強化した。主なターゲットは、画質や映像体験を重視する熱心なユーザーやプレミアムホームエンターテインメント層であり、中国・韓国メーカーとの価格競争が激しくなる中でも、日本メーカーが高価格帯で競争力を維持しようとしていることがうかがえる。
また2026年3月には、パナソニックホールディングスが日本国内のテレビ事業を再編し、プレミアムOLEDや大画面モデルへの注力を強めた。これは、価格競争が激しい低価格帯から距離を置き、利益率の高い高級市場に経営資源を集中する動きである。単なるテレビ販売ではなく、ホームシネマ、高品質な映像・音響体験、スマートホーム、エンターテインメントサービスとの統合といった総合的な価値提案を強化する方向に、日本メーカーの戦略が変化している。
市場成長を支える主要な技術の一つがOLEDである。OLEDテレビは、各画素が自発光するためバックライトを必要とせず、黒の表現力、コントラスト、色再現性などで優れた画質を実現しやすい。特に曲面OLEDテレビは、照明の映り込みや鏡面反射を抑えやすい点が評価されており、より没入感の高い映像体験を求める消費者からの需要が高まっている。
さらに、OLEDパネル自体の性能向上も市場拡大を後押ししている。マイクロレンズ技術を組み込んだOLEDパネルや、高度なAIプロセッサを搭載したテレビが登場し、映像の明るさ、色、コントラストだけでなく、音質まで自動で最適化する機能が強化されている。視聴しているコンテンツの種類をテレビ側が判断し、映画、スポーツ、ゲーム、アニメなどに合わせて映像や音響設定を調整する方向に進んでおり、テレビは単なる表示機器から、コンテンツを能動的に最適化するスマートデバイスへと変化している。
AIによる画質・音質最適化は、今後のテレビ市場で特に重要な差別化要素になると考えられる。従来はユーザーが手動で映像モードや音響設定を変更する必要があったが、AIプロセッサの高度化により、視聴シーンやジャンル、部屋の明るさなどに応じて自動調整できるようになっている。この機能は、テレビに詳しくない一般ユーザーでも高画質・高音質を簡単に享受できるという点で価値が高い。
ゲーム需要の拡大も、テレビの高性能化を促す要因である。新しいプレミアムテレビでは、低遅延、高リフレッシュレート、高ダイナミックレンジ、ゲーム向け映像最適化などの機能が強化されている。テレビが映画や地上波放送を見るためだけの機器ではなく、家庭用ゲーム機やPCゲームを大画面で楽しむためのディスプレイとしても利用されるようになっており、高性能モデルへの需要を支えている。
消費者の利用スタイルの変化に対応した新しいテレビデザインも、市場の重要なトレンドである。例えば、縦長表示に対応したテレビは、スマートフォンで一般的な縦型コンテンツとの親和性が高く、SNS投稿の閲覧や縦型動画、OTTコンテンツ、一部のゲームなどに適している。従来のテレビは横長画面を前提としていたが、コンテンツ消費がスマートフォン中心に変化する中で、テレビ側も表示方向や設置方法を柔軟にする必要が生じている。
こうした縦型テレビの一部にはキャスターが付いており、室内を移動させて利用できるほか、リモコンで画面の向きを変更できるなど、固定設置型のテレビとは異なる使い方が可能になっている。このような製品は、テレビを「リビングの固定設備」としてではなく、必要な場所に移動して使うパーソナルディスプレイに近い存在へ変化させる可能性がある。
家庭内エンターテインメント需要の高まりを背景に、屋外設置型テレビへの関心も広がっている。大手メーカーは、テラスや屋外スペースに設置できる耐候性テレビの開発を進めている。こうしたテレビは、通常の屋内用テレビより高い輝度を持ち、雨、雪、暑さなどの気象条件に耐えられる設計が施されている。家庭のテラスやバルコニーで映画、スポーツ、動画などを楽しむ「リゾート型・休暇型」の視聴体験を提供する製品として位置付けられている。
こうした動きは、テレビの利用場所そのものが拡大していることを意味する。従来はリビングや寝室が中心だったが、今後は屋外空間、キッチン、ワークスペース、趣味部屋など、それぞれの生活シーンに適したテレビが増える可能性がある。市場成長という点では、テレビを一世帯に一台所有するだけでなく、用途別に複数台利用する需要を生み出せるかどうかも重要になる。
さらに、従来型テレビとVRヘッドセットの境界が変化することも、将来の市場構造に影響を与えるとみられている。消費者が映画やテレビ番組をより立体的かつ没入感のある形で視聴したいという需要が高まれば、テレビそのものも3D表示やVR・XRとの連携を強める可能性がある。映像コンテンツを「画面を見る」体験から「空間の中に入る」体験へ転換する技術が普及すれば、テレビ市場の製品設計や競争軸も大きく変化する可能性がある。
市場を製品タイプ別に見ると、スマートテレビ、LCD・プラズマ・LEDテレビ、CRT・リアプロジェクションテレビに分類されている。この中では、今後スマートテレビが主導的なセグメントになると予測されている。スマートテレビは、従来型の地上波・ケーブルテレビだけでなく、Netflix、YouTube、Amazon Prime Videoなどのストリーミングサービスや各種OTTコンテンツにも対応できるため、幅広い年齢層に利用価値がある。
特に日本では、世代によってテレビの使い方が異なることが、スマートテレビの強みにつながっている。高齢層は地上波やケーブルテレビを中心に視聴する一方、若年層はNetflix、YouTube、その他の動画配信サービスを利用する割合が高い。スマートテレビは両方の視聴方法を一台で提供できるため、世代間で異なるメディア消費行動を橋渡しする製品となっている。
スマートテレビの普及は、テレビ市場をハードウェア単体のビジネスから、ソフトウェア・サービスを含むエコシステム型の市場へ変化させる可能性もある。今後は、OS、アプリ、音声アシスタント、AI推薦、広告、サブスクリプション、ゲーム配信、スマートホーム制御などがテレビの価値を構成する重要な要素になる。テレビメーカーにとっては、画質だけでなく、どれだけ使いやすいプラットフォームを提供できるかも競争力を左右する。
一方、CRTやリアプロジェクションテレビなどの旧型製品は、技術的には市場での存在感を大きく失っており、今後もスマートテレビや高性能LED・OLEDテレビへの置き換えが進むと考えられる。テレビの買い替え需要は、市場全体の安定的な売上を支える要素であり、特に4K、8K、OLED、大画面、AI機能などの新技術が買い替え理由となる。
流通チャネル別では、オフラインとオンラインに分けられている。テレビはサイズが大きく、画質や音質を実際に確認してから購入したいという需要が強いため、家電量販店などのオフライン販売は引き続き重要である。特に高価格帯の大型OLEDテレビでは、実機を比較し、販売員から説明を受けた上で購入する消費者も多いと考えられる。
一方で、オンライン販売の重要性も高まっている。消費者が価格比較サイト、メーカー公式EC、大手ECプラットフォームなどを利用して仕様やレビューを確認し、そのまま購入するケースが増えているためである。特に中価格帯や標準的なサイズのテレビでは、実機確認よりも価格、配送、設置サービス、ポイント還元などが購入判断に影響する場合も多い。
競争環境は、国内の伝統的な日本ブランドに加え、韓国、中国、台湾系メーカーが強い存在感を持つ構造となっている。主要企業にはSamsung Electronics、LG、Panasonic Holdings、Sony Group、Toshiba、Hisense International、Haier Smart Home、Sansui Electric、Hon Hai Precision Industry傘下のSharpなどが含まれている。
日本メーカーにとって最大の課題の一つは、中国・韓国メーカーとの価格競争である。特に液晶テレビでは、製造規模やパネル調達力を活かした海外メーカーが低価格帯から中価格帯で強い競争力を持っている。そのため、ソニーやパナソニックなどの日本企業は、価格だけで競争するのではなく、高級OLED、大画面、映像処理、音響、ゲーミング、ブランド価値などを組み合わせたプレミアム戦略へ移行している。
韓国企業ではSamsungとLGがグローバルテレビ市場で大きな存在感を持っており、OLED、量子ドット、AI画像処理、スマートテレビプラットフォームなどを強みとしている。一方、中国勢ではHisenseやHaierなどが、価格競争力を保ちながら大型・高性能モデルを拡充している。日本市場では、国内ブランドへの信頼やアフターサービスを重視する消費者が一定数存在する一方、価格と性能のバランスを重視する層では海外メーカーの存在感が高まりやすい。
Sharpについては、台湾のHon Hai Precision Industryとの資本関係を背景に、ディスプレイ技術や生産効率を活かした事業展開が行われている。こうした企業構造の変化からも、テレビ産業が単純な国別ブランド競争ではなく、グローバルな部品調達、パネル生産、ソフトウェア開発、ブランド運営を組み合わせた競争になっていることが分かる。
主要メーカーは、OLEDテレビにおいて映像のディテール、色、明るさを自動調整し、コンテンツのジャンルに応じて表示を最適化する技術の開発を進めている。今後の高級テレビでは、「パネル性能」だけでなく、「AI処理能力」が商品価値の中心になる可能性が高い。例えば同じOLEDパネルを使用していても、映像処理エンジン、アップスケーリング、ノイズ低減、色補正、動き補正などによって最終的な画質には大きな差が生じるためである。
また、プレミアムテレビの価値は映像だけではなく、音響性能にも広がっている。家庭で映画館に近い体験を実現するためには、テレビ内蔵スピーカーの高性能化やサウンドバー、サラウンドシステムとの統合が重要となる。メーカーがテレビ単体ではなく「ホームシネマシステム」として製品を提案する流れは、平均販売価格を高めるうえでも有効と考えられる。
総合すると、日本のテレビ市場は成熟市場でありながら、2025年の約57.3億米ドルから2035年には約77.0億米ドルへと緩やかな成長が続くと予測されている。CAGR3.0%という数字は、テレビの普及台数が急増するというよりも、高価格帯製品への買い替え、大画面化、OLED化、スマートテレビ化、AI機能の搭載などによって市場価値が押し上げられることを示している。
特に今後重要になるのは、テレビを「放送を見るための家電」から「家庭内エンターテインメントの中心となるデジタルプラットフォーム」へ進化させられるかどうかである。OTT、ゲーム、動画配信、スマートホーム、AI、音声操作、VR・3Dコンテンツなどとの連携が進むことで、テレビの役割そのものが再定義されつつある。
そのため、日本市場の競争軸は、低価格化だけではなく、OLEDや大型画面による高画質、AIによる自動画質・音質最適化、ゲーミング性能、革新的なデザイン、屋外利用、スマートホームとの統合などへ広がっている。ソニーやパナソニックが2026年にプレミアム領域への集中を強めていることは、こうした市場構造の変化を象徴している。
今後は、低価格帯では海外メーカーとの激しい価格競争が続く一方、高価格帯では日本メーカーが映像処理技術、ブランド力、ホームシネマ体験、AI機能などを武器に差別化を進める構図が強まるとみられる。したがって、日本のテレビ市場は「販売台数の拡大」よりも「一台当たりの付加価値向上」が成長の中心となり、プレミアム化とスマート化が2035年に向けた最も重要な市場テーマになると考えられる。
※目次構成
エグゼクティブサマリー
1.1 市場規模(2025~2026年)
1.2 市場成長予測(2026年予測~2035年予測)
1.3 主な需要促進要因
1.4 主要企業と競争構造
1.5 業界のベストプラクティス
1.6 最新動向と最近の展開
1.7 業界見通し市場概要およびステークホルダー分析
2.1 市場動向
2.2 主要産業分野
2.3 主要地域
2.4 サプライヤーの交渉力
2.5 買い手の交渉力
2.6 主な市場機会とリスク
2.7 ステークホルダーによる主要施策経済概要
3.1 GDP見通し
3.2 一人当たりGDPの成長
3.3 インフレ動向
3.4 民主主義指数
3.5 政府総債務比率
3.6 国際収支(BoP)の状況
3.7 人口見通し
3.8 都市化動向カントリーリスク分析
4.1 カントリーリスク
4.2 ビジネス環境アジア太平洋地域のテレビ市場概要
5.1 主要業界ハイライト
5.2 アジア太平洋地域のテレビ市場の過去実績(2019~2025年)
5.3 アジア太平洋地域のテレビ市場予測(2026~2035年)日本のテレビ市場概要
6.1 主要業界ハイライト
6.2 日本のテレビ市場の過去実績(2019~2025年)
6.3 日本のテレビ市場予測(2026~2035年)タイプ別・日本のテレビ市場
7.1 スマートテレビ
7.1.1 過去の推移(2019~2025年)
7.1.2 予測推移(2026~2035年)
7.2 LCD・プラズマ・LEDテレビ
7.2.1 過去の推移(2019~2025年)
7.2.2 予測推移(2026~2035年)
7.3 ブラウン管(CRT)・リアプロジェクションテレビ
7.3.1 過去の推移(2019~2025年)
7.3.2 予測推移(2026~2035年)
- 流通チャネル別・日本のテレビ市場
8.1 オフライン
8.1.1 過去の推移(2019~2025年)
8.1.2 予測推移(2026~2035年)
8.2 オンライン
8.2.1 過去の推移(2019~2025年)
8.2.2 予測推移(2026~2035年)
- 市場ダイナミクス
9.1 SWOT分析
9.1.1 強み
9.1.2 弱み
9.1.3 機会
9.1.4 脅威
9.2 ポーターの5フォース分析
9.2.1 サプライヤーの交渉力
9.2.2 買い手の交渉力
9.2.3 新規参入の脅威
9.2.4 競争の激しさ
9.2.5 代替品の脅威
9.3 主要需要指標
9.4 主要価格指標
バリューチェーン分析
競争環境
11.1 サプライヤー選定
11.2 主要グローバル企業
11.3 主要地域企業
11.4 主要企業の戦略
11.5 企業プロファイル
11.5.1 Samsung Electronics Co., Ltd.(サムスン電子)
11.5.1.1 企業概要
11.5.1.2 製品ポートフォリオ
11.5.1.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.1.4 認証
11.5.2 LG Corp.(LG)
11.5.2.1 企業概要
11.5.2.2 製品ポートフォリオ
11.5.2.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.2.4 認証
11.5.3 Panasonic Holdings Corp.(パナソニック ホールディングス株式会社)
11.5.3.1 企業概要
11.5.3.2 製品ポートフォリオ
11.5.3.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.3.4 認証
11.5.4 Sony Group Corp.(ソニーグループ株式会社)
11.5.4.1 企業概要
11.5.4.2 製品ポートフォリオ
11.5.4.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.4.4 認証
11.5.5 Toshiba Corporation(株式会社東芝)
11.5.5.1 企業概要
11.5.5.2 製品ポートフォリオ
11.5.5.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.5.4 認証
11.5.6 Hisense International Co., Ltd.(ハイセンス)
11.5.6.1 企業概要
11.5.6.2 製品ポートフォリオ
11.5.6.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.6.4 認証
11.5.7 Haier Smart Home Co. Ltd.(ハイアール・スマートホーム)
11.5.7.1 企業概要
11.5.7.2 製品ポートフォリオ
11.5.7.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.7.4 認証
11.5.8 Sansui Electric Co., Ltd.(山水電気株式会社)
11.5.8.1 企業概要
11.5.8.2 製品ポートフォリオ
11.5.8.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.8.4 認証
11.5.9 Hon Hai Precision Industry Co., Ltd.(Sharp Corp./シャープ株式会社)
11.5.9.1 企業概要
11.5.9.2 製品ポートフォリオ
11.5.9.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.9.4 認証
11.5.10 その他
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