【弁護士監修】マッチングアプリで美人局に遭ったら絶対にやってはいけない5つのこと
~被害を拡大させない対処法も解説~

「まさか自分が…」
マッチングアプリで知り合った相手と会ったあと、突然「彼氏」や「夫」を名乗る人物が現れ、慰謝料や示談金を要求される――そんな美人局(つつもたせ)の被害は、決して他人事ではありません。
被害に遭った多くの人は、「家族や職場に知られたくない」「早く終わらせたい」という焦りから、その場でお金を支払ったり、個人情報を伝えてしまったりします。しかし、その判断が結果的に被害を長引かせ、さらなる金銭要求や脅迫につながるケースも少なくありません。
大切なのは、突然の出来事でも冷静に対応し、「やってはいけない行動」を知っておくことです。
美人局の被害は、初動の対応によってその後の被害の大きさや解決までの道筋が大きく変わることがあります。この記事では、被害を拡大させないために知っておきたいポイントを、弁護士の視点からわかりやすく解説します。
この記事でわかること
・美人局がどのような犯罪にあたるのか
・被害を拡大させる「やってはいけない5つの行動」
・万が一被害に遭ったときに冷静に取るべき対応
マッチングアプリでの美人局の実情
そもそも美人局とは
美人局(つつもたせ)とは、女性がおとりとなってターゲットとなる男性と関係を持つか、持とうとしたところで、女性と示し合わせた第三者が現れ、脅迫などによって男性から金品を奪う手口を指します。被害者となるのは、その大半が男性です。
「美人局」という罪名があるわけではなく、行われた行為の内容に応じて次のような犯罪が成立し得ます。
恐喝罪(刑法第249条):暴行や脅迫で相手に恐怖心を抱かせ、金品を交付させた場合。法定刑は10年以下の拘禁刑です(2025年6月1日の刑法改正前に行われた行為については「懲役」となります)。
詐欺罪(刑法第246条):嘘の事実で相手を錯誤させ、金銭を交付させた場合。
強要罪・強盗罪など:謝罪文を書かせるなど義務のないことを強制した場合や、暴行・脅迫の程度が著しく、財物を強取したと評価される場合。
いずれにしても、金銭を要求する側が犯罪を行っているのであり、被害者が一方的に責められる筋合いはありません。
マッチングアプリが狙われやすい理由
かつて美人局はツーショットダイヤルや繁華街での声かけが主流でしたが、現在はマッチングアプリやSNS、パパ活アプリを入り口とするケースが増えています。マッチングアプリが悪用されやすいのには、次のような事情があります。
食事やデートに誘い出すこと自体が不自然でないため、警戒されにくい。
検索機能によって、加害者側が多数のターゲットへ効率的に接触できる。
「女性慣れしていない男性」や、「既婚者・社会的地位のある男性」など、弱みを突かれやすい層が狙われやすい。
実際に報道されている手口(一般化した例)
被害の実態をイメージしていただくために、報道されている事案から典型的なパターンを紹介します(いずれも公開報道に基づく一般化した例であり、当事務所が取り扱った事件ではありません)。
「妊娠・治療費」名目で反復して請求される型:マッチングアプリで知り合いホテルで関係を持った際、行為の最中に「避妊具が外れた」と主張され、通院費・入院費の名目で繰り返し金銭を要求される。報道された事案では、複数回にわたり計90万円がだまし取られ、詐欺容疑で逮捕者が出ています(テレビ静岡・2025年5月報道)。一度応じるとさらなる請求が続くという点が特徴です。
ホテルに「男」が現れ暴行を伴う型:マッチングアプリで知り合った女性とホテルで関係を持とうとした際に男が現れ、暴行を加えたうえで金銭(電子マネーを含む)を要求する。報道された事案では恐喝容疑で男女が逮捕されています(東北放送・2025年の事案)。
密室で刃物を用い、強盗に発展する型:女性の自宅などの密室に誘い出され、刃物を突きつけて慰謝料名目の現金を奪われる。報道された事案では強盗容疑で逮捕者が出ています。密室では暴力がエスカレートしやすいことを示す例です。
被害者の多くは恥ずかしさから申告できず、周囲に知られることを恐れて泣き寝入りしてしまう傾向があります。しかし、一度支払いに応じると被害が長期化・深刻化しやすく、対応が遅れるほど解決は難しくなります。
美人局に遭ったら絶対にやってはいけない5つのこと
ここからが本題です。被害に気づいたとき、あるいは要求を受けたときに避けるべき行動を5つに整理します。いずれも「早期かつ穏便な解決」を遠ざけてしまう行動です。
- その場で要求どおりに金銭を支払う
最もやってはいけないのが、言われるままに現金や電子マネーを渡してしまうことです。
「慰謝料」「示談金」「治療費」といったもっともらしい名目が付けられることもありますが、脅して金銭を交付させる行為はそれ自体が恐喝罪などにあたる犯罪です。一度支払ってしまうと「払う相手」と認識され、名目を変えた請求が繰り返されることが少なくありません。前述の報道事案のように、少額の支払いから始まり総額が膨らんでいくケースは典型的です。
その場でATMへ連れて行かれそうになった場合も、可能な限り支払いは避け、身の安全を確保したうえで距離を取ることを最優先してください。
- 身分証・勤務先などの個人情報を渡す/念書・借用書を書く
免許証や名刺を見せる、勤務先を教える、その場で謝罪文・念書・借用書に署名する——これらはいずれも避けるべきです。
個人情報が相手の手に渡ると、逃げるだけでは問題が解決しません。後日、自宅を訪問されたり勤務先に連絡されたりして、繰り返し金銭を要求されるおそれがあります。
また、その場の勢いで書いてしまった念書や借用書を、後から「支払いを約束した証拠」として持ち出されることもあります。動揺していても、書類にサインをしない・個人情報を渡さないという一線は守ってください。
- 密室で感情的に反発する/力ずくで解決しようとする
相手に激しく言い返したり、突き飛ばして逃げようとしたりする行為は、かえって危険を招きます。
美人局は複数人で行われることが多く、ホテルの部屋や相手方の自宅といった密室では、抵抗が暴行のエスカレートを招きかねません。報道事案でも、暴行や刃物を伴い強盗事件に発展した例があります。密室で身の危険を感じる場面では、その場は相手を刺激せず、安全の確保を最優先にしてください。
反撃や自力解決ではなく、いったん安全な場所に離れ、そのうえで警察や弁護士に対応を委ねるのが結果的に最も安全で確実です。
- アプリ・LINEのやり取りや送金記録などの証拠を消す
「関わりを断ちたい」「痕跡を消したい」という気持ちから、マッチングアプリやLINEのメッセージ、通話履歴、送金・振込の記録を削除してしまう方がいます。これは避けてください。
これらは、相手の要求内容や脅迫の事実を示す重要な証拠です。証拠が残っていれば、警察への被害申告や、弁護士による交渉・法的手続きを有利に進められます。恥ずかしさから消したくなる気持ちは理解できますが、削除するのではなく、スクリーンショットなどで保全しておいてください。
- 誰にも相談せず、一人で抱え込んで放置する
「情けない」「知られたくない」という思いから、誰にも相談せずに一人で抱え込むことは、最も避けたい対応です。
放置している間にも要求はエスカレートし得ますし、時間が経つほど記憶や証拠は曖昧になります。美人局は犯罪であり、被害者が泣き寝入りする必要はまったくありません。「家族や勤務先には知られたくない」という事情があるからこそ、外部に情報を出さずに動ける専門家へ、できるだけ早く相談することが解決への近道になります。

早期かつ穏便に解決するために
やってはいけないことの裏返しとして、被害に遭った場合に取るべき行動を簡潔に整理します。
安全を確保し、距離を取る:密室では無理に抵抗せず、まず身の安全を守る。
証拠を保全する:アプリ・LINEのやり取り、送金記録などを削除せず残す。
相談先を選ぶ:事件化して犯人の処罰を求めたい場合は警察へ被害申告を、家族や勤務先に知られず穏便に解決したい場合は弁護士への相談を検討する。
弁護士に相談するメリット
家族や勤務先に知られず、穏便かつ早期に解決したい場合、弁護士への相談が特に有効です。
弁護士が代理人に就くこと自体が抑止力になる:相手が不当な要求をしていれば、弁護士から刑事告訴や民事上の対応を受けるリスクを負うため、多くの場合は手を引きます。
相手との直接のやり取りを遮断できる:以後の連絡を弁護士が引き受け、二度と接触しないことや個人情報を悪用しないことを相手に約束させる交渉も可能です。
自分側にも法的リスクがある場合に備えられる:たとえば相手が未成年であった可能性がある、既婚者との関係を追及されているといったケースでは、警察に相談する前に、まず弁護士に相談して自身の立場を整理しておくことが重要です。
まとめ
マッチングアプリを利用する人が増える一方で、それを悪用した美人局や恐喝の被害も後を絶ちません。
突然の出来事に動揺すると、「とにかくその場を収めたい」という気持ちから、お金を支払ったり、個人情報を伝えたりしてしまうことがあります。しかし、そのような対応が新たな要求や長期的なトラブルにつながるケースも少なくありません。
被害を最小限に抑えるためには、まず身の安全を確保し、相手とのやり取りや送金履歴などの証拠を残したうえで、冷静に状況を整理することが重要です。
また、美人局のような事案は、状況によって適切な対応方法が異なります。相手からの要求が続いている場合や、自分だけでは対応が難しいと感じる場合には、一人で抱え込まず、警察や弁護士などの専門家へ相談することも有効な選択肢の一つです。
特に、「家族や勤務先に知られたくない」「相手との接触をできるだけ避けたい」といった事情がある場合には、状況に応じた対応を早い段階で検討することで、被害の拡大を防げる可能性があります。
大切なのは、焦って判断しないことです。正しい知識を持ち、適切な対応を選ぶことが、自分自身を守る第一歩になります。
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この記事の監修者
若井 亮(わかい りょう)
/代表弁護士 弁護士法人若井綜合法律事務所(東京弁護士会所属)
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の脅迫的な言動にも毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために尽力している。
問い合わせ先
弁護士法人若井綜合法律事務所
https://wakailaw.com/
TEL: 03-5924-6845
当事務所は、恐喝・脅迫被害をはじめとする男女間のトラブルを数多く取り扱ってまいりました(男女トラブルのご相談は類型23,000件以上お受けしてまいりました)。「家族や勤務先に影響が及ばないように」という点に最大限配慮しながら、内密かつ穏便な解決を最優先に対応いたします。すでに個人情報を知られてしまっている場合や、要求がエスカレートしている場合も、状況に応じて被害の拡大を防ぐ手立てがあります。
全国どこからでもご利用いただける無料相談を、メール・電話・LINEで24時間受け付けております。まずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が、解決へとつながります。






