もう受けられない幻の小説教室が一冊の本に――津原泰水の大人気の創作講義、「読んだら、きっとあなたも書きたくなる」
『小説教室 忘れられない小説を書く』 5月28日、東京創元社より刊行
2022年10月、惜しまれつつ世を去った作家・津原泰水。生前から準備の進んでいた二冊が、相次いで世に出ます。『綺譚集』『11 eleven』に続く第三作品集『烏と孔雀』(河出書房新社、4月24日刊)に続き、その翌月の5月28日、東京創元社より、小説講座をまとめた『小説教室 忘れられない小説を書く』が刊行されます。

本書の出版が決まったのは2016年。前年の2015年に開催した満員御礼、キャンセル待ちも出た小説講座の講義録をもとに企画され、10年の歳月を経て、ようやく読者のもとへ届く一冊となりました。タイトルは津原さん本人によるもの。当時、編集者との間で「読んだらあなたも書きたくなる」というキャッチコピーも決まっていました。津原さんもX(旧Twitter)でこう書き残しています。
僕の小説講座は一冊の本になります。もう版元も確定している。売り文句は、アイデア不要、キャラ立ち不要、情景描写不要、その他諸々とにかく要らない、みたいな感じ。奇を衒ったのではなく、既存の講座に慣れている人にはそうとしか聞えなかったという次第で、役立つかどうかは読み手次第。
本書では、着想、文章、人物造型、ストーリー、演出に加えて、代表作「五色の舟」について語り下ろしています。どの章もシンプルかつロジカルながら、語り手としての津原さんの声音と人となりが、行間から立ち上がってきます。末尾には、創作にまつわるエッセイや文庫解説なども収録。
津原さんは、「文章について語る」の章でこう述べています。みなさんの個性はすでに決まっている。その文体は誰にも盗まれないが、そこから逃げ出すこともできない。個性を生かしたお化粧や日々のエクササイズによって美点へと磨き、美貌にするのだ、と。
「日本一の作家ではないかもしれないが、日本一の津原泰水である」と一貫して思ってきた、という作家が伝授する、それぞれが美貌を磨き、誰にも真似されない「忘れられない小説」を書くための創作術です。
これを読めば、あなたもきっと小説を書きたくなります。
目次
着想について語る
文章について語る
人物造型について語る
ストーリーについて語る
演出について語る
「五色の舟」を語る
編集にあたって
本書は、2015年3月~8月にかけて行われた創作講座全6回を書き起こしたものです。「着想について語る」「文章について語る」は、津原さん自身による加筆修正のうえ収録しました。そのほかの章は、講義の音声データを基づき書き起こしたものを、著作権者の確認を経て収録しています。
書誌情報
書名:小説教室 忘れられない小説を書く
著者:津原泰水
発行:東京創元社
発売日:2026年5月28日
判型:四六判並製
ページ数:284ページ
価格:本体2,100円+税(税込2,310円)
ISBN:978-4-488-02772-8
書誌情報:https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488027728
著者プロフィール

津原泰水(つはら・やすみ)
1964年、広島県生まれ。青山学院大学卒。1989年、津原やすみ名義で少女小説家としてデビュー。1997年、本名で発表した『妖都』以降、様々なジャンルを横断する作品を執筆。2012年『11 eleven』が第2回Twitter文学賞海外篇1位。2014年および2025年の2度にわたり、短篇「五色の舟」がS-Fマガジン編集部「オールタイム・ベストSF」国内短篇部門1位に選出された。近藤ようこにより漫画化された同作品は、第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。著作に『ブラバン』『綺譚集』『ヒッキーヒッキーシェイク』『大絵画展』『琉璃玉の耳輪』『蘆屋家の崩壊』ほか多数。著作は欧米やアジアで翻訳されるほか、法政大学大学院客員教授やよみうりカルチャー文章講座の講師なども務めた。2022年逝去。2023年、第43回日本SF大賞特別賞受賞。



