世界のアトピー性角結膜炎の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界のアトピー性角結膜炎の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Atopic Keratoconjunctivitis Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、アトピー性角結膜炎(Atopic Keratoconjunctivitis:AKC)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。AKCは、アトピー性皮膚炎と強く関連する、まれで慢性的な両眼性の眼表面アレルギー性炎症疾患であり、結膜だけでなく角膜にも炎症が及ぶ点が重要である。Shad Baabらの2024年の報告では、発症にはアレルゲン曝露と遺伝的素因が関与し、症例の90%超がアトピー性皮膚炎と関連するとされる。調査会社は、AKCが過少診断されやすい一方、未治療では角膜瘢痕や視力障害につながり得るため、臨床的には重要な疾患であると位置づけている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、有病状況、年齢、性別、診断患者数などの疫学動向を分析している。
AKCは、結膜と角膜に慢性炎症を起こす眼アレルギー疾患であり、主としてアトピー性皮膚炎を背景に発症する。病態にはIgEを介するアレルギー反応とTヘルパー細胞を中心とした免疫反応が関与し、眼表面で持続的な炎症が生じる。その結果、そう痒感、充血、流涙、不快感などに加え、角膜障害を伴う場合には視機能への影響も生じ得る。
一般的な季節性アレルギー性結膜炎とは異なり、AKCは慢性的かつ通年性に経過することが多い。症状は年間を通して存在しながら、アレルゲン曝露や季節変化によって増悪することがある。したがって、完全に明瞭な季節性ピークを示すというより、慢性炎症の上に増悪・寛解を繰り返す病態と考えられる。
AKCには厳密に定義された複数のサブタイプがあるわけではないが、重症かつ慢性のアレルギー性結膜炎として扱われ、角膜病変を伴うことが他の比較的軽いアレルギー性結膜炎との大きな違いとなる。長期間の炎症が持続すると、角膜瘢痕など不可逆的な変化を起こし、長期的な視覚障害につながる可能性がある。
疫学的には非常にまれな疾患とされるが、アトピー性皮膚炎患者の中では一定の割合で発症する。EyeWikiによると、アトピー性皮膚炎患者の25~40%がAKCを発症するとされており、一般人口での絶対頻度は低い一方、アトピー性皮膚炎という基礎疾患を持つ集団では無視できない併存症である。
一方、資料冒頭ではAKC症例の90%超がアトピー性皮膚炎と関連するとされ、臨床試験データベースでは約95%の患者にアトピー性皮膚炎がみられるとされる。これらは「アトピー性皮膚炎患者のうちAKCになる割合」と「AKC患者のうちアトピー性皮膚炎を持つ割合」という異なる方向の指標であるため、区別して解釈する必要がある。
また、臨床試験データではAKC患者の87%に喘息がみられるとされ、アトピー性皮膚炎だけでなく全身性のアトピー素因との関連が強い。したがって、AKCは単独の眼疾患というより、アトピー性皮膚炎、喘息、湿疹などを背景にした全身性アレルギー体質の眼症状として理解する必要がある。
年齢分布では、EyeWikiによると発症のピークは30~50歳であり、思春期前の症例は少ない。AKCは小児期から高頻度にみられる疾患ではなく、主として思春期以降から若年・中年成人に出現する慢性眼アレルギー疾患である。
Shad Baabらによると、一部の患者では小児期の春季カタル、すなわち春季角結膜炎(Vernal Keratoconjunctivitis:VKC)からAKCへ移行することがあり、その割合は約5%とされる。したがって、AKCの一部は小児期から続く重症アレルギー性眼疾患の延長線上にある可能性がある。
ただし、大多数のAKCがVKCから移行するわけではない。約5%という数値は少数の移行例を示しており、AKC全体の主な疫学的基盤は成人期のアトピー性疾患と考えるべきである。
性別では男性に多い傾向がある。Shad Baabらの報告では男性対女性比は約2:1~3:1とされ、明確な男性優位が示されている。これは、AKCが性別によって均等に分布する疾患ではないことを示す。
ただし、この男性優位がアトピー性皮膚炎や喘息などの基礎疾患分布そのものを完全に反映するかどうかは、提示資料からは明確ではない。少なくとも臨床的なAKC患者集団では、男性が女性より多いという傾向が一貫して示されている。
死亡率はほぼ無視できる程度とされる。AKC自体が生命を直接脅かす疾患ではないため、疫学上の中心課題は死亡ではなく、慢性的な眼症状と視覚障害による罹病負担である。
とくに角膜瘢痕が形成されると、視力低下が長期的に残る可能性がある。このため、AKCの疾患負担は死亡率ではなく、視力、日常生活、仕事、読書、運転などへの影響で評価することが重要となる。
環境因子も発症・増悪に重要である。Shad Baabらによると、AKCはアレルゲン曝露とアトピー素因に強く関連し、温帯地域などでは患者の最大90%にアトピー、喘息、湿疹などの背景がみられるとされる。
また、AKCは通年性に症状が続く一方で、季節的に悪化することがある。つまり、花粉など特定季節のアレルゲンだけで発症するのではなく、慢性的な基礎炎症に季節要因が重なることで症状が増悪する。
国別では、AKC自体の人口ベース有病率より、関連するアトピー性皮膚炎の有病率が地域負担を推定する手掛かりとして示されている。Charbel Skayemらの2025年の報告によると、アトピー性皮膚炎の有病率は米国7.3%、ドイツ5.4%、フランス7.1%、スペイン13.1%、イタリア7.8%、インド8.3%とされる。
この中ではスペインの13.1%が比較的高く、ドイツの5.4%が低い。ただし、これらはAKCの有病率ではなくアトピー性皮膚炎の有病率であるため、そのままAKC患者数として扱うことはできない。
AKCはアトピー性皮膚炎患者の25~40%にみられるというデータがあるものの、この割合を各国のアトピー性皮膚炎有病率に機械的に掛け合わせてAKC人口を算出するのも慎重であるべきである。対象研究の年齢構成や重症度、診断基準が異なる可能性があるためである。
米国ではアトピー性皮膚炎有病率が約7.3%とされ、その中にAKCを発症するリスク集団が存在する。眼科と皮膚科の連携が進んでいる環境では、これまで単なるアレルギー性結膜炎として扱われていた患者がAKCとして再分類される可能性もある。
ドイツではアトピー性皮膚炎有病率約5.4%、フランスでは7.1%、イタリアでは7.8%とされる。欧州ではこれらのアトピー性疾患患者の中から、慢性的な眼表面炎症と角膜病変を持つ患者を早期に特定することが重要となる。
スペインではアトピー性皮膚炎有病率が13.1%と資料中で最も高い。そのため、基礎となるアトピー患者プールが大きく、AKCの潜在患者集団も相対的に大きい可能性がある。ただし、AKC単独の実測有病率は提示されていない。
インドではアトピー性皮膚炎有病率が8.3%とされる。人口規模が非常に大きいため、AKCが希少疾患であっても絶対患者数は一定規模に達する可能性がある。
日本と英国については、提示資料ではアトピー性皮膚炎またはAKCの具体的な国別有病率は示されていない。ただし、8主要市場の対象に含まれており、今後の診断患者推移が分析されている。
市場・疫学上で重要なのは、AKCが過少診断されやすいことである。慢性的な眼そう痒、充血、流涙などは一般的なアレルギー性結膜炎でもみられるため、角膜病変を十分に評価しなければAKCが見逃される可能性がある。
また、皮膚科でアトピー性皮膚炎を治療している患者が、眼症状を別の問題として扱い眼科を受診しないことも考えられる。そのため、アトピー性皮膚炎患者に眼症状がある場合にはAKCの可能性を意識することが重要となる。
逆に、眼科で慢性的な難治性アレルギー性結膜炎を診ている場合には、皮膚症状、喘息、湿疹などの全身性アトピー背景を確認することが診断に役立つ。AKCは眼科単独ではなく、皮膚科・アレルギー科との連携が重要な疾患である。
治療の目的は、眼表面炎症を抑え、そう痒などの症状を軽減し、角膜障害や視力低下を予防することである。急性症状を抑えるだけでなく、慢性的な炎症を長期間コントロールする必要がある。
第一選択として、抗ヒスタミン点眼薬や肥満細胞安定化薬が用いられる。これらはアレルギー反応を抑え、とくにそう痒感や眼表面刺激症状を軽減することを目的とする。
急性増悪時にはステロイド点眼薬が使用されることがある。強い炎症を速やかに抑える効果が期待できるが、長期使用では副作用の問題があるため慎重な管理が必要となる。
したがって、AKCは慢性疾患であるにもかかわらず、ステロイドを漫然と長期間使い続けることは望ましくない。長期炎症制御には別の免疫調節療法が重要になる。
近年では、シクロスポリンやタクロリムスなどの免疫調節薬が長期管理に使用される機会が増えている。これらは眼表面の免疫反応を抑え、ステロイド依存を減らしながら慢性炎症をコントロールすることを目的とする。
支持療法として人工涙液などの潤滑点眼も重要である。眼表面の乾燥や刺激を軽減し、角結膜のバリアを保護する役割を持つ。
眼瞼衛生も管理の一部となる。眼瞼周囲の炎症や分泌物を適切に管理することで、眼表面刺激を減らし、二次的な悪化を抑えることができる。
重症または通常治療で十分にコントロールできない難治例では、全身性免疫抑制薬や生物学的製剤が検討される場合がある。特に重度のアトピー性皮膚炎など全身性アトピー疾患が強い患者では、基礎疾患全体を制御することが眼症状改善にもつながる可能性がある。
この点からも、AKC治療は眼局所だけに限定されない。眼表面炎症と全身性アトピー炎症の両方を考え、必要に応じて眼科、皮膚科、アレルギー科が共同で管理することが重要である。
市場の観点では、AKCは患者数の少ない疾患である一方、慢性・再発性であり、長期にわたって点眼薬や免疫調節薬を使用する患者が存在する。したがって、単回治療ではなく継続治療需要を持つ市場である。
また、基礎疾患であるアトピー性皮膚炎治療の高度化もAKC市場に影響する可能性がある。全身性のアトピー炎症を標的とする治療が普及すれば、眼症状の管理方法や患者層別化も変化する可能性がある。
一方で、AKCの患者数を直接示す人口ベース疫学データは提示資料では限られている。多くの数値はアトピー性皮膚炎患者でのAKC合併割合や、AKC患者におけるアトピー性皮膚炎・喘息の併存割合である。
したがって、「アトピー性皮膚炎患者の25~40%がAKC」「AKC患者の95%がアトピー性皮膚炎」「87%が喘息」といった数値は、分母がそれぞれ異なる。これらを同一の有病率指標として比較することは適切ではない。
全体として本レポートは、AKCを「アトピー性皮膚炎と極めて強く関連し、30~50歳を中心に発症し、男性に多く、慢性の結膜・角膜炎症によって長期的な視覚障害を起こし得る希少眼アレルギー疾患」と位置づけている。
アトピー性皮膚炎患者の25~40%にAKCがみられるという報告がある一方、AKC患者側からみると90~95%超がアトピー性皮膚炎を有するとされる。さらに約87%に喘息がみられるというデータもあり、全身性アトピー素因との関連が非常に強い。
年齢では思春期前の症例は少なく、30~50歳にピークを迎える。小児期のVKCからAKCへ移行する患者は約5%とされる。性別では男性対女性比が約2:1~3:1で、男性優位が特徴である。
地域別には、アトピー性皮膚炎有病率が米国7.3%、ドイツ5.4%、フランス7.1%、スペイン13.1%、イタリア7.8%、インド8.3%とされ、こうした基礎疾患の地域分布がAKCの潜在患者プールにも影響すると考えられる。ただし、これらはAKCそのものの有病率ではない点に注意が必要である。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、アトピー性皮膚炎患者数だけでなく、眼症状に対する認知向上、皮膚科から眼科への紹介増加、角膜病変の早期診断、免疫調節薬の使用拡大などが診断患者数を押し上げる主要因になると考えられる。したがって、患者数の増加がみられた場合、その一部は真の発症増加ではなく、これまで見逃されていたAKCの診断改善を反映する可能性がある。
今後のAKC管理における中心的課題は、慢性的な眼そう痒や充血を単純なアレルギー性結膜炎として長期間放置せず、アトピー性皮膚炎や喘息などの全身背景を踏まえてAKCを早期に疑うこと、角膜障害の有無を確認すること、抗ヒスタミン薬や肥満細胞安定化薬で症状を抑えつつ、必要に応じてステロイド、シクロスポリン、タクロリムスなどで炎症を適切に制御すること、そして重症例では全身性アトピー疾患を含めて専門的・多診療科的に管理することである。2026~2035年は、AKCを単なる慢性アレルギー性結膜炎として扱うのではなく、視力障害を防ぐために角膜病変まで含めて早期診断・長期管理することが、臨床・市場双方の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件
02
エグゼクティブサマリー
03
アトピー性角結膜炎市場概要(8主要市場)
3.1 アトピー性角結膜炎市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 アトピー性角結膜炎市場の予測市場規模(2026年~2035年)
04
アトピー性角結膜炎疫学概要(8主要市場)
4.1 アトピー性角結膜炎疫学状況(2019年~2025年)
4.2 アトピー性角結膜炎疫学予測(2026年~2035年)
05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因
07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 8主要市場におけるアトピー性角結膜炎疫学状況(2019年~2035年)
08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国におけるアトピー性角結膜炎疫学状況(2019年~2035年)
09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国におけるアトピー性角結膜炎疫学状況(2019年~2035年)
10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおけるアトピー性角結膜炎疫学状況(2019年~2035年)
11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおけるアトピー性角結膜炎疫学状況(2019年~2035年)
12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおけるアトピー性角結膜炎疫学状況(2019年~2035年)
13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおけるアトピー性角結膜炎疫学状況(2019年~2035年)
14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本におけるアトピー性角結膜炎疫学状況(2019年~2035年)
15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおけるアトピー性角結膜炎疫学状況(2019年~2035年)
16
患者経路
17
治療課題および未充足ニーズ
18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察
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