私たちはどのくらい動いているのか? 厚労省が推奨する身体活動量の達成率は46.6%(速報値) 「活動量計による身体活動・スポーツの実態把握調査2025」
明治安田厚生事業団(本部:東京都新宿区、理事長:生井 俊夫)と笹川スポーツ財団(所在地:東京都港区、理事長:渡邉 一利)は、2025年11月に実施した「活動量計による身体活動・スポーツの実態把握調査2025」の結果(速報値)を発表しました。
2024年1月、厚生労働省(以下、厚労省)は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(以下、身体活動ガイド2023)」の中で「健康づくりのための新しい推奨身体活動量」を示しました。しかし、身体活動量に関する全国規模かつ代表性のある客観的データがなく、実際に国民がどの程度動いているかを明確に把握できていない課題があります。
そこで、身体活動に費やす時間や活動強度、座位時間を詳細に測定できる「活動量計」を用い、身体活動量を実測するとともに、質問票でスポーツ実施状況等を調べ、日本国内における身体活動の実態把握を目指す共同研究を2023年度から実施しています。2024年度より全国47都道府県200地点で調査を行っており、2025年度に実施した最新の調査では、身体活動ガイド2023が定める推奨身体活動量(1日)の達成率は全体で46.6%でした。2024年度調査の47.9%と比べて大きな差はみられませんでした。
身体活動とは
「安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する全ての動作」を指す。日常生活の立ち仕事や家事全般などは低強度身体活動、階段昇降や運動・スポーツ全般は中高強度身体活動に分類される。身体活動ガイド2023では、3メッツ※以上の身体活動(歩行、庭仕事、子どもと遊ぶ、水泳など)の基準が示されている。
※メッツ:「安静時を1としたときに、何倍のエネルギーを消費するか」を示す“活動強度”の単位。歩行は3メッツ、速歩は4.5メッツ、ランニングは10メッツ。週に3時間のランニングを行った場合、10メッツ×3時間=週30メッツ・時となる。
調査結果のポイント
・厚労省・身体活動ガイド2023が定める、健康づくりのための推奨身体活動量(成人:1日60分、高齢者:1日40分)の達成率は全体で46.6%となり、2024年度調査(47.9%)と比べて大きな差はみられなかった。
・成人(20-64歳)の達成率は44.7%、高齢者(65歳以上)は53.3%と、成人は半数を下回った。
・1日あたりの歩数は6,648歩、座位行動時間は8.8時間であった。
調査結果(速報値)
1.厚労省・身体活動ガイド2023が定める推奨身体活動量の達成率は46.6%
「身体活動ガイド2023」で推奨する歩行又はそれと同等以上(3メッツ以上の強度)の身体活動量
・成人(20-64歳):1日60分以上(≒1日約8,000歩以上≒週23メッツ・時以上)
・高齢者(65歳以上):1日40分以上(≒1日約6,000歩以上≒週15メッツ・時以上)
本調査における推奨身体活動量の達成率は全体で46.6%であった。年齢層別では、20-64歳の成人が44.7%、65-79歳の高齢者が53.3%、性別でみると、成人男性では45.5%、女性は44.2%、高齢者男性では54.2%、女性は52.2%となり、成人の達成率は2024年度調査に続いて半数を下回った。

2.1日あたりの歩数と座位時間
1日あたりの歩数は、成人7,017歩、高齢者5,428歩と、身体活動ガイド2023が定める基準を下回った。1日あたりの座位行動時間は、全体で8.8時間、成人8.8時間、高齢者8.6時間であった。

※中央値と平均値について
〈中央値〉とは、すべてのデータの数値を小さいほうから順に並べた際、中央にあるデータの値。〈平均値〉とは、すべてのデータの値を足し合わせた合計をデータの個数で割った値。今回は、他と比べて極端に小さな値、または極端に大きな値(外れ値)の影響を受けにくい、中央値を使用して結果を示した。
活動量計
本調査では、三軸加速度センサーが入った活動量計を使用し、身体活動を客観的に測定する。腰に装着するだけで身体活動データを1分ごとに記録し、個人の身体活動量や歩数が測定可能。日常生活で「どのくらい動いているのか」「どのくらい座っているのか」を本格的に測定・分析できる。対象者は休日を含めた1週間、就寝時や入浴時などを除き装着する。
調査概要
調査対象
層化二段無作為抽出法を用いて全国47都道府県から抽出された200地点における満20歳以上80歳未満の男女6,000人
調査方法
郵送法
対象者には土・日曜日を含めた合計7日間にわたる活動量計の装着を依頼し、測定を行った。期間中に実施した運動・スポーツや生活習慣等に関しては質問票によって回答を得た。
調査時期
2025年11月
主な調査項目
1.活動量計による測定: 身体活動量(低強度・中高強度)、歩数、座位行動時間など
2.質問票による調査 : 運動・スポーツ実施状況、運動・スポーツ活動歴、健康認識、生活習慣、基本属性など
回収状況
解析対象者数1,353人(有効回収率22.6%)※1日10時間以上の装着日が4日以上
研究責任者
公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所 副所長/上席研究員 甲斐 裕子
公益財団法人 笹川スポーツ財団 シニア政策ディレクター 吉田 智彦
研究担当者
公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所 副主任研究員 川上 諒子
公益財団法人 笹川スポーツ財団 シニア政策オフィサー 松下 由季
公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所
1962年設立。体力医学研究所では「健やかで豊かな長寿社会」の実現に貢献する新たな健康づくり方法を開発する研究活動を行うとともに、その知見の普及啓発を推進している。現在は職域における身体活動・座位行動の健康影響についての運動疫学的研究、そのメカニズム解明を目指す基礎的研究を実施。さらに健康科学の知見を社会に根付かせるため、地域における社会実装的研究を展開している。
公益財団法人 笹川スポーツ財団
1991年設立。国民一人ひとりがスポーツを楽しむ社会「スポーツ・フォー・エブリワンの実現」を掲げ、「スポーツによる社会課題解決」を目的に研究調査活動を行う。主な研究テーマは、健康とスポーツ、障害者スポーツ、子どものスポーツなど。研究結果をもとに自治体やスポーツ推進団体と共同事業を実施し、政策提言を行っている。



