そのだるさ、夏バテじゃないかも。手の甲でできる「隠れ脱水」チェック

「なんとなくだるい」
「頭が重い」
「立ちくらみがする」
「足がつる」
そんな体の不調を、「暑さのせいだから」「少し疲れているだけだから」と、
そのままにしていませんか。
実はそれ、気づかないうちに進む"隠れ脱水"のサインかもしれません。
脱水というと、炎天下で大量の汗をかいたときに起こるものというイメージがあります。
しかし実際には、冷房の効いた室内で過ごしていても、
私たちの体からは汗や呼吸、尿などを通して少しずつ水分が失われています。
特に高齢者は注意が必要です。
年齢とともに体内の水分量は少なくなりやすく、暑さやのどの渇きを感じにくくなることがあります。
そのため、自分では「大丈夫」と思っていても、気づかないうちに脱水が進んでいることがあります。
そこで今回は、愛知県豊田市のたいや内科クリニック院長・加藤大也が、家庭でできる
「隠れ脱水」のセルフチェック方法や、夏を健康に過ごすための正しい水分補給について解説します。
「なんとなく不調」は隠れ脱水のサインかもしれません
隠れ脱水が怖いのは、自覚症状がはっきりしないことです。
・なんとなくだるい
・頭が重い
・口が乾く
・尿が少ない
・立ちくらみがする
・足がつる
・食欲がない
こうした症状は、疲れや寝不足、年齢のせいと思われがちです。
しかし、実は体からの「水分が足りません」というサインである可能性があります。
だからこそ、「いつもと少し違う」という体の変化を見逃さないことが大切です。
手の甲をつまむだけ? 自宅でできるセルフチェック
家庭でできる簡単な目安の一つに、皮膚の戻りを見る方法があります。
手の甲の皮膚を軽くつまみ、離したあとに戻る速さを見ます。戻りが遅い場合は、脱水傾向に気づくきっかけになることがあります。
これは医療現場で「ツルゴール」と呼ばれる、皮膚の張りを見る方法です。

【内科医からの注意点:これだけで安心しないで!】
ただし、ここで大切なのは「手の甲をつまめば100%脱水が分かる」と言い切らないことです。
特に高齢者の方の場合、脱水がなくても加齢によって皮膚の弾力が低下しているため、最初から戻りが遅く見えることがあります。
反対に、脱水が始まっていても分かりにくいこともあります。
あくまで「少し変だな」と気づくための入口(セルフチェックの一つ)として活用してください。
尿の「色」と「量」で水分不足をキャッチ
もう一つの重要な目安が「尿」です。
水分が足りていない場合、体は水分をため込もうとするため、以下のような変化が現れます。
・尿の色がいつもより濃い(濃い黄色や茶色っぽくなっている)
・尿の量が明らかに少ない
・トイレに行く回数が減っている
※ただし、朝一番の尿は健康な人でも濃くなりやすく、ビタミン剤や薬、食事の影響で色が変わることもあります。尿の色だけで一喜一憂するのではなく、口の渇き、だるさ、立ちくらみ、食欲などを合わせて総合的に見ることが大切です。

【正しい予防法】経口補水液の"水代わりの日常飲み"はNG?
脱水予防の基本は、「のどが渇く前に少しずつ飲む」ことです。
一度に大量に一気飲みするよりも、こまめに飲む方が体にやさしく、吸収もスムーズになります。
<飲み忘れを防ぐ!生活の節目補水タイミング>
起床後 / 朝食時 / 外出前 / 帰宅後 / 入浴前後
また、寝る前の水分補給は「少量」を目安にしましょう。夜間の頻尿や、夜中にトイレへ行く際につまずいて転倒することを心配される方は、寝る直前にたくさん飲むのではなく、日中から夕方にかけてこまめに飲んでおく工夫が効果的です。
【経口補水液の誤解に注意】
汗をたくさんかいた時は、水だけでなく塩分や電解質の補給が必要ですが、「経口補水液」を日常的な水代わりに飲むのはやめましょう。経口補水液は脱水時には大変役立ちますが、塩分や糖分もしっかり含まれているため、普段の水分補給は水や麦茶などで十分です。
持病のある方は自己判断に注意
特に注意してほしいのは、心臓や腎臓の病気があり、水分や塩分の制限を受けている方です。
また、高血圧、糖尿病、腎臓病のある方では、飲み物の種類や塩分・糖分の取り方に注意が必要です。
一般的な水分補給法がそのまま当てはまらないことがありますので、主治医に「夏はどのくらい飲んでよいか」「経口補水液を使ってよいか」を確認しておくと安心です。
【危険信号】見逃さないで!今すぐ受診・救急要請が必要なサイン
家庭での水分補給だけでは対応できず、医療機関への相談や救急車の手配が必要なサインを知っておきましょう。
【早めに医療機関へ相談すべきサイン】
・強いだるさがある
・吐き気が強くて水分が摂れない
・体温が高い
・尿が極端に少ない、または半日近く尿が出ない
【ためらわず救急車(119番)を呼ぶべき状況】
・意識がぼんやりしている、呼びかけへの反応が鈍い
・自力で立てない、歩けない
・特に高齢者や乳幼児、持病のある方は体調が急変しやすいため、早めの判断が命を救います。
小さな気づきが、夏の健康を守ります
脱水対策は、特別なことではありません。
・手の甲を見る。
・尿の色や量を見る。
・飲むタイミングを決める。
・室温を整える。
・家族で声をかける。
その小さな確認が、夏の健康を守ることにつながります。
脱水は、気づけば防げることがあります。
しかし、気づかないまま進むと、命に関わることもあります。
だからこそ、今日から"なんとなく不調"を見逃さないでください。
水分をとることは、ただ喉を潤すことではありません。
明日の自分の体を守り、大切な家族の健康を守るための大切な習慣です。
たいや内科クリニックでは、これからも地域の皆さまが安心して健康に暮らし続けられるよう、糖尿病や生活習慣病の診療だけでなく、季節ごとに気を付けたい健康情報についても分かりやすく発信してまいります。
地域のかかりつけ医として、患者さんとのコミュニケーションを大切にし、一人ひとりの生活や体調に寄り添った診療を心掛けています。
今後も地域の皆さまの健康維持に役立つ医療・健康情報を継続して発信してまいります。
【参考文献・出典】
・厚生労働省「熱中症を防ぎましょう」
・厚生労働省「高齢者のための熱中症対策」
・環境省「熱中症環境保健マニュアル」
・日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」
<お問い合わせ先>
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