被爆・戦後80年、「戦争の心の傷」と向き合う 12月8日(太平洋戦争「開戦の日」)を前に、 平和の大切さを考える特別研修を実施
ー「PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会」 代表 黒井 秋夫さんを講師に迎えてー
コープ共済連(日本コープ共済生活協同組合連合会、代表理事理事長:笹川 博子)は、2025年11月6日、被爆・戦後80年という歴史的節目、そして「開戦の日(12月8日)」を前に、全役職員を対象とした特別研修を開催しました。
講師には「PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会(*1)」代表であり、コープ共済連元職員でもある黒井 秋夫さんを迎え、戦争が残す心の傷や、いま生協・共済が果たすべき社会的役割について、職員一人ひとりが深く考える機会となりました。
2025年6月13日に開催した、日本生活協同組合連合会 第75回通常総会で採択された「2025年 わたしたちの平和宣言(*2)」のもと、コープ共済連は今後も、平和と安心の社会づくりに積極的に取り組んでまいります。

戦争の心の傷
黒井さんは「戦争は兵士の心に深刻な傷を残す」と語ります。父親が戦争から帰還した後、地域社会に馴染めず、無気力で反応がなく、仕事も長続きしない姿を見て育った経験から、「ずっと父親を恨んでいた」と振り返ります。
しかし、父親の死後、ベトナム戦争帰還兵のドキュメンタリーをきっかけにPTSDについて知り、「父も戦争によって心を壊されたのではないか」と考えるようになりました。「雷に打たれたような衝撃を受けた。なぜもっと早く気づいてあげられなかったのか」と後悔の念を語りました。

PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会
代表 黒井 秋夫さん
戦争が生んだ「負の連鎖」
兵士が戦争で受けた心の傷は、家族にも大きな影響を及ぼします。帰還兵が暴力的になったり、感情が麻痺したりする様子はPTSDの典型的な症状であり、戦後の日本社会でも多くの家族が同じような苦しみを抱えてきたと指摘します。こうした「心の傷」は世代を超えて連鎖し、家族関係や次世代にも深刻な課題を残すことが、今回の講演で語られました。
このような元日本兵とその家族の苦しみは長い間社会で見過ごされてきましたが、黒井さんは同じ境遇の家族と語り合う会を立ち上げ、全国各地で粘り強く発信を続けてきました。近年では、精神医学界やメディアでも過酷な戦争体験がPTSDにつながるという認識が広まり、新聞やテレビなどで元日本兵や家族の苦しみが報道されるようになり、世論にも徐々に変化が生まれていると語ります。
父親への想いと平和への強い願い
「父親の苦しみを息子として理解してあげられなかった悔しさと、父親の想いに応えたいという強い気持ちがある」ーー黒井さんは声を震わせながら活動の原動力を語り、「戦争のない社会、平和な未来を子どもたちに残したい」という強い願いを表明しました。
この願いを実現するために、「平和とはどうすればつくれるのか」「戦争のない社会をどうすれば実現できるのか」を、みんなで考え、共に声を上げ続けていきたいと呼びかけています。
コープ共済連の取り組み
コープ共済連は今年、平和への思いを込めて二つのイベントに参加しました。一つは、広島・長崎両県生協連と日本生協連が主催する「ピースアクション ヒロシマ・ナガサキ」です。被爆地を訪れ、戦争の悲惨さと平和の尊さを改めて学ぶ貴重な機会となりました。もう一つは、コープおきなわが主催する「6・23ファミリーピースウォーク」。沖縄戦の記憶を継承し、家族で平和を願いながら歩くこのイベントに、今年も当会役職員が参加しました。
被爆・戦後80年という節目の年に、コープ共済連は全国の生協とともに、未来の平和を願い、学び、考え、そして伝える活動を続けています。今後も、全国の生協と力を合わせ、平和と安心の社会づくりに取り組んでまいります。
コープ共済連の概要
日本コープ共済生活協同組合連合会(略称:コープ共済連)はCO・OP共済を取り扱う、主に宅配・店舗事業を行う各地域の生協と、日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連)が共同して設立した共済事業を専業とする連合会です。
CO・OP共済は「自分たちに必要な保障商品を自分たちで開発し、育てること」を軸に、組合員の皆様の声を元に商品開発を行い、保障内容をより良く改定してきました。特に、子ども・女性の保障分野の加入者が多く、子育て世帯よりご支持いただいています。
コープ共済連 概要
組織名 : 日本コープ共済生活協同組合連合会(略称:コープ共済連)
代表者 : 笹川 博子(代表理事理事長)
URL : https://coopkyosai.coop/
所在地 : 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-1-13 コープ共済プラザ
事業内容: 共済事業(CO・OP共済)、ライフプランニング活動の促進
(*1)戦争体験による心の傷(PTSD)を抱えた元日本兵とくらした家族が語り合い、支え合う場を提供し、平和の大切さを社会に発信しています。公式サイト
https://www.ptsd-nihonhei.com/
(*2)被爆・戦後80年の今日的な状況を踏まえ、私たちが考える「平和」を、生協らしく築いていくことを改めて確認する宣言です。「2025年 わたしたちの平和宣言」は以下のリンクからご確認ください。
https://jccu.coop/activity/future/pdf/heiwasengen2025.pdf



