世界の原発性胆汁性肝硬変の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の原発性胆汁性肝硬変の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Primary Biliary Cirrhosis Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、原発性胆汁性胆管炎(Primary Biliary Cholangitis:PBC、旧称 Primary Biliary Cirrhosis/原発性胆汁性肝硬変)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。PBCは、肝内の小胆管が自己免疫機序によって徐々に破壊される慢性胆汁うっ滞性肝疾患で、特に中高年女性に多い。病変が進行すると胆汁うっ滞、線維化、肝硬変、さらに肝不全へ至る可能性がある。調査会社は、早期発見、年齢・性別を踏まえた診療、長期的な病勢モニタリングの重要性を強調しており、本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間として、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場における有病率、発症率、年齢、性別、診断患者数などを分析している。
疾患名については、レポートでは「Primary Biliary Cirrhosis」という旧称がタイトルに使用されているが、本文の国別セクションでも明記されているとおり、現在はPrimary Biliary Cholangitis、すなわち原発性胆汁性胆管炎と呼ばれる。旧称では「cirrhosis」とされていたが、すべての患者が診断時から肝硬変を有するわけではないため、疾患概念をより正確に反映する名称としてPBCが用いられている。本資料の「primary biliary cirrhosis」と「primary biliary cholangitis」は同一疾患を指していると理解すべきである。
PBCの病態では、自己免疫反応によって小型の肝内胆管が持続的に障害され、胆汁の排泄が阻害される。胆汁うっ滞が長期化すると肝組織に慢性炎症と線維化が進み、未治療または治療反応不良の場合には肝硬変や肝不全に進行する可能性がある。
免疫学的には抗ミトコンドリア抗体(Antimitochondrial Antibody:AMA)との関連が強く、PBCを疑う際の重要な診断情報となる。資料では病期評価に生化学的マーカーと組織学的所見が用いられるとされ、単に症状の有無だけではなく、肝機能・胆汁うっ滞関連検査や病理学的評価を通じて病勢を判断することが重要とされる。
臨床症状としては、疲労感と掻痒が代表的である。ただし、初期には無症候の患者も多く、健康診断や別の理由で行った血液検査を契機に発見される可能性がある。
この無症候期が存在することは、PBCの疫学を考える上で重要である。疾患自体は存在していても、症状が乏しいため診断されない患者が一定数いる可能性があり、診断率の向上によって有病患者数が統計上増えることがあり得る。
世界的には、PBCのプールされた有病率が人口10万人あたり約18.1例とされる。これは人口100万人あたり約181例に相当し、希少疾患に分類されるものの、専門医療では一定数の患者を継続的に診療する必要がある規模である。
世界の年間発症率は人口10万人あたり約1.8例・年とされる。したがって、PBCは毎年大量に新規発症する疾患ではない一方、慢性疾患として患者が長期間生存するため、有病患者プールが徐々に蓄積する構造を持つ。
有病率18.1/10万人と年間発症率1.8/10万人・年は異なる疫学指標であるため、直接比較してはいけない。有病率はある時点でPBCを有する患者の割合、発症率は一定期間内に新たに診断・発症する患者の割合を示す。
年齢では、中高年から高齢者に多い。資料では発症率が年齢とともに上昇し、60~79歳頃にピークを迎えるとされる。
一方、25歳未満では極めてまれであり、若年成人を中心とする自己免疫性疾患とは年齢構成が異なる。
この年齢依存性は、2026~2035年の患者数予測に大きく影響する。高齢人口が増加すれば、年齢別発症率そのものが変わらなくても、PBCを発症しやすい年齢層の人口が増えることで絶対患者数が増加する可能性がある。
性別では、PBCは明確な女性優位を示す。世界的に女性が男性より大幅に多いが、近年の研究では女性対男性比が以前より縮小しているとされる。
したがって、PBCは依然として女性中心の疾患であるものの、「ほぼ女性だけの疾患」と考えるのは適切ではなく、男性患者も一定数存在する。
男性患者が少ないことによって診断が遅れる可能性もあるため、性別のみで疾患を除外しないことが重要になる。
米国では、PBCの有病率が女性10万人あたり65.4例、男性12.1例、全体40.2例と推定されている。
この値から、米国では女性の有病率が男性の約5倍以上であり、非常に明確な女性優位が示されている。
年間発症率も女性4.5/10万人、男性0.7/10万人、全体2.7/10万人とされ、発症段階から大きな性差がみられる。
米国全体の有病率40.2/10万人は、世界プール有病率18.1/10万人よりかなり高い。
ただし、これをそのまま「米国人は世界平均の2倍以上PBCになりやすい」と結論づけるのは慎重である。研究期間、年齢構成、診断基準、医療アクセス、症例捕捉率などが異なる可能性があるためである。
同様に、米国の年間発症率2.7/10万人も世界推定1.8/10万人・年より高いが、疫学手法の違いを考慮する必要がある。
米国データでは、女性65.4/10万人に対して男性12.1/10万人と非常に大きな差があるため、女性が主要な患者プールを形成する。
一方で男性の有病率もゼロではなく、人口10万人あたり12.1例という明確な患者集団が存在する。したがって、男性の胆汁うっ滞性肝障害に対してもPBCを鑑別から除外すべきではない。
英国では、約2万人がPBCを有すると推定される。
年間発症率は人口10万人あたり約2~3例とされ、米国の2.7/10万人と概ね同じ範囲にある。
英国では約90%のPBC患者が女性とされ、主な診断年齢は40~60歳とされる。
世界全体では60~79歳で発症率がピークとされる一方、英国では40~60歳に多いとされており、これは「発症率が最も高い年齢」と「典型的な診断年齢」が異なることや、研究対象・時期の違いを反映している可能性がある。
したがって、PBCの年齢を単一のピーク年齢だけで説明するより、中年以降に増加し、高齢者でも大きな疾病負担を持つ疾患と理解するのが適切である。
ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本、インドについては、本レポートの8主要市場に含まれているものの、今回提示された抜粋には具体的な国別PBC有病率や発症率が示されていない。
そのため、この資料だけから米国・英国と他の6市場の患者負担を定量的に比較することはできない。
PBCの疫学を考える際には、「罹患患者数」と「進行肝硬変患者数」を区別することも重要である。
現在の疾患名がPrimary Biliary Cholangitisへ変更された理由にも関係するが、早期に診断されたPBC患者のすべてが肝硬変を有するわけではない。
したがって、PBC有病率40.2/10万人などを「PBCによる肝硬変有病率」と読み替えることはできない。
早期診断と治療によって進行を遅らせることができれば、PBC患者数が増えても、肝硬変・肝不全へ進む患者割合を低下させる可能性がある。
このため、2026~2035年の市場成長と重症患者負担は必ずしも同じ方向へ動くとは限らない。
治療の目的は、胆汁うっ滞と肝障害の進行を抑え、線維化、肝硬変、肝不全などの長期合併症を予防すると同時に、掻痒などの症状を管理することである。
資料では、ウルソデオキシコール酸(Ursodeoxycholic Acid:UDCA)が第一選択治療とされる。
UDCAは、多くの患者で肝胆道系の生化学的指標を改善し、長期転帰の改善に寄与するとされている。
そのため、PBCが早期に診断された場合には、症状が乏しくても長期的な疾患進行抑制を目的として治療を開始することが重要になる。
一方、UDCAへの反応が不十分な患者も存在する。
今回の資料では、こうした患者に対してobeticholic acidまたはフィブラートを追加し、胆汁酸調節を改善する選択肢が挙げられている。
ただし、これは提示されたレポート上の治療記載であり、個々の薬剤の実際の使用可否、承認状況、適応は地域や時点によって異なり得るため、この抜粋からすべての8市場で同じように使用されているとは判断できない。
症状管理も重要で、とくに掻痒は患者のQOLを大きく低下させる可能性がある。
また、疲労も代表的症状として挙げられるが、今回の資料では具体的な症状別薬剤までは示されていない。
したがって、PBC治療は肝障害の進行を抑える疾患修飾的治療と、掻痒・疲労などへの対症療法を組み合わせる構造になる。
進行して非代償性肝疾患や肝不全に至った場合には、肝移植が唯一の根治的治療選択肢として位置づけられている。
ただし、肝移植はすべての患者に必要な治療ではなく、早期診断と薬物治療によって長期間進行を抑えられる患者も多い。
そのため、PBC市場では「肝硬変になってから治療する」という考え方ではなく、早期から病勢を抑制して移植や肝不全に至る患者数を減らすことが重要になる。
研究開発では、新規胆汁酸調節薬、抗炎症薬、抗線維化治療などが注目されている。
資料では、従来治療への反応が不十分な患者の治療反応率を改善し、肝硬変への進行を防ぐことが開発目標として挙げられている。
ただし、具体的な開発薬や臨床試験成績については今回の抜粋に記載されていないため、今後の研究方向として理解すべきである。
市場の観点では、PBCは希少疾患であるものの、慢性的に長期間治療とモニタリングを要するため、有病患者数が医療需要に直結しやすい。
年間発症率が比較的低くても、患者が長期間生存して治療を続ければ、有病患者プールは徐々に蓄積する。
また、早期診断の普及によって無症候患者が発見されるようになれば、診断患者数は増加する可能性がある。
したがって、2026~2035年にPBC患者数が増えた場合、それを必ずしも疾患発症リスクの悪化だけで説明するべきではない。
高齢化、検査普及、疾患認知向上、より早期の診断、治療による生存期間延長などが複合的に影響する。
特にPBCはAMAとの関連が強く、無症候であっても胆汁うっ滞性肝酵素異常などを契機に適切な精査が行われれば早期診断につながる可能性がある。
そのため、2026~2035年の診断市場では、生化学的検査、自己抗体検査、病期評価なども重要になる。
性別・年齢を踏まえた症例探索も重要である。中高年女性で持続する胆汁うっ滞性肝機能異常、原因不明の掻痒、疲労などがある場合、PBCを念頭に置くことが診断遅延の短縮につながる。
一方で、男性や比較的若い患者を「典型像ではない」という理由だけで除外しないことも必要になる。
全体として本レポートは、PBCを「小型肝内胆管に対する自己免疫性障害によって胆汁うっ滞と線維化が徐々に進行し、未治療・治療反応不良では肝硬変や肝不全に至り得る、主として中高年女性に多い希少慢性肝疾患」と位置づけている。
世界のプール有病率は約18.1/10万人、年間発症率は約1.8/10万人・年とされ、発症率は加齢とともに増加して60~79歳頃にピークとなる一方、25歳未満では極めてまれである。
性別では明確な女性優位があるが、近年は女性対男性比が縮小しているとされるため、男性症例の認識も重要である。
米国では有病率が女性65.4/10万人、男性12.1/10万人、全体40.2/10万人、年間発症率が女性4.5、男性0.7、全体2.7/10万人とされる。世界推定より高いが、疫学手法や診断率などの違いを考慮し、単純な国別リスク差として解釈すべきではない。
英国では約2万人の患者が存在し、年間発症率は2~3/10万人、約90%が女性で、主に40~60歳で診断されるとされる。
一方、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本、インドについては、この抜粋では具体的な国別有病率・発症率が示されていない。
治療ではUDCAが第一選択とされ、反応不十分例では資料上obeticholic acidやフィブラートなどの追加治療が挙げられている。掻痒や疲労などへの症状管理も必要で、進行した肝不全では肝移植が根治的治療となる。さらに新規胆汁酸調節薬、抗炎症薬、抗線維化治療の開発が進められているとされる。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、高齢人口の増加、疾患認知の向上、自己抗体や生化学的検査による早期診断、長期治療による生存期間延長などが診断・有病患者数を押し上げる可能性がある。一方、早期に治療を開始できれば、患者数が増えても肝硬変や肝不全へ進行する割合を低下させられる可能性がある。
したがって、今後のPBC管理における中心的課題は、旧称の「原発性胆汁性肝硬変」が示唆するように肝硬変になるまで待つのではなく、まだ無症候または早期胆管炎の段階で疾患を発見すること、中高年女性という高リスク集団を意識しつつ男性症例も見逃さないこと、UDCAなどによる治療反応を継続的に評価すること、反応不十分例では追加治療を検討すること、そして長期的に線維化・肝不全への進行を監視することである。2026~2035年は、PBCを単なる「希少な自己免疫性肝疾患」としてではなく、早期発見と治療反応に応じた長期管理によって肝硬変への進展を抑制できる慢性胆汁うっ滞性疾患として捉えることが、臨床・疫学・市場の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件
02
エグゼクティブサマリー
03
原発性胆汁性肝硬変市場概要(8主要市場)
3.1 原発性胆汁性肝硬変市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 原発性胆汁性肝硬変市場の予測市場規模(2026年~2035年)
04
原発性胆汁性肝硬変疫学概要(8主要市場)
4.1 原発性胆汁性肝硬変疫学状況(2019年~2025年)
4.2 原発性胆汁性肝硬変疫学予測(2026年~2035年)
05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 原発性胆汁性肝硬変の種類
06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因
07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 原発性胆汁性肝硬変の診断済み有病患者数
7.4 種類別の原発性胆汁性肝硬変患者数
7.5 性別別の原発性胆汁性肝硬変患者数
7.6 年齢別の原発性胆汁性肝硬変患者数
08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国における前提条件および根拠
8.2 米国における原発性胆汁性肝硬変の診断済み有病患者数
8.3 米国における種類別の原発性胆汁性肝硬変患者数
8.4 米国における性別別の原発性胆汁性肝硬変患者数
8.5 米国における年齢別の原発性胆汁性肝硬変患者数
09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国における前提条件および根拠
9.2 英国における原発性胆汁性肝硬変の診断済み有病患者数
9.3 英国における種類別の原発性胆汁性肝硬変患者数
9.4 英国における性別別の原発性胆汁性肝硬変患者数
9.5 英国における年齢別の原発性胆汁性肝硬変患者数
10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
10.2 ドイツにおける原発性胆汁性肝硬変の診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける種類別の原発性胆汁性肝硬変患者数
10.4 ドイツにおける性別別の原発性胆汁性肝硬変患者数
10.5 ドイツにおける年齢別の原発性胆汁性肝硬変患者数
11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件および根拠
11.2 フランスにおける原発性胆汁性肝硬変の診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける種類別の原発性胆汁性肝硬変患者数
11.4 フランスにおける性別別の原発性胆汁性肝硬変患者数
11.5 フランスにおける年齢別の原発性胆汁性肝硬変患者数
12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
12.2 イタリアにおける原発性胆汁性肝硬変の診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける種類別の原発性胆汁性肝硬変患者数
12.4 イタリアにおける性別別の原発性胆汁性肝硬変患者数
12.5 イタリアにおける年齢別の原発性胆汁性肝硬変患者数
13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件および根拠
13.2 スペインにおける原発性胆汁性肝硬変の診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける種類別の原発性胆汁性肝硬変患者数
13.4 スペインにおける性別別の原発性胆汁性肝硬変患者数
13.5 スペインにおける年齢別の原発性胆汁性肝硬変患者数
14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本における前提条件および根拠
14.2 日本における原発性胆汁性肝硬変の診断済み有病患者数
14.3 日本における種類別の原発性胆汁性肝硬変患者数
14.4 日本における性別別の原発性胆汁性肝硬変患者数
14.5 日本における年齢別の原発性胆汁性肝硬変患者数
15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおける前提条件および根拠
15.2 インドにおける原発性胆汁性肝硬変の診断済み有病患者数
15.3 インドにおける種類別の原発性胆汁性肝硬変患者数
15.4 インドにおける性別別の原発性胆汁性肝硬変患者数
15.5 インドにおける年齢別の原発性胆汁性肝硬変患者数
16
患者経路
17
治療課題および未充足ニーズ
18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察
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