電気自動車オーナー向けの変動料率電気料金プランはほとんど効果を持たない
株式会社グローバル インフォメーションは、米国の市場調査会社Pike Researchが発行した報告書「Best Practices for Utilities to Prepare for Electric Vehicles (ベストプラクティス:ユーティリティ事業者による電気自動車への対応)」の販売を開始しました。
プラグイン電気自動車(PEV)の市場導入が増加していることは電力会社にとって大きなビジネスチャンスでもあり、また一連の問題を投げかけるものでもあります。評論家の多くが、PEVの所有者に向けた変動料率プランは電力会社にとって利益の多いビジネスモデルになるだろうと述べています。しかしながら、Pike Research社の新調査レポートによれば、調査データはそういったプランはほとんど影響を持たないかも知れないということを指し示しています。何故となれば、消費者にとってその料金差は電気自動車(EV)運転者が新しい料金契約を結ぶ面倒さとリスクとを補えるほどのものではなさそうだからです。
Pike Researchのリサーチ・ディレクター、John Gartner氏は、「電気自動車の所有者は電力のオフ・ビークの時間帯である夜間に充電する傾向が高く、そのため現時点ではあまり使われていない電力量を活用できるということを考えると、プラグイン電気自動車は電力会社にとって特に高い将来性を有しています。しかし電気自動車の充電に対して特定の電気料金を設けても消費者の充電の習慣に大きな影響を与えることにはなりにくいでしょう。特に時間帯別変動電気料金プランがすでに導入されている所ではなおさらです。」と述べています。
同レポートによれば、PEV市場の成長により他にも一連の複雑な問題が生じます。もし大量の電気自動車が同時に充電を行ったなら、ピーク需要が急増することになります。またもしバッテリーが上がりかけていたら、プラグイン・ハイブリッド自動車の持ち主は最大料金の時間帯であっても充電するでしょう。なぜならほとんどの地域で燃料としての電気はいつでもガソリンより安いからです。自動車はまた電力会社にとってこれまで余りなじみのなかった利害関係者、例えば自動車メーカー、ディーラー、陸運業者、また熱気にあふれるEVオーナー・グループなどとの折衝の必要性をもたらします。最も重要な点は、PEVが電力消費や電力インフラへの影響などに関して、電力会社にとって未知なるものを作り出す点です。さらに、実際には電力網や電力会社の経営プロセスにとって必ずしもリスクとはならない事項であるのに、問題になるという予測が出るとどうしても対応策を採ろうとしてしまうという難点も加わります。
同レポートでは、PEVの電力消費についてこれまで集積したデータを基にした提言を行っており、特に電気自動車への充電電力提供に参画した主要電力会社の多くから得られた教訓について強調して示しています。
市場調査レポート: ベストプラクティス:ユーティリティ事業者による電気自動車への対応
Best Practices for Utilities to Prepare for Electric Vehicles
http://www.gii.co.jp/report/pike260099-best-practices-utilities-prepare-electric-vehicles.html
出版日: 2013年01月21日
発行: Pike Research
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