マクニカ、SENA社とペロブスカイト太陽電池のタイ王国亜熱帯環境下での実証開始
~二国間クレジット制度(JCM)を活用し、東南アジアでの普及促進へ~
株式会社マクニカ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:原 一将、以下マクニカ)は、タイの大手デベロッパーSENA Development Public Company Limited(本社:タイ王国バンコク フワイクワーン区、代表:ケサラ・タニャラックパーク)の子会社であるSENA Green Energy Company Limited(本社:タイ王国バンコク フワイクワーン区、代表:ケサラ・タニャラックパーク、以下SENA社)と、ペロブスカイト太陽電池(以下PSC)のタイ王国亜熱帯環境下における世界初*1の実証事業を開始したことを本日発表いたします。
◆本実証事業について
本実証事業は、環境省の令和6年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち水素等新技術導入事業」*2に採択され、2024年度より3年間の実証事業を実施しています。本実証事業は、PSCの発明者である桐蔭横浜大学の宮坂 力特任教授の指導の下、マクニカが代表事業者として、共同実施者であるSENA社と2社で推進しています。実証における具体的な役割分担は以下の通りです。
マクニカ:本実証向けPSCの開発・提供。実証環境のシステム構築・技術的指導。性能モニタリング・データ収集・解析。
SENA社:タイ王国内のPSC実証環境の提供。実証環境での設置工事。性能モニタリング。
◆本実証事業の目的
PSCは、「軽い・薄い・曲がる」といった特性から、これまで太陽光パネルの設置が難しかった建物の壁面などへの設置を可能にし、太陽光発電の設置面積を大幅に拡大することが期待される一方、熱や湿気、紫外線などの影響を受けやすいため、年間を通して高温・湿潤な亜熱帯環境下での性能検証が求められています。また、タイ王国内ではこれまでPSCの導入実績がなく、現地の電気規格に適合するシステムがないことも検討事項でした。
そこで本実証事業では、タイ王国の高温・湿潤な環境下においてPSCの適合性を検証していきます。さらに現地における運用からメンテナンスまでの一貫した実施体制を確立し、継続的なCO2排出削減への寄与が可能であることを実証することで、タイ王国をはじめとする東南アジアでのPSCの普及促進を目指します。
◆今回の実証事業について
2024年度は、タイ王国の電気規格調査を実施し、現地規格に適合するシステムの構築と稼働検証を完了するなど、PSCと実証環境のシステムをタイ王国で稼働させるための基盤整備に注力しました。また、SENA社が保有するタイ王国の住宅屋上にPSCを8枚取り付け、初期的な評価を実施しました。
2025年度は、本格的な実証と運用体制の確立を進めていきます。SENA社が保有するタイ王国の住宅の屋根や壁の全方位にPSCを設置し、「耐久性」「発電性能」を検証します。また、PSCをIoT機器と接続し、出力をモニタリングすることで、メンテナンス体制の確立も実証します。
【本実証の概要】
■期間:2025年10月中旬~2026年2月中旬
■場所:タイ王国バンコク都内
■実証概要:
①タイ王国向け仕様のPSCユニットを住宅の屋根・壁に約60枚設置し実証を実施
②亜熱帯仕様(高温多湿かつ多量な紫外線)及び大気汚染(PM2.5)された環境での耐久性検証
③タイ王国の電気規格に適応するPSCの電気システムの構築とメンテナンス手法の検証
④タイ王国の電力市場環境に合わせたエネルギーマネジメントシステムの検証
SENA社 代表取締役 ケサラ・タニャラックパーク氏は次のように述べています。
「本日、マクニカの協力と日本政府の支援を受け、ラムインドラ外環道路沿いにあるSENA Park Ville 2のクラブハウスでペロブスカイト太陽電池技術を試験することで、よりクリーンなエネルギーの未来に向けた重要な一歩を踏み出します。このプロジェクトでは、高温多湿、強い紫外線、PM2.5の塵埃が特徴であるタイの亜熱帯気候下におけるペロブスカイト太陽電池の性能を研究し、実社会に適した耐久性のあるPSCシステムの開発を目指します。」
マクニカホールディングス 執行役員 兼 マクニカ イノベーション戦略事業本部 本部長佐藤 篤志は次のように述べています。
「このたびSENA社とともに世界で初めて、日本製のペロブスカイト太陽電池の実証事業をタイにて実施します。この技術は国内でも大きな注目を集めています。亜熱帯気候条件下でペロブスカイト太陽電池の実証を行うことで、タイを起点にアジアから世界への普及促進を目指します。今回の実証事業はその目標に向けた記念すべき第一歩であり、今後はペロブスカイト太陽電池を用いた自家発電・自家消費を広く普及させていきたいと考えています。」

*1:当社調べ
*2:JCMパートナー国において、これまでJCMプロジェクトとなった実績のない先進的な脱炭素技術の導入を促進するための実証事業を支援するものです。
https://www.env.go.jp/press/press_03788.html
■マクニカの環境ソリューション事業について
マクニカは、半導体の取り扱いに加え、世界中の最先端テクノロジーを活用して、様々なパートナー企業とともに環境問題の解決に取り組んでいます。サーキュラーエコノミー事業では「エネルギーマネジメント」「省エネマネジメント」「資源循環マネジメント」「環境ライフマネジメント」の4つの事業を展開しており、お客様の環境問題への課題解決につながるソリューションを提供させていただくことで、CO2排出量の削減、脱炭素社会の構築に貢献し、将来のSustainable Society(持続可能な社会)の実現に取り組んでまいります。
マクニカのサーキュラーエコノミー事業について詳しくはこちら: www.macnica.co.jp/business/energy/
※本文中に記載の社名及び製品名は、株式会社マクニカ及び各社の商標または登録商標です。
※ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご承知ください。
SENA Development Public Company Limitedについて
SENA Development Public Company Limitedは、タイ王国で初めて全戸に太陽光発電パネルを設置した不動産ブランドとしてスタートしました。その後『SENA Green Affordable Living』というコンセプトの下、ゼロ・エネルギー住宅、省エネ性能と断熱性能が高いマンション、そして最近では太陽光パネルを備えた屋根と蓄電池システムを組み合わせたソリューションを提供しています。これにより、タイの人々が手頃な価格でクリーンエネルギー住宅を利用できるようになりました。子会社であるSENA Green Energy Company Limitedは、持続可能な未来を作るため、クリーンエネルギーの最大限の活用に取り組んでおり、年間54万トンのCO2削減を目指しています。
株式会社マクニカについて
マクニカは、半導体、サイバーセキュリティをコアとして、最新のテクノロジーをトータルに取り扱う、サービス・ソリューションカンパニーです。世界28か国/地域91拠点で事業を展開、50年以上の歴史の中で培った技術力とグローバルネットワークを活かし、AIやIoT、自動運転など最先端技術の発掘・提案・実装を手掛けています。
マクニカについて:www.macnica.co.jp