島根発、新たな環境保全の循環モデルを構築する「湖を守る芋焼酎」
CAMPFIREにてクラウドファンディング実施中(11/30まで)

認定NPO法人自然再生センター(所在地:島根県松江市天神町127、代表:松本一郎)は、中海・宍道湖の水質改善と地域資源循環を目的に、湖の藻や水草を肥料としてサツマイモを栽培し、本格芋焼酎を製造するプロジェクトを立ち上げました。同団体はこの取り組みを広げるためクラウドファンディング(開催期間11月30日まで)を実施し、「飲んで守る湖と未来」をコンセプトとした新たな環境保全モデルを発信しています。
(クラファンページはこちら11月30日まで https://camp-fire.jp/projects/878090/view)
淡水と海水が出会う汽水湖の環境保全を目指して
中海・宍道湖は島根県に位置する全国有数の汽水湖であり、ヤマトシジミやサルボウガイ(赤貝)など豊かな水産資源で地域の暮らしを支えてきました。しかし近年、繁殖しすぎた藻や水草が湖底でヘドロ化し、水質悪化を引き起こす環境問題が顕在化しています。
自然再生センターは2007年の設立以来、中海自然再生協議会の事務局として「地域の和」「科学の目」「自然の力」を合言葉に活動を展開。「オゴノリング大作戦」として湖から刈り取った藻や水草を資源と捉え直し、畑の肥料として活用するプロジェクトを実施してきました。2019年からは「畑部」を立ち上げ、会員やボランティアとともにサツマイモや大豆の栽培を続け、環境・人・地域経済が循環する持続可能なモデルを構築しています。

本格芋焼酎で実現する「飲んで参加できる」環境保全
今回のプロジェクトでは、水草を活用して栽培した約900kgのサツマイモを原料に、延宝元年(1673年)創業の老舗酒造・稲田本店と連携して本格芋焼酎を製造しました。単なる社会貢献商品ではなく、「本当に美味しいから飲みたい」と思える品質とデザイン性を追求したことが特徴です。
焼酎のボトルデザインには、湖や活動を通して未来へつながる「循環」を象徴する二重の円をモチーフに採用。渦潮や水滴を思わせる爽やかな青色のボトルは、飲み終わった後も部屋に飾りたくなるようなデザインに仕上げられています。また、デザイン制作を鳥取県米子市のデザイナーに依頼するなど、中海を挟む島根・鳥取両県の連携という側面も持っています。
「社会に良いことだから買う」ではなく「美味しいから飲みたい」と思える商品づくりを通じて、NPO活動の持続可能性を高める新しいアプローチとして注目されています。同時に、一般の人々が日常生活の中で「飲むことで自然再生に参加できる」という気軽な環境保全参加の仕組みを提案しています。
クラウドファンディングで広げる活動の輪
自然再生センターは、この取り組みをより多くの人に知ってもらい、支援の輪を広げるため、クラウドファンディングを実施しています。集まった資金は、ボトルやラベルのデザイン制作費、広報費、人件費、サツマイモの苗購入費などに活用される予定です。
同センターの副理事長・小倉加代子氏は「今回のクラウドファンディングは単に資金を集めることだけが目的ではなく、この取り組みを通じて自然再生活動に関心を持ち、地域のこと、自然のこと、人のつながりを考えるきっかけになってほしい」と語ります。また、「地方の小さなNPOが自分たちの手で地域やNPO活動のあり方を変えていく挑戦が、全国の他の地域や団体にも希望として広がっていくことを目指している」と活動の展望を示しています。

認定NPO法人自然再生センター 概要
・名称:認定NPO法人自然再生センター
・所在地:島根県松江市天神町127
・代表者:松本一郎
・設立:2007年
・事業内容:中海・宍道湖地域の自然再生と地域の活性化を目的とした活動
・特徴:山陰で初めて認定NPOの資格を取得。中海自然再生協議会の事務局として活動