“キャッシュレス決済”は社会を支えるインフラへ
月間70万回突破が示すフライト決済センターの進化と成長
■交通・飲食・小売りで進む日常の“非現金化”
コロナ禍以降、衛生面の観点からも非接触型決済が一般化し、さらに2025年は訪日外国人観光客の増加、行政主導のキャッシュレス推進が後押しとなり、生活のあらゆる場面でキャッシュレス決済が浸透しています。「電車に乗る」「外食をする」「買い物をする」—―そんな日常の行動一つひとつに、非現金の選択肢が当たり前になってきています。
特に2025年は、公共交通機関のタッチ決済が急速に広がりました。鉄道・バスにおいては「交通系ICカード」「クレジットカード」「QRコード対応」など複数の決済手段が併用され、利便性向上やインバウンド対応が進んでいることがわかります。また、日経新聞(2025年11月14日付)でも報じられた通り、決済手数料の負担率が高いことが参入の障壁となっていた少額決済のキャッシュレス化もコストを抑えるサービスの登場で進展を見せています。
こうした動きを背景に、キャッシュレスは社会インフラとしての役割を担う段階へと進化しつつあります。
■月間70万件の成長を牽引する決済ソリューション

キャッシュレスの社会的定着を受け、当社の決済サービスにおける実績も大きく伸長しています。
2025年10月には、当社の決済ソリューション全体での月間決済数が初めて70万回を突破し、過去最高を記録しました。
このうち、自社運営の「フライト決済センター」で処理された数は約30万回で、残る約40万回は当社のソリューションを導入した提携先の決済センターにて処理されたものです。いずれも当社の決済基盤を通じた取引であり、当社ソリューションの広がりと社会インフラとしての信頼性を示しています。
また、グラフ上で示したトレンドラインは月間平均が右肩上がりで成長している傾向を可視化したものです。直近3か月間も上昇基調が続いており、今後のさらなる成長が期待されます。
■成長を支えるプロダクトと導入現場
成長の背景には、決済端末「Incredist Premium(インクレディスト・プレミアム)」の利用や「Tapion(タピオン)」シリーズのPoC*の拡大が寄与しています。特にモバイル型の端末は、持ち運びが可能で決済場所を選ばないことから、屋外イベント会場やテーブル決済をするレストラン等で需要が高く、幅広いシーンでのキャッシュレス化の普及に貢献しています。*PoC=Proof of Concept(実証実験)




もう一つの成長要因に挙げられるのが、省人化ソリューションの「Tapionタブレット」です。
本製品は、オーダーから決済まですべてテーブルで完結できるため、従業員の接客の負荷を減らし、業務の効率化と人員配置の最適化を図ることができます。
現在は飲食店でのPoCや、大手企業の社員食堂での本番導入が進んでおり、1日当たり数万食の決済処理を確認するなど、ストック収益の基盤を構築しています。今後も飲食業を中心に、物販などでも活用できるIT技術として社会実装を見込んでいます。
これらのサービスは、フライト決済センターにおける処理能力の向上と、サービス基盤の安定運用がその成長を支えています。
■成長ロードマップに沿った決済基盤の進化
当社は、「Tapion」のセキュアな決済環境を実現するため、2022年に自社運営の「フライト決済センター」を開設しました。センター稼働後も、市場環境や利用ニーズの変化に対応し、機能拡張を継続してまいりました。2024年には、国内初となる対面・非対面のハイブリッド決済に対応する「オールインワンプラットフォーム」が完成しました。
こうした基盤整備を踏まえ、2025年より3年間の成長ロードマップを策定しています。月間決済数の70万回突破という実績は、その戦略が着実に進行していることを裏付ける初期成果といえます。

■決済機能の社会課題への応用も視野に
また、今後の取り組みとして、給食事業会社に対し食品ロス削減を目的とした事前与信決済システムへの機能提供を行います。既に2026年の導入に向けて準備は進められており、この協力を通じてフライト決済センターは、無断キャンセルによる食材廃棄や人手のロスといった社会課題対応型のプラットフォームとしての地位も確立します。
こうした用途の拡張により、決済センターの活用領域を広げることで、決済分野を中核とした持続可能な事業成長を目指してまいります。