BtoB担当者の4割がWebアクセス減少を実感 ― AI時代の企業サイトの実態と対策調査
『デジタル化の窓口』を運営する株式会社クリエイティブバンク(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:奥村 達也)は、全国のBtoBビジネスに携わる会社員・経営者531名を対象に、「AI時代における企業サイトのアクセス動向と対策」に関する調査を実施しました。
調査結果トピック
● BtoB企業のマーケティング担当者の41.8%が「この1年でWebアクセスが減少」と回答
● 従業員100~299人企業では57.8%、IT・通信では52.2%が“アクセス減少”と答え、影響が顕著
● 今後注力したい施策はAIO/LLMO対策が最多で、AI検索対応への関心が高い
2024年以降、検索結果の要約表示や生成AIの普及で“ゼロクリック”が進み、SEOを中心とした従来の流入モデルが大きく変わり始めています。日本のBtoB企業でも、情報取得が検索からSNS・動画・AI検索へ広がり、企業サイトのアクセス減少が顕在化しています。本調査では、マーケターが感じるアクセス減少の実態と理由、商談への影響、さらにSEO再構築やAIO対策など、AI時代に向けた具体的な取り組み意向を明らかにしました。
アクセス減少41.8%―企業サイトのトラフィック低下が明確に
勤務先の企業サイトのアクセス(PV・セッション)の変化を尋ねたところ、「減った(大きく減った+やや減った)」は41.8%にのぼり、“増えた”の22.0%を大きく上回りました。「変わらない」は35.0%で、全体として減少傾向が優勢となっています。
日々サイトの状況を見ている担当者の間で、アクセス低下を体感する声がここまで広がっているのは、検索行動の分散や生成AIによる要約表示の普及など、外部環境の変化が従来の流入モデルに影響を及ぼし始めていることを示唆します。

100~299人企業のアクセス減少が約6割―中小企業の中核層で変化が最も深刻
企業規模別にWebアクセスの変化を見ると、100~299人企業では「大きく減った+やや減った」が57.8%と最も高く、他規模を大きく上回りました。1~99人企業は34.1%、300~999人企業は36.5%で、100~299人だけが“過半数が減少”という際立った結果です。
この層は、広告費やブランド力で大企業に対抗しにくく、検索流入やオウンドメディアなどWeb集客が基本戦略になりやすい規模帯です。そのため、AI検索や情報取得の分散の影響を最も受けやすい層なのではないかと推測されます。
一方で、5,000人以上の大企業では「大きく減った」が15.4%と突出しており、ブランド指名検索のゼロクリック化など、ブランド力があるがゆえの落ち込みも考えられます。

IT・通信のアクセス減少が最多52.2%―デジタル商材ゆえに変化が直撃
業種別に企業サイトのアクセス変化を見ると、IT・通信では「大きく減った+やや減った」が52.2%と最も高く、他業種を明確に上回りました。とくに「やや減った」が37.0%と高く、減少が幅広く進んでいます。
IT・通信は、提供するサービスの多くが デジタル/データ商材 であり、比較・理解のプロセスがWeb上で完結しやすい業界です。そのため、生成AIによる要約表示やSNS分散など、情報取得の変化が最も早くアクセス低下として表れやすい領域といえます。AI検索時代の構造変化がまずIT領域から顕在化している状況がうかがえます。

アクセス減少の最大要因は「生成AI利用」52.7%―検索行動が大きく変化
アクセス減少の理由として最も多かったのは、「ChatGPTなど生成AIの利用が広がった」(52.7%)でした。検索前にAIへ直接質問する行動が増え、従来の検索流入が弱まっている様子がうかがえます。SNSや動画など検索以外の情報源が増えた(46.4%)も高く、情報取得が分散する流れが強まっています。
また、検索広告の露出減/競合増(44.1%)は、検索流入が減る企業が広告にシフトした結果、市場全体の競争が激しくなっている可能性があります。ゼロクリック(24.3%)は相対的に低いものの、生成AIの回答行動に内包されていると考えると実態としてはより大きな影響を与えている可能性があります。

アクセス減少で商談機会が減ったと感じる担当者が9割超
企業サイトのアクセス減少が「リード獲得や商談機会にどの程度影響しているか」を聞いたところ、「大きく影響している」33.8%、「やや影響している」60.7%で、あわせて94.5%が影響を感じていました。「影響していない」はほぼゼロという結果で、アクセス減少がそのまま商談ファネルに跳ね返っている状況がうかがえます。
BtoBではサイト流入が問い合わせや資料請求の起点となることが多いため、流入変動が営業活動全体に直結する構造が改めて浮き彫りになったと言えます。

最注力はAIO/LLMO対策54.5%――広告最適化・SNS強化が続く
アクセス減少への今後の対応として最も多かったのは、生成AIやAI検索への最適化(AIO/LLMO対策)54.5%でした。検索行動の変化を踏まえ、従来のSEOだけでなく“AIにどう見つけられるか”を重視する動きが広がっています。
続いて、広告運用の最適化(43.7%)、SNS・動画での発信強化(38.3%)が上位に入り、流入経路が分散する中で複数のチャネルを組み合わせたい意向が見られます。問い合わせ導線の改善(27.0%)や外部メディア連携(22.1%)など、Web以外の接点づくりも視野に入れた対応が進んでいます。

最重要は「具体的な事例公開」46.7%―AIに引用される“構造化対応”も4割超
AI検索時代にBtoB企業が重視すべきこととして最も多かったのは、「顧客課題を正確に捉えた具体的なストーリー(事例)公開」46.7%でした。生成AIが回答する際に、具体例や実証データの引用が増えることから、事例の重要性が一段と高まっていると考えられます。
続いて、「生成AIに引用・参照されるための構造化対応(検索最適化)」43.3%が上位に入り、AIに“見つけてもらう”ための技術的な最適化の必要性も意識されています。営業・マーケ・CS連携(32.2%)や、信頼性を重視した情報発信(25.4%)など、AI回答の精度を支える“根拠づくり”を重視する傾向がみられます。

BtoB企業では、検索行動の変化を背景にアクセス減少が広がり、商談機会の減少にも直結していました。とくにWeb依存度の高い中小企業やIT業界で影響が大きい結果です。
今後は、AIO対策や事実やデータに基づいた情報公開など、AI検索を前提に“選ばれる情報設計”へと転換することが求められそうです。
『デジタル化の窓口』とは
『デジタル化の窓口』は、SaaSをはじめとするIT製品・サービスの導入事例や特徴、選び方をわかりやすく紹介するサービスです。
法人ユーザーは自社に最適なITサービスを見つけることができ、SaaS事業者は導入事例とあわせて法人ユーザーへ自社サービスを訴求することができます。
■『デジタル化の窓口』公式サイト: https://digi-mado.jp/
■IT事業者様向けサービス概要 : https://digi-mado.jp/vendor/
調査の詳細
調査期間 : 2025年11月14日~2025年11月15日
調査対象 : 国内在住のBtoBマーケティングに携わる
会社員・経営者の20代から60代男女
有効回答者数 : 531名
調査機関 : 『デジタル化の窓口』
(運営元:株式会社クリエイティブバンク)
調査方法 : インターネットリサーチ(ジャストシステム「Fastask」利用)
調査元記事URL: https://digi-mado.jp/article/115215/
※引用、転載の際は出典元として『デジタル化の窓口』と調査元記事URLの明記をお願いいたします。