木造建築の退色・ひび割れに効果的な手法を、 工学院大学が12月9日から東京ビッグサイトで紹介
工学院大学(学長:今村 保忠、所在地:東京都新宿区/八王子市)の田村 雅紀 教授(建築学科)は、コンクリートの資源循環や歴史的建造物の保存再生技術など、建築材料を中心とした研究を進めています。その一つである木造建築の退色・ひび割れ対策となる高伸張型-木材表面透明保護塗り材に関する手法を12月9日から開催される第29回 R&R 建築再生展2025 マンション改修編(主催:建築再生展組織委員会)において発表し、社会での技術活用を進めます。

木材の建築利用は、炭素を貯蔵でき、二酸化炭素排出削減の効果が期待できることから、現在大きく注目されています。2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」、2021 年に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用促進に関する法律」が施行され、建築用木材の積極的な社会利用は推進されているものの、木造建築の耐久性の確保や長寿命化に関しては課題が残されています。
田村教授は、高伸張型-木材表面透明保護塗り材について、2018年から株式会社セブンケミカルと共同研究を進めています。近年は長野県や千葉県での木造改修建物への実証実験と建築主・設計者への意識調査を行いました。その結果、耐久性を確保するための効果的な塗装方法が示される一方で、木材表面透明保護塗り材に関する特性・品質に関する基礎的情報が発注者や設計者に認識されていない現状などもわかりました。展示会では屋外暴露試験体を展示し、塗装表面の状態や劣化防止効果などを直接ご覧いただけます。
田村教授コメント
木材表面保護塗り材には、自然由来の浸透型、厚みのある造膜型、不燃化を重視した型、そして提案する高伸張性のあるアクリルシリコン系の透明保護塗り材などのいくつかの型があります。木材の使用部位や目的に応じ、適切な塗り材を効果的な手順で塗装することで、屋内外を問わず、退色やひび割れを防ぐことができます。本件をテーマに学生が書いた論文は海外の学会でも受賞をしており、現在は当該技術を社会化する段階にあると捉えています。低炭素社会の実現のために、木造を取り扱う多くの設計・施工会社を始め、発注者等にも塗り材の特徴や施工方法を知っていただき、今後のインフラ維持・保全に役立つ機会が増えることを願っております。
出展情報
展示会名称 : 第29回 R&R 建築再生展2025 マンション改修編
主催 : 建築再生展組織委員会
会期 : 2025年12月9日(火)、10日(水)、11日(木)
会場 : 東京ビッグサイト東8ホール
参加費 : 無料 ※要事前登録
公式サイト : https://rrshow.jp/2025/
上記技術展示ブース: 小間番号13、東京大学ブース
特許情報
発明の名称: 不燃木材、不燃木材の製造方法、
及び木材を含む構造物の不燃化方法
発明者 : 田村 雅紀、内藤 真弘、久保田 信二、島袋 省三、奈良 利男
特許権者 : 学校法人 工学院大学、株式会社セブンケミカル
特許番号 : 特許第7549832号
共同研究機関について
株式会社セブンケミカル
建築意匠を追求した外壁防水材のパイオニア。1971年創業。
本社は東京都港区。代表者は三浦 健悦氏(代表取締役社長)
URL: https://www.seven-chemical.co.jp