【岡山理科大学】産官学連携で毛が絡みにくいペット用タオル開発【いきものQOL #9】

獣工の連携#9

2024-11-15 13:50

岡山理科大学では動物たちにやさしい医療や動物たちの健康づくりに向けて、獣医学部と情報理工学部の工学分野が共同で、デバイス開発に取り組んでいます。総合大学の強みを生かし、学部の枠を超えた“獣工連携”による獣医療の新しいスタイルです。動物たちのQOL(Quality of Life=生活の質)向上は、ヒトのQOLにもつながります。動物とヒトの豊かな生活実現をめざす「いきものQOL」の研究現場を、シリーズでレポートします。

共同開発したペット用タオルを手にする(左から)菅副知事、福岡部長、村田副学部長

 岡山理科大学獣医学部が愛媛県産業技術研究所、西染工㈱(今治市)と共同開発したペット用のタオルが発売されることになりました。体を拭く際に毛が絡みにくいうえ、付着した毛も取り除きやすいというペットにも飼い主にも優しい逸品です。ジビエを使ったペットフードの発売に続いて、産官学の連携でまた新たな商品が誕生しました。

吸水性に優れ、軽く、ペットの毛が残留しないタオル

 商品名は「pet towel」。開発にあたっては、同研究所繊維産業技術センターと西染工㈱から獣医学部に共同研究の依頼があり、動物福祉学と実験動物学が専門の獣医保健看護学科・古本佳代教授と動物看護学が専門の同科・佐伯香織准教授が参加して、2022年度からスタートしました。
 めざしたのは、ペットの健康や飼い主の利便性にも配慮した「吸水性がよく、軽くて、しかも毛が残留しないタオル」です。ペット用に最適化されたタオル生地の開発から始め、同センターで試作されたタオルを実習や獣医学教育病院で使用し、使用感を数値化して性能を評価し、それをフィードバックしながら改良を重ねました。
 こうした研究の末にたどり着いたのが、糸がループ状になっているパイルの生地の上下をガーゼ生地で挟み込んだ3層構造のインナーパイルタオルです。体を拭いた際の毛の残留量は平均で約3割も減らすことに成功しました。サイズは一般家庭に多い小型犬向きに長さ95㌢、幅33㌢のフェイスタオルサイズとなりました。綿100%の自信作です。

愛媛県副知事は産官学連携への一層の期待感を表明

 11月11日には愛媛県庁で発売報告会が行われ、村田拓也・獣医学部副学部長と西染工㈱の福岡友也・商品事業部長が、菅規行副知事に商品説明と開発経過などを報告しました。
 使用済みの新製品と従来品に付いた毛を粘着テープのクリーナーで取って比べた菅副知事は、「全然違う!」と新製品の機能性に驚いた様子。続けて、「ペット産業はまだまだ伸びるだろうと思うし、いろいろな需要があるはず。こうなればいいということでニーズを拾い上げて、持っているアイデアで解決できるんじゃないかと思う。岡山理科大学にも引き続きご協力いただきたい」と、産官学連携への一層の期待感を表明しました。

西染工のオンラインショップで販売

 製品は「今治タオルブランド商品」の認定を受け、赤・青・白でデザインされたブランドロゴが付けられました。ピンクとブルー、グレーの3色です。値段は3,520円(税込み)。11月16、17両日、愛知県で開催される展示会「フィールドスタイルエキスポ2024」でペットと一緒のアウトドアライフを楽しんでいる来場者に、ペットと飼い主のQOL(いきものQOL)を大切にする商品として展示・販売します。このあと、西染工のオンラインショップ(https://shop.nishisenkoh.com/)から販売されることになっています。なお、この商品は、11月23、24日に今治キャンパスで開催される大学祭「ゆめいこい祭」(https://www.ous.ac.jp/event/detail.php?id=357)でも展示される予定です。

発売が決まったペット用タオル「pet towel」
粘着テープのクリーナーで従来品との毛の残留具合を比べる菅副知事(左)
産官学連携への期待感を表明する菅副知事(左から2人目)

「地元とペットケアをつなぐ架け橋になれた」と古本教授

開発に携わった獣医保健看護学科の古本教授

 共同開発に携わった古本教授は「ペット用タオルの開発を通じて、地域産業と連携し、獣医学部としてペットとそのご家族のQOL向上に貢献できることを実感しました。今治タオルは安心、安全、高品質を特徴としていますが、今回の取り組みで新しい価値を加えることができたと思います。また、地域の資源を生かした製品を通じて、地元とペットケアをつなぐ架け橋になれたことをうれしく感じています」と話しています。

(提供:愛媛県産業技術研究所 繊維産業技術センター)
(提供:愛媛県産業技術研究所 繊維産業技術センター)

QOL Quality of Life(クオリティー・オブ・ライフ)の略で、本来は人間らしく生き生きと暮らしているかどうかを示す「生活の質」「生命の質」を示します。もともとは医療分野の末期がん患者などの終末期ケアの現場で、快適さなどを取り戻そうとして広がった試みです。福祉や介護の現場にも広がり、最近ではペットについても注目されています。

関連リンク

いきものQOL#8はこちら
https://newscast.jp/news/2562083

獣医学部
https://www.ous.ac.jp/department/veterinary/

情報理工学部
https://www.ous.ac.jp/department/info/

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