<調査結果>回復傾向にある飲食業界の売上 ~ビッグターミナルエリアでは、売上2018年同月比153.2%を記録~

飲食店を中心に20年以上出退店の総合支援を行う店舗流通ネット株式会社(東京都港区:代表取締役社長 戸所 岳大)が6月8日に公開する飲食店ビジネスレポートにおいて、2019年の新型コロナ流行前から現在にかけての飲食業界の売上について調査した結果、飲食業界の売上は回復傾向にあるものの、エリアごとに売上の回復状況に差が生じていることが判明した。また、売上回復の要因として、口コミ件数も影響を及ぼしていることが分かった。

飲食業界の売上、コロナ発生以前の数値に回復傾向へ

図-1 売上推移2018年同月比
図-1 売上推移2018年同月比

東京都内の当社支援店の内、「居酒屋」「ラーメン」「焼肉」業態、178店舗を対象に店舗の売上実績を活用し、2023年4月までの実績を2018年同月比で比較した(図-1)。推移を見ると、2020年4月の緊急事態宣言を受けて大幅に減少し、一定期間回復傾向へ向かうものの、再び緊急事態宣言が出された第3波中の2021年1月に再度減少する。2022年以降は、増加と減少を繰り返しながらも段々と振れ幅は小さくなり、着実に回復へと推移していることがデータから読み取れる。

ただし、同時に市場や経済状況も変化していることから、物価高騰などを考慮すると、2018年同月売上比110~120%という数値は、まだ回復しきったとは断言はできない。しかし、今回の調査により、全体の回復推移と現時点でも2018年同月比を上回っている状況から、飲食業界全体の売上はコロナ発生以前の水準に戻りつつあることが分かった。

図-2 2019年~2023年の2018年同月比、売上回復比率
図-2 2019年~2023年の2018年同月比、売上回復比率

2019年 大きな変動なし、概ね100%前後
2020年 コロナ禍による売上急減、最低値23.1%(4月)
2021年 停滞が継続するが、最高107.2%(9月)
2022年 5月以降は安定した成長、最高112.5%(10月)
2023年 高い水準での推移、最高119.5%(4月)
※小数点第二位を四捨五入

ビッグターミナルエリアでは単月売上比で153.2%を記録も、学生街エリアでは伸び悩みを見せる

売上回復傾向の検証から、さらにどのエリアでも傾向が同様に推移しているのか検証するために、4つのエリア①ビッグターミナルエリア(新宿・渋谷・上野など)、②住宅街エリア(荻窪・日暮里・葛西など)、③オフィス街エリア(大手町・有楽町・品川など)、④ 学生街エリア(高田馬場・水道橋・早稲田など)、を対象に、それぞれの売上推移を図-1の結果と比較し、調査を行った。

その結果、「ビッグターミナルエリア」の売上推移の傾向は全体を大きく上回り、2022年11月には単月売上比で153.2%を記録。その後も売上比120~150%を推移しており、売上回復が非常に早いことが分かる。それに対して「住宅街エリア」の特徴は、コロナ期に一時的に売上比が198.8%まで急上昇した。これは、フードデリバリーなどの需要による影響が大きい。しかし、徐々に人々がオフィスへ戻るにつれ、全体の推移と同様の動きに落ち着いてきたことが顕著に表れており、このことから「住宅街エリア」は、フードデリバリーの恩恵を一番受けたエリアであることが伺える。全体の推移と一番似通った動きを見せるのが「オフィス街エリア」で、緊急事態宣言などで出社が控えられた時期は減少し、人流の回復と共に売上も回復を見せている。最も回復が遅いのは学生街エリアで、最高値でも売上比89.9%と伸び悩みを見せている。物価高騰などの世の中の動きを考慮すると、コロナ発生以前の売上に戻るにはもう少し時間がかかりそうなことが分かった。

図-3 ビッグターミナルエリア売上推移2018年同月比
図-3 ビッグターミナルエリア売上推移2018年同月比
図-4 住宅街エリア売上推移2018年同月比
図-4 住宅街エリア売上推移2018年同月比
図-5 オフィス街エリア売上推移2018年同月比
図-5 オフィス街エリア売上推移2018年同月比
図-6 学生街エリア売上推移2018年同月比
図-6 学生街エリア売上推移2018年同月比

口コミ件数が多い飲食店は売上回復が顕著

売上回復傾向の要因について調査を進めるにあたり、株式会社mov(東京都渋谷区:代表取締役社長 渡邊 誠)と共同で、飲食店において口コミ(対象:食べログ・Googleマップ・Yahoo! MAP)獲得件数が売上回復に与える影響を検証・調査した。
東京都内にある当社支援店、「居酒屋」「焼き肉」「ラーメン」業態を対象に、「ひと月あたり口コミが10件以上ある店舗」と「ひと月あたり口コミが10件未満の店舗」とに分類し、坪単価売上を比較調査したところ、「ひと月あたり口コミが10件以上ある店舗」の方が売上の回復が早い傾向にあることが分かった。

図-7 口コミ件数が10件以上・10件未満の坪単価売上推移
図-7 口コミ件数が10件以上・10件未満の坪単価売上推移

口コミ件数、月4件以上がボーダーライン

口コミ件数が店舗の売上に与える影響について、以下の条件で追加調査を行ったところ、売上が回復している店舗では“1店舗あたりの月間口コミ獲得平均件数”が、他の売上が回復していない店舗を全期間にわたって上回っていることが判明した。また、そのボーダーラインとして平均月4件以上の口コミがあることが分かった。

1:一都三県の飲食店123店舗を対象
2:集計期間を「コロナ前(2019年1月~2020年2月)」、「コロナ期間中(2020年3月~2022年3月)」、「コロナ後(2022年4月~2023年4月)」に分割
3:売上の回復傾向「コロナ以前にまで売上が回復した店舗」、「コロナ後にも売上が回復していない店舗」、「売上回復を断定できない店舗」、「観測不可…閉業など」に分割

図-8 株式会社mov 様 提供、口コミ件数と売上の関係性についての調査結果
図-8 株式会社mov 様 提供、口コミ件数と売上の関係性についての調査結果

口コミ件数が売上回復に影響を及ぼしていることは間違いないが、業態ごとに見たとしても、口コミ件数が売上回復に寄与していると言えるかの調査も行った。結果として、業態ごとにグラフの推移は異なるものの、やはり口コミ件数が多い店舗の方が売上の回復が早いことが分かった。

図-9 口コミ件数が月10件以上・10件未満の居酒屋業態坪単価売上推移
図-9 口コミ件数が月10件以上・10件未満の居酒屋業態坪単価売上推移
図-10 口コミ件数が月10件以上・10件未満のラーメン業態坪単価売上推移
図-10 口コミ件数が月10件以上・10件未満のラーメン業態坪単価売上推移

この結果から、口コミ件数(お店を認知し、コメントいただけるお客様の数)が売上の早期回復に大きく影響していると想定される。口コミの獲得の目標目安は2%と言われ、一定の数を集めるには時間がかかる施策ではあるものの、過去の口コミも含めて、それらが新たな口コミを呼ぶという傾向もある。
そのため、これら口コミなどの書き込みは、お店にとって財産となると言える。口コミは、SNS上での店舗の認知から、利用という次の段階に進むための有効な施策であると考えられるため、テーブルに口コミを促すようなQRコードの設置や声掛けなどの工夫は、営業努力としては有効であり、必要だと言える。

飲食業界の動向を学べるウェビナー

店舗流通ネットでは、今回の様に定期的に公開している「飲食店ビジネスレポート」の他、飲食業界の動向について、飲食店事業者さまに向けたウェビナーなどでも発表しています。

■セミナー情報

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日程:2023年6月13日(火)
時間:14:00~15:00
開催場所:オンライン配信(Zoom)
URL: https://snsschool.net/2023/05/01/202306131400/

■調査結果引用時のお願い

本調査結果の引用時には、以下のご対応をお願い申し上げます。
1:情報の出典元として、「店舗流通ネット株式会社調べ」と明記してください。
  ※図-8に関して引用する場合は、出典元の他「株式会社mov提供」と追加で明記してください。
2:出典元として下記へのリンク付与をお願いいたします。
  https://newscast.jp/news/2053268
3:調査結果データの加工・改変は禁じます。

■店舗流通ネット株式会社 会社概要

店舗流通ネット株式会社は、2000年の創業以来「業務委託型飲食店経営ビジネス」のパイオニアとして3,800件を超える飲食店の出店支援を実施してまいりました。現在は、100の事業を目指し、国内外の人材事業、プロモーション事業、工事事業、更にはオープンイノベーションによるAI開発やフードロス削減サービス運営など多彩なビジネスモデルを展開しています。

所在地 :〒105-0022 東京都港区海岸1-2-3 汐留芝離宮ビルディング20階
代表者 :代表取締役社長 戸所 岳大
電話番号:03-5777-6510(代表)   
URL :https://trn-g.com/
事業内容:店舗リース事業、人材事業、プロモーション事業、工事事業
オウンドメディア「店通-TENTSU-」:https://www.tenpo.biz/tentsu/


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