うつ病をはじめとする精神疾患が及ぼす社会経済的損失
近年精神疾患患者数が増加傾向にあるが、なかでもうつ病が及ぼす社会経済的損失はどれほどのものなのか。
■精神疾患への世間の理解
現代社会においてのうつ病とは、20人に1人が生涯で一度は発症するとされている精神疾患です。発症率が高いだけに世間での理解も深まってきている傾向にありますが、実際には病名を知っているといった程度で、まだまだ偏見や誤った理解をお持ちの方が多く見受けられます。弊社独自にも精神疾患についてのアンケートを行ったところ、「近づきにくい」「心の病=やばい人」等の意見が寄せられました。
■うつ病は脳の病
前述したようにうつ病は精神疾患の1つでありますが、最新の研究では心ではなく脳の病であることが分かりました。脳内の神経伝達物質や脳由来神経栄養因子(BDNF・脳細胞の栄養)の減少により、脳細胞が委縮することで伝えるべき情報量が減少し、「感情(こころ)」や「行動(からだ)」の活動がスムーズに行われないことで様々な症状が起こるとされています。
■うつ病がもたらす社会的損失につながる費用
うつ病によって社会的損失となる費用は、「直接費用」「罹病費用」「死亡費用」の3つです。
直接費用:通院費・入院費やお薬代などうつ病の治療にかかった医療費や自立支援医療などの社会的なサービス費用。
罹病費用:休職、又は仕事の能率低下などで生じた損失のことで、うつ病で休職したのであれば、本来その間に得られたであろう利益の損失となり、うつ病が故に仕事の生産性の低下に繋がれば、同じくその間に健康であれば得られたであろう利益の損失。
死亡費用:うつ病が原因で亡くなってしてしまった場合、「もしも死亡していなければ、どれほどの利益を生んだか」を推定した費用。
■うつ病による日本の社会的総損失額
慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室および同大学ストレス研究センター専任講師である、佐渡充洋氏の「うつ病の疾病費用研究 (精神神経学雑誌 第116巻 第2号/2014)」によれば、「直接費用:約1,800億円」「罹病費用:約9,200億円」「死亡費用:約8,800億円」であるからして、うつ病による日本の社会的総損失額は「約2兆円」であることが分かります。
■精神疾患と社会経済的損失
前述した通りうつ病だけに絞っても約2兆円の社会経済的損失が生まれている現在ですが、その他にも統合失調症の社会経済的損失額は「総額 約2.7兆円」、不安障害では「総額 約2.3兆円」です。それらの精神疾患による社会経済的損失を合わせれば、政府の予算が圧迫していることは明らではないでしょうか。そんな現状にも拘わらず政府の改善への具体的な施策は乏しく、2017年には厚生労働省より戦後初めて日本人の10歳~14歳の死因の1位が自殺であったことに加え、精神疾患患者数は約419.3万人であることが公表されています。
■私たちができること
うつ病をはじめとする精神疾患の治療には定期的な医師の診察や投薬に加えて、心理カウンセリングによる治療も用いられます。社会経済的損失、10代の自殺者数と精神疾患患者数の増加、それらの問題を背景に、私たち【Bloste】は「お客様とカウンセラー様をつなぐマッチングアプリ」を開発しています。従来の医療機関やオンラインで行われるカウンセリングとは異なり、マッチングからカウンセリングの予約、お支払い等をアプリ化することにより手軽さを実現でき、コロナ禍における現代社会の新しい生活様式にも対応していると言えるでしょう。