残布や古着などからバイオリサイクル燃料を製造 新たな服のサイクルを生み出す実験場「KISARAZU CONCEPT STORE」に体験ブースを開設
文化学園大学（東京都渋谷区）と近畿大学（大阪府東大阪市）は、繊維・ファッション業界で廃棄される端切れや仮縫い等の残布、古着を活用し、近畿大学開発のカーボンニュートラルなバイオリサイクル燃料「バイオコークス」の原料として再利用する研究を行っています。
本研究の社会実装に向けて取り組みを広く社会に紹介するため、令和5年（2023年）6月8日（木）に千葉県木更津市にオープンする三井不動産株式会社（東京都中央区）による新たな服のサイクルを生み出す実験場「KISARAZU CONCEPT STORE」に、来場者が残布や古着からバイオリサイクル燃料を製造できる体験ブースを設置します。
【本件のポイント】
●繊維・ファッション業界の課題解決に向けて、文化学園大学と近畿大学が共同研究
●古着や残布などの廃棄衣類をカーボンニュートラルなバイオリサイクル燃料に転換
●「KISARAZU CONCEPT STORE」に体験ブースを設置
【本件の背景】
世界的に環境保護の意識が高まる中で、繊維・ファッション業界においても、素材製造時の繊維原料や縫製時の残布のロス、販売時における不良在庫、古着の処分など、さまざまな課題が出てきています。特にこの業界では、原料から製品になるまでの工程において分業体制を慣例とする複雑な構造を有しており、単独での循環システムを構築しがたいという現状があります。また、繊維・衣類の分類が複雑で明確になっておらず、回収・再生がしにくい要因となっています。
SDGsが掲げるように、貧困の格差をなくしたり、公衆衛生を改善したりしながら、循環型社会を目指すには、すべての人々が身にまとう衣類こそ循環すべき姿であることは言うまでもありません。しかし、流行や機能性などを追い求めて熾烈な競争が行われている繊維・ファッション業界では企業利益が優先され、また製造を担う中小企業には独自で環境問題に取り組む体力がないことが問題を大きくしています。
【本件の内容】
文化学園大学と近畿大学バイオコークス研究所は、繊維・ファッション業界のこうした問題を解決するため、平成26年（2014年）から、残布や古着をバイオマス資源として捉え、それらを原料にカーボンニュートラルなバイオリサイクル燃料「バイオコークス」を製造する共同研究を実施してきました。そうして製造したバイオコークスを特に「エシカルザンプ」と名付け、資源循環型燃料として普及させる取り組みを通して、持続可能な社会への貢献と地域社会の活性化に資することを目指しています。
この度、エシカルザンプ普及の施策の一つとして、三井不動産株式会社が新たに開設する服のサイクルを生み出す実験場「KISARAZU CONCEPT STORE」において、来場者にエシカルザンプの取り組みを紹介するブースを開設することになりました。このブースでは、残布からエシカルザンプを製造するプロセスを親子で体験したり、紙芝居を見たりしながら、衣類の循環型社会のあるべき姿の一つを学習することができます。
【概要】
名称 ：KISARAZU CONCEPT STORE（木更津コンセプトストア）
所在地 ：千葉県木更津市金田東二丁目9番1
開業日 ：令和5年（2023年）6月8日（木）（予定）
開館時間：10：00～20：00（最終入場19：30）
入場料 ：300円（税込） ※ 中学生以下無料
HP ：https://kisarazu-concept-store.com/
〈文化学園大学と近畿大学によるブース〉
名称 ：衣服から次世代再生可能エネルギーを創る体験ブース
体験 ：エシカルザンプの製造
※ 月に1回程度、不定期開催予定
対象 ：一般の方
利用方法：事前予約不要、体験無料
【バイオコークス】
従来は廃棄物として処理される食物加工残渣、衣料廃棄物、間伐林などのバイオマス（再生可能な、生物由来の有機性資源）を原料として製造する固形燃料。平成17年（2005年）に、近畿大学バイオコークス研究所所長の井田 民男らが開発しました。光合成を行う植物資源等を100％原料にしているため、CO2排出量ゼロのカーボンニュートラルなエネルギーとして普及が期待されています。
【関連リンク】
バイオコークス研究所 教授 井田 民男（イダ タミオ）
https://www.kindai.ac.jp/meikan/933-ida-tamio.html
バイオコークス研究所
https://www.kindai.ac.jp/bio-coke/
